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これが私の生きる道

村上有香

私と伊藤美憂さんの本、『弱いはつよい』に塩出真央さんが書評を書いてくれました。

著者:村上有香。
1999年神戸市生まれ。ダウン症の有香さん、小学校4年生から詩を書き始め、NHKハート展に6回入選して注目を集める。世界中の人を笑顔に、そして世界中の人のお世話をするのが夢。

『弱いはつよい』より

塩出さんの書評には、『電車を間違えた』という詩が一番好きだと書いてありました。電車を間違えるのは、あんまり良くないけどええこと。
電車を間違えるのは自由だからです。

支援学校中学部に入学後、スクールバスでの通学開始。

初めて乗った日から、スクールバスは嫌だった。

毎日、頭の上や座席の下から靴や靴下が飛んでくるし、歌や悲鳴のような笑い声で騒がしかった。おちおち眠ることも出来なかった。早くスクールバスから降りて自由になりたかった。

中学部2年生の誕生日(11月)に、その年の目標を『自力通学』と決めて練習を始め、3学期にはスクールバスを降りて自力通学が出来るようになった。

『ばんざーい!自由になれて最高!』

2016年の秋(高等部2年)に、卒業後の進路を往復3時間かかる『自立訓練』に決めました。それからは、公共交通機関を一人で乗り継ぐ練習を始めました。そして2018年4月、『自立訓練』への登所をはじめます。

登所する間の時間は、タブレットでゲームに熱中したり、CMの真似をしてオロナミンCを立ち飲みして、心の中で「プハーっ」と叫んだり、一人の時間はとっても楽しかった。

そんなある日、忘れもしない7月7日、電車を間違えた。

窓の外を見て『何で海?』と思い後ろを見たら、見たことがない駅。気が付いたら車両には私一人きり。どうなるかと思ったけど、無事に着いた。

『失敗しても一人で行くのやめへんで!』

2020年4月に高齢者デイサービスに就労。10月に『弱いはつよい』を出版。

塩出真央さんは本書を読み、『弱みこそが強みという名の個性になるとも思えたのです。』と書かれています。

私は私の中にある『ダウン症』に長く苦しみましたが、今はありのまま、普通に生きています。

私は職場では、

・毎日笑顔で「はい、分かりました」
・「すみません」は言わずに「頑張ります!」
・1日200回以上の「ありがとうございます」

をモットーに頑張っています。

だけど、避難訓練などの特別な行事で、意味が分からなくて『どうしようー』と心配になると、腰が抜けてうつぶせに倒れます。そんな時は、少し休んでから電話で母の声を聴くと、気持ちを切り替えて次の仕事ができます。

今の職場であるデイサービスで、私が「この仕事100歳まで頑張りたいねん!」と言ったら、ご利用者様が「それじゃあ私も頑張って長生きする!」と言ってくださいました。

「笑顔素敵やで」「連れて帰って床の間に飾りたい」「結婚するでぇ」「ビールはあかんで12歳やろ」「若いっていいなぁ」などとも言われます。

職員の皆さんは、「村上さんがいるだけで自分たちの仕事が楽になる」「いつも洗面所を綺麗にしてくれてありがとう」「笑顔に癒される」と言ってくれます。

私には皆のように『トイレ誘導』とか、『入浴のお世話』とか、力仕事は出来ませんが、皆が幸せになれる笑顔を持っています!

できないことにとらわれず、できることを一生懸命して個性を輝かせる!それが私にとっての『弱いはつよい』です。

勤続80年、私は笑顔で頑張ります!


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