34. 史実と事実
「歴史学」は、単に過去の出来事を暗記する学問ではありません。
タイトルに目が惹かれ読んだ本に、気になることが書かれていました。
元寇についての内容です。
国交に応じない日本へ、趙良弼(ちょうりょうひつ)という使者がモンゴルから来て太宰府に数ヶ月間滞在し、その後二度、三度、来訪した後、偵察のため1年間日本に滞在しフビライ・ハンへ報告を送ったということが紹介されています。
報告内容がサイトでも紹介されています。
「?」が頭の上に浮かびました。日本人が野蛮と書かれたことではなく、”ろくな作物が育たず、野蛮な人間がいる場所"で、1年間無事に、何を食べ、どこで、どのように生活していたか、と疑問を持ちましたが、その解説はありません。
鎌倉時代に、1年間日本で生活する海外からの使者の生活は、一体どういうものだったのかを想像し、考えました。
報告の言葉に表れるぐらいですから、実際に不作の土地や野蛮な人を目にしたと想像しますが、本当は、日本を守るためにそのような報告をしたのではないか。
「肥前風土記(700年代)」で佐賀や長崎の、「豊後国風土記(700年代)」で大分の、また「日本書紀」でも、温泉にまつわる記述があり奈良時代から日本には湯治の風習があった、と言われています。
趙良弼は日本の米や貝や魚や温泉を知り、1年も滞在していれば気になる女性と出会ったかもしれず、だから再三日本を訪れ1年間滞在できたのではないか、と考えます。
一方ろくな食べ物がなく野蛮な人間が暮らす外国で1年間も滞在を続けることは、海外生活経験上、とても想像し難いことです。
史実が事実ではなかったということや、伝承でしか残っていない各地の風土や慣習があり、それはどの時代にも現代にも当てはまります。
平日の朝、人がいない公営のテニスコートが並ぶ堤防をウォーキングしていると、2人でサイクリングする人の会話が通りすがりに聞こえてきました。
「こういう誰も使わないテニスコート、もったいないよね」
週末は、多くの人がそこでテニスを楽しんでいます。
自分が目の前に見ているものごとだけで状況を決めつけ判断する人が、事実ではないことを、人に伝え広がることもあるのだと思います。
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