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【ポストコロナの新定番】世界91都市に滞在した私が考えるワーケーションのメリット・デメリット

2016年からローカライザーとして、世界91都市を転々としながら仕事をしてきたジュリアです。過去の渡航歴はざっとこんな感じです。

【2016年渡航歴】1月 マレーシア(クアラルンプール,ランカウイ島)タイ(リペ島、ハジャイ、バンコク)3月 スペイン(バルセロナ、バレンシア、マラガ、ミハス、グラナダ、マドリッド)4月 スイス(ジュネーブ)フランス(アヌシー)イギリス(ロンドン、ウィンブルドン)5月 台湾(台北・九份)6月 タイ (バンコク、チェンマイ、プーケット)8月 スイス(ジュネーブ)フランス(アヌシー)イギリス(ロンドン、ウィンブルドン)イタリア(ローマ)12月 中国 (北京) メキシコ (メキシコシティ,カンクン、イスラムヘーレス) キューバ(ハバナ)【2017年渡航歴】1月 メキシコ(メキシコシティ、サンミゲルデアジェンデ、グアナファト)4月 タイ(バンコク)5月 タイ(タオ島、パンガン島、サムイ島)6月 バリ(ウブド)8月 香港10月 フランス(パリ)11月 ポルトガル(リスボン、ポルト、コインブラ)スペイン(サマドリッド)12月 沖縄、石垣島【2018年渡航歴】1月 タイ(ラヨーン、シラチャー、パタヤ)2月 ベトナム(ホーチミン)3月 カンボジア(シェムリアップ、シアヌークビル、プノンペン、ロン島)5月 バリ(ウブド、チャングー、クタ)7月 ギリシャ(アテネ、サントリーニ島)8月 トルコ(イスタンブール、アンカラ、ギョレメ、エディルネ、デニズリ、コンヤ、アンタルヤ、パムッカレ、カラハユット)9月 トルコ(イスパルタ、イズミール)ブルガリア(ソフィア、プロウディフ)マレーシア(クアラルンプール)10月 北海道、タイ(バンコク)11月 オーストラリア(パース)、マレーシア(マラッカ)【2019年渡航歴】1月 タイ(ホアヒン、バンコク)2月 シンガポール、マレーシア(コタキナバル、ラブアン、ジョホールバル)、ブルネイ、タイ(バンコク)3月 タイ(パタヤ)4月 中国(広州、深セン、中山、珠海、桂林)、マカオ、香港6月 タイ(タオ島、チェンマイ)7月 タイ(メーサロン、チェンライ)8月 台湾(高雄、墾丁)9月 台湾(台南)、バンコク、スウェーデン(ストックホルム)10月 スウェーデン(ストックホルム)、ハンガリー(ブダペスト)、スロバキア(ブラチスラバ)、オーストリア(ウィーン)、スロベニア(マリボル)、クロアチア(ザグレブ)、セルビア(ベオグラード)11月 タイ(バンコク)12月 ミャンマー(ヤンゴン)【2020年渡航歴】1月 タイ(バンコク)2月下田 3月 湘南 4月 下田 5月 小田原 7月 京都

コロナウィルスの拡大により打撃を受けている旅行業界の救済のため29日菅官房長官が会見でワーケーションの普及を提唱しました。このワーケーションという言葉、初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?

ワーケーションってなに?

ワーケーションはワーケーション=ワーク (Work)+バケーション (Vacation)の造語で、各地を旅行しながら仕事をすることを指します。私は2016年頃、会社員時代に会社に交渉してこの働き方を実践してきました。

ちなみに会社員時代はワーケーションを拡げるためのメディアの立ち上げ編集長をしていました。当時はワーケーションよりもデジタルノマドというキーワードに着目し、仕事術、旅行術、生活術などを紹介していました。

2018年に独立し海外のサービスを日本にローンチさせるローカライズの仕事をしています。

ワーケーション、リモートワーク、デジタルノマドの違い

働きながら旅をするワーケーションですが、本題に入る前に用語をいくつか紹介させてください。私は前職の時はワーケーション、リモートワーク、デジタルノマドを以下のように分類して営業先などで説明していました。

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リモートワーク (テレワーク):遠隔地から仕事をすること。
デジタルノマド:デジタル技術を利用して各地を転々とする人。

当時メディアを運営しながら営業にも同行しており、「今後場所を選ばず働く人が増えるので旅行業界が注目すべきはワーケーションです」と営業先の旅行会社や観光局で必死に訴えておりましたがあまり共感は得られませんでした。しかし先見の明をお持ちで広告を出してくださった観光局さんなどもありました。

アウトバウンドの注目はワーケーション! 観光業界がノマド市場を狙うべき理由10

まさかパンデミックが起きて、菅官房長官の口から "ワーケーション" という言葉が出てくるとまでは予測していませんでしたが……。

2035年までにはノマドの数は世界10億人になる

デジタルノマドに向けたお役立ちサイトnomad listのCEOピーター・レベルやデジタルノマドビザを発行しているエストニアの政府のCIOターヴィ・コトカさんはデジタルノマドの数は2035年までに10億人になるという試算をしていました。メディアを運営していた当時は「どうしたらそんなに増えるのだろう?」と首を傾げていましたが、今回のパンデミックによるリモートワークの浸透で「なるほどそういうことか!」と、このシナリオにびっくりするとともにひどく納得しました。

ワーケーションのメリット5つ

さて私が4年間世界中の都市を仕事をしながら転々とし、気がついたワーケーションのメリットとデメリットを紹介していこうと思います。ぜひ今後ワーケーションをしてみたい人、ワーケーションを取り入れたい会社の方などお役立ていただければ幸いです。

QOLが大幅に向上する

私は世界を転々としながら仕事をするようになりQOL(生活の質)が格段に上がりました。毎日ストレスしかない通勤の風景、代わり映えのしないオフィスの景色を目に入れていることに関して「人生を無駄にしている」と感じたからこその、会社へのワーケーションの交渉でした。実際ワーケーションをしてみて、通勤時間やオフィスの風景は各地での経験へとかわり、生活の質は格段に上がりました。

仕事へのモチベーションが向上する

毎日同じ生活を続けていると人は怠惰になりがち。しかし様々な都市を移動して生活していると怠惰でいることが難しくなります。目に入る景色から体に入れる食べ物、耳に入る言葉など5感に入る全てが新しい情報。さらに新しい土地に滞在し、仕事をし、観光をするのならば毎日情報を自ら調べることも必要です。故にダレた気分になることは皆無、旅をする勢いが仕事の勢いも加速させます。

ビジネスチャンスがひろがる

私の現在の仕事は、実は会社員時代に訪れた海外のコワーキングスペースから訪れたツテなのです。様々な国のコワーキングスペースなどに行くと、同じくリモートワーカーやデジタルノマド、ワーケーション中の人と多く出会います。そこで仕事が生まれるということも多々あります。その他にも海外のビジネストレンドなどにもリーチすることができます。例えば2018年、2019年はUdemyなどのオンライン学習の講師をしているというノマドたちに海外のコワーキングで多く出会いました。実際最近日本でもudemy講師が稼げると話題になっていますよね?だいたい世界の流行は日本に3年後にやってくると言われていますが、3年前にリーチすることができます。これは海外に限らず、様々な土地で得た見地を仕事に生かすことができるというのは、win-winですよね。

グローバル人材になれる

大学時代に英語のゼミに所属していましたが、教授は "グローバル人材" という言葉をしきりに口にしていましたが、当時はピンときませんでした。それが海外の人々と仕事をするようになり、"グローバル人材" とはグローバル基準で物事を考えられることだということに気がつきました。ワークカルチャーひとつとっても、国内と海外では常識が違います。例えばE-mail、日本はまだまだ丁寧に書くべきとか、ついつい長文になってしまう、なんていうことが多いかと思うのですが、海外はまずは長文メールは逆に失礼に当たります。日本ではまだまだクライアントは神様扱いだったりしますが、欧米ではあくまで対等であったりと、日本とは真反対なことが常識だったりもするのです。これは海外でのワーケーションが前提になりますが、国際感覚を身につけるのに最適な働き方でしょう。

情報資産が手に入る

各地を転々とするにはまず情報が必要です。そこまでどうやっていけばいいのか?どこに滞在すればいいのか?食事はどこで取ればいいのか?Wi-Fi、電源があるカフェはどこなのか?どこの観光地を巡るのか?など、知らない土地では必要情報を1から調べなくてはいけません。

現実私も週の2時間くらいは滞在先をリサーチしていたり、飛行機や列車を探していたりします。Google mapにはピンだらけ。トイレに入ったらすかさずカフェやレストランを探し、行きたい場所リストを作ります。お膳立てされたツアーとは違い、実際自分の足で歩くのでここにスーパーがあるとか、ここに仕事しやすいカフェがあるとか1週間、1ヶ月も滞在すれば体で覚えます。

さらに滞在するとその土地に関して興味が湧いてくるので、歴史や現在の経済状況などについて調べたり、現地の人にヒアリングをしたりします。世界で今何が起こっているのか、これは貴重な情報資産でしょう。

生活が能動的になる

このようにワーケーションをライフスタイルにするのであれば、調べるという能動的な姿勢は不可欠です。さらに経験からも多くの情報が入ってくるので、その情報量から1週間が1ヶ月くらいに感じることがあり、人生の密度が上がります。

ワーケーションのデメリット5つ

メリットもあればデメリットもある!様々な都市で仕事をしてみて感じたデメリットを挙げていきたいと思います。

メンバーシップ雇用ではプロジェクトが破綻する

ワーケーションだけではなくリモートワークの場合も、いわゆる日本企業のメンバーシップ雇用の働き方だとプロジェクトが破綻する恐れがあると思います。メンバーシップ雇用とはジョブディスクリプションのない仕事、つまりこなすべきタスクがはっきりしていない仕事ですね。きちんとプロジェクトの中で必要になる仕事をタスク化して、それをメンバーに分散させる管理職の存在も重要です。タスクがない場合は、何をしていいのかがわからず、リモートなので次第にコミュニケーションも減っていき、「あれ?あの人今何してるの?」ということが起きがち。せっかくモチベーションが湧いても、やることがなければサボって観光に行ってしまったり、本業ではなく副業に手をつけているなんていうことは起こりがちですよね。

一体感や熱量を感じることは物理的に難しい

物理的な距離というのは精神的にも影響するというのは、リモートワークを実践して実感した人も多いのではないでしょうか?もしチームの一体感や士気などに重点を置いている組織だとしたら、これは難しいかもしれません。ワーケーション、リモートワークに向いている仕事といえば、タスクがはっきりしていて、メンバーが淡々とこなすというものです。「チームで一体となってXXX億目指すぞー!」のような熱量を共有したい企業であれば、やはりオフィスを借りて集まった方が良いでしょう。

ワーケーション格差が起こる

一口にワーケーションと言っても、もし日本、特に東京で家を借りているという場合にどこかに出かけて滞在するのは、家賃が2倍にかかってくることになります。解約して行ける状況なら構いませんが、拠点を確保しつつ地方や海外でも滞在したいとなった場合は、金銭的に難しいという人が多いでしょう。

一方持ち家や都内に実家があり帰国した時だけそこに滞在するという形が取れる場合は、ワーケーションは比較的取りいれやすいでしょう。しかし最近は住宅のサブスクリプションなどもあるので、長期ワーケーションを希望の人は、賃貸を解約して、定額制のサブスクに申し込むのも手だと思います。

DINKSが前提になる?

未就学児の子供を連れてワーケーションとなると、物理的に子供の面倒を見ながら仕事をするということは難しいのではないかと想像します。しかし私が今まで世界を回った中に、小さな子供がいる家族ノマドファミリーも少なからず存在しました。国によってはシッターさんを雇ったりなどそれなりに方法はあると思いますし、短期のワーケーションであれば問題ないでしょう。

海外の場合は時差がある

国内やアジアなら問題になりにくい時差ですが、ヨーロッパやアメリカは日本との時差が大きいので、就業時間が決まっている人にとっては体力的にきついでしょう。実際コワーキングスペースで、深夜に働いているヨーロッパのノマドなどに出会ったことがありますが大変そうでした。

ということで、ワーケーションのデメリットの大部分は仕事に支障をきたす恐れがあるということです。会社を利益追及集団と定義する今は、個人のタスクもはっきりしないままワーケーションを取り入れたら、破綻や停滞が目に見えています。今のような会社にいれば月給が出るという感覚の人がワーケーションを実施したら、何か追及されない限りサボりますよね?私が経営者だとしたら、ワーケーションをとるリモート社員には、月給制ではなくタスクに値段をつけて仕事をさせるかもしれません。

ということでワーケーションのメリット・デメリットについて書いてみました。これからワーケーションをしたい方、取り入れたい会社の参考になれば幸いです。会社の福利厚生としてワーケーションがあるという企業も増えてくると思いますが、目的とタスクを顕在化してあとは淡々とこなしていく、これができるかどうかがキーになってくるでしょう

最後に私がワーケーションを実践してきて昨今経験している、AI時代らしい仕事の仕方の変化についてを以下の記事に書いているので、よかったらこちらもどうぞ。







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