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トーチェ氏の心の法則―あなたの知らない“あなた”(1998/10/01)/ジョエル・マリー・トーチェ【読書ノート】

この本は、結婚や職業など生活の全般にわたって、いっそう幸せな結果を獲得するために有効な原理を、簡略に、実務的に知りたいという多くの読者や学生たちの要望にこたえて準備されました。従来のような方法によっては「絶望」と診断された多くのケースについて、私たちが取り扱って成功したいろいろな方法が述べてあります。長寿、世界平和、健康、そして健全な事業の発展などについて示された新しい手引きが、特に興味をもって読まれることと信じています。

今よりもっと幸せな未来を楽しむためには、私たちは今までの態度を変えることを学ばねばなりません。あなたは「利己的である」ということで、他人を非難することを教えられてきたかもしれません。しかし、はたして利己的であることが本当に悪いことでしょうか?

小さな桃の種を考えてみましょう。

大地にまかれた種は、生きていくために地中から水分とミネラルを吸収しなければなりません。発芽した後は、土壌からだけでなく、太陽と空気からも養分を取ろうとして他の植物と競争します。

時間をかけ、苦労のすえ、生存競争に打ち勝って、桃の種はついに一本の木になります。
そして、やっと今度は「与える」ときを迎えます。しかし、初めての実りは乏しいでしょう。一個か、せいぜいニ個の小さな実をつけるだけです。

このように利己的に生きてきた植物は、木になってからもいっそう利己的になります。
深く根を張ってさらに水と養分を要求し、枝えだは光と空気を求めて伸び、茂ります。
ゆっくりと、しかし確実にこの小さな利己的な桃の種は大木にまで成長し、数えきれないほどの桃を年ごとにたわわに実らせます。

この果実の種が次々に幾百万の桃の本を育てて、長い年月には、幾千億の桃を実らせるのです。最初の一粒が利己的でなかったならば、このような恩恵はいったいどこから生まれてくるのでしょう。

また逆に、もしこの桃の種が非利己的であろうと決心し、生育に必要な正当な分けまえを他の種が奪い取るままにしていたら、その実りは、見る影もなくやせこけた、せいぜい2、3個の桃だけだったでしょう。

こうした観点からみると、利己的であることも、ある意味では充分価値あるものであることをあなたは同意してくださるでしょう。
利己的であることが必ずしも悪いことではありません。

すべてを善とみましょう

……それでは戦争はどうでしょうか?
たとえば、第二次世界大戦を考えてみると、長い目でみるならば、利益の方が戦時の災害をはるかに上まわっていることが容易にわかります。

戦後の国連の誕生、発展途上国の工業化、諸国の民主化、そして史上空前の繁栄などは、集団虐殺、文盲、疾病、飢餓等の人類の不幸をつぐなってあまりあり、数十億の人々に利益をもたらす結果になっています。

また1957年までに原子エネルギーによる医療によって救われた人の数は、広島・長崎の原爆で犠牲になった人々の数よりもはるかに多くなっています。

それでは、病気はどうでしょう?
前に述べてきたとおり、病気は意識の表現の一つですから、その意味で有益といえます。
病気が存在しているために、人は医学をとおしてその治療法を追求し、そして人体というものをいっそうよく理解しています。

また、不健康であることが、健康の恵みに感謝することを教えてくれます。ちょうど、スラム街がモダンな都市の美しさを教えてくれるように……。

私たちが「悪」と呼んでいるものは、楽しく望ましい状態を気づかせ、そして人類の進歩に向って努力することを教えてくれまずから、その意味で、実際大きな目的を持っているのです。
だから、病気も実は善なのです。


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