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旧統一教会 大江益夫・元広報部長懺悔録/樋田毅(2024/08/20)【読書ノート】

ウラミマス……あたしを捨てた自民党

旧統一教会の元幹部である大江益夫氏の証言から、教団と自民党の密接な関係が浮き彫りにされた。大江氏によれば、教団が自民党を支持したのは、憲法改正を実現するためだったという。特に「国を愛する義務」を盛り込むことを目指していたが、実際には自民党議員たちはその意欲を見せず、唯一真剣に取り組んだのが安倍晋三元総理だったと述べている。
しかし、2022年に安倍元総理が銃撃された事件を境に、自民党は教団との関係を一転させた。大江氏は、安倍氏の死後、教団への批判が高まる中で、自民党が教団を見捨てたことに強い憤りを感じているようだ。統一教会側は、特定の政治家への組織的支援を否定しているが、元幹部の証言はその背後にある複雑な関係を示唆している。
この証言をきっかけに、教団と自民党の関係や、統一教会の活動が再び注目されることは間違いないだろう。安倍元総理の憲法改正への強い意志が、教団の支持を集めた背景には、ただの政治的利害を超えた思想的な結びつきが存在していた可能性がある。[出典:週刊文春 2024年8月29日号]


本書紹介

旧統一教会の元広報部長であった大江益夫氏はかつて広報担当として、旧統一教会の内情に深く関わり、数々の問題や事件に直面した人物だ。自身の人生を振り返り、懺悔として語るこの物語は、統一教会がどのような組織であったか、その内部で何が起きていたのかを明らかにする。
「彼は早稲田で死んだ」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した樋田毅氏が、大江氏の生い立ちから統一教会での活動、そして病を通じての心境の変化に至るまで、深く迫っている。

韓国への送金問題、霊感商法、元世界日報編集局長の襲撃事件、クーデター計画、自民党や自衛隊との関係、日韓トンネル、赤報隊事件など、非常に多岐にわたるテーマが取り上げられている。この作品は、大江氏が旧統一教会という巨大な組織の中で経験した葛藤や苦悩を通じて、読者に組織の実態を伝えるものだ。本書を通じて、旧統一教会がどのような組織であったのかを理解し、大江氏が人生をかけて懺悔した理由に迫ることができる。

目次
プロローグ
【第1章】出会い
【第2章】生い立ち
【第3章】早大原理研究会
【第4章】川口大三郎君事件
【第5章】霊感商法
【第6章】幻のクーデター計画
【第7章】日韓トンネル事業
【第8章】旧統一教会広報部長の時代
【第9章】自民党との「絶縁」を求める
【第10章】赤報隊事件
【第11章】今後の教団について

大江氏懺悔録

目的のためには手段を選ばない

『高齢者など社会的弱者から多額の献金を受け取ることに慎重であるべきだ』
『生活基盤を脅かす高額の献金を受け取ることは自粛が必要』
これらの私の提言が無視されてきたことが改めて悔やまれます。
統一教会は目的のためには手段を選ばなかったところに根本的な問題がありました。

詐欺も方便

早大原理研では、寮の費用や伝道活動の資金を得るため、物品販売や募金活動に取り組みました。 その際、『障害者トーク』といって、障害者のふりをして相手の同情を得たり、『土下座トーク』といって、募金を求める際に土下座し、頭を地面に擦りつけてお願いしたり、と極端な手法を実践しました。
これは、目的が正しければ、どんな手段も許される、という考え方で、後々の霊感商法にも通じるものでした。過ちの芽を小さなうちに摘み取ることができなかった。このことを懺悔しなければなりません。

人々を不幸にする宗教

霊感商法こそ、統一教会の進むべき道を誤らせた諸悪の根源だったと私は思います。若き文先生の号令のもと、日本の教団が組織をあげて経済活動に走った。そして、韓国の教団本部へ巨額の送金を続けた。最初は高麗人参の粉末、次に濃縮エキスの販売に取り組みました。壺、多宝塔、印鑑などの販売が始まると、それらに霊力があることにして、法外な値段で売る、いわゆる霊感商法が考案されました。霊能者の役、その介添え役を信者が演じ、お年寄りや弱い者を騙す。
『壺を買わないと先祖が救われない』と恐怖心を煽り、販売するわけです。世間の批判で霊感商法をやめた後も、『献金しなければ先祖が救われない』と脅すようにして金を集める手法に受け継がれました。
人々を幸せにするはずの宗教が、人々を不幸にしてしまった。これはもう、やりすぎであり、懺悔せざるを得ません。

霊感商法

私の広報部長時代の七年間は、一言でいえば、悲惨な日々でした。霊感商法について、『経済活動は、宗教団体とは無関係』という〝広報部長のコメント"を出し続けていました。経済活動を主導した株式会社ハッピーワールドの実態は信者組織そのものだったので、事実に反するコメントでした。
被害弁連が起こした民事裁判で、経済活動と宗教活動が一体化している実態が認定されると、もう否定することができなくなり、信者からの献金という形に変えての〝経済活動〟となりました。その献金のために困窮する家族が続出しました。
広報部長として、こうした事態を看過できず、『生活基盤を脅かす高額の献金を受け取ることは自粛が必要』などと訴える論文を書いて組織上層部に訴えましたが、無視されました。もっと徹底的に闘うべきでした。懺悔しなければなりません。




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