『海苔』
夏休みのアルバイトとしてここに来た高校生の彼女は、顔も髪もとても美しかったので私はとうとうこの時がやって来たのだと思いました。
しかし私が彼女に触れれば私はここを辞めさせられるでしょう。だから知り合いの女性にそれを頼みました。
彼女のバイトが休みの日に、街で彼女にヘアカットモデルのスカウトをしてもらったのです。
えぇ、彼女は自身でもその美しさには気がついていたようでそれを断りませんでした。
その日のうちに彼女の艶やかな黒髪は私の元に届きました。
それを丁寧に、海苔の原藻と共に製造機に。ぐるぐる回りながら海苔は不純物を取り除き段々と形になっていきます。
全ての工程を終え出来上がったばかりの海苔を私は壊さないように抱き締め、歴史好きな彼女のために鳥獣戯画をデザインした特別なパッケージに仕上げました。
彼女はバイトの最後の日に「かわいい♡」と、それを嬉しそうに受け取ってくれました。
私は今夜もその特製の海苔に頬擦りをし、丁寧に噛み締めていただきます。
(了)
このお話はこちらの企画に参加していますφ(..)✨
今回は数年前に書いていた400字のお話を少しだけ加筆修正しましたが、自分史上最高の変態チックな作品になっております💧
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