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人魚の気持ち(伝説の×安心感)

 私はあるものにずっと憧れていた。
 常に上半身を露出しているので海上に顔を出す度に日に焼けるのを長い間気にしていた。だが魔女に相談しても、下半身が足へと変化する薬しかないと言う。仕方がないので自慢の声と交換し人間になった。人間となった美しい私を色んな人が気にかけてくれたお蔭で、仕事はすぐに見つかった。
 働き始めて1ヶ月経ったある日のこと。私は目的のものを探しにホームセンターへ出掛けた。夏が近づいているので海水浴グッズが沢山売られている。でもパラソルなんて風の強い日には使えない。
 私は店の隅から隅までを眺め、やっと希望に沿うものを見つけた。それは足が四つある、白くて少し重みのあるテーブルだった。
 私はそれを初めてのお給料で買うと、上陸した浜辺へ配送してくれるよう手配した。

 次の日の昼間、無事にそれを受け取った私は、早速その中へ背中から潜り込んだ。ピッタリの大きさだった。やっと夢が叶った!私はずっとヤドカリになりたかったのだ。
 達成感と至福感に包まれた私は、潮風に髪をなびかせ、そこでいつの間にか眠りに落ちた──。

                 (了)


このお話はこちらの企画に参加していますφ(..)✨

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