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可愛いものを可愛いってだけで選べなくなった私たち

友人と電話をした。

服を選ぶときに、ミニスカートは短すぎるとか、リボンは若すぎるとか、ピンクは派手すぎるとか、そういうことを考えちゃうって言ったら、短く、でもはっきりと「わかる」って言ってくれた。

思えば小さい時は自分の欲求に忠実だった。引っ越して自分の部屋ができるとき、電気カバーもカーテンも迷わずピンクにした。(しかもカーテンはキティちゃんの柄)

小学生になって勉強机を買ってもらうときは大好きなディズニープリンセスモチーフのに即決したし、七五三の時はピンクのフリフリドレスを着た。

服も靴もカバンも何から何まで自分が好きなものをちゃんと選べる子だった。これ可愛い、これが好き、これにするって。

それなのに、社会人になって引っ越す時、私はカーテン、カーペット、ソファーと、買うもの全てに頭を悩ませた。

白なら合わせやすい?水色の買った方が明るくなる?茶色が無難?いっそ全部黒?

あーーー、もう、誰か選んで!!!って思いながら、インスタで#インテリア#部屋作りとか調べてみたりして。そうやって、それっぽくなる、それっぽく見えるものたちで部屋を埋めた。

なんだかなぁ。

大人って、自由だと思ってた。お金もある程度好きに使えるし。でも、実際は何にも考えなかったあの頃の方が怖いもの知らずで大胆で、何でも選ぶのが楽しかった。

なんて思っていた矢先、恋人が新しいコートを買いに行くというから、私もついでについていった。あれこれ見ているうちに、この前ショーウィンドーで見かけたコートがふと浮かんで、無性に着てみたくなった。

そのまま恋人をお店に引っ張っていった。やっぱりすごく可愛かった。うずうずしながら鏡の前でコートに袖を通した。「可愛い」「似合う」「運命の1着」って、口々に褒め合った。

その日、もちろんその最高に素敵なチャコールグレーのコートを連れて買った。

こんなにワクワクしたなっていつぶりだろう。そう思った時に、今までみたいな買い方はもうやめようと思った。

私が欲しかったのは、インスタで”いいね”をもらうためのモノじゃなくて、なるべく無難に普通に見えるような服でもなくて、私の気持ちがときめくものが欲しかったのだ。

どうせなら好きなものに囲まれてハッピーに生きたい。これからは好きに忠実でいるぞ。

例え、ちょっと変だとしてもね。


終わり。

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