精神疾患の方が傷病手当金を受給するための方策
弊所への傷病手当金についてのご相談が増えています
・傷病手当金の支給対象となる病気やケガには、うつ病や適応障害などの精神疾患も含まれます。
・傷病手当金は退職後も受給できます(支給期間は支給を開始した日から通算して1年6ヶ月)。
「受給ができるか不安」
「支給されないと生活ができない」
「病気が完全に治るまで支給してほしい」
精神疾患を患う相談者から、こうした傷病手当金についてのお話を伺います。病気で仕事ができない状態では、傷病手当金が唯一の収入源です。こうしたお悩みは当然のことだと思います。
また、病院の相談員や医師にこうした話をすると「傷病手当金目当てに通院していると思われるかもしれない」というふうに、必要以上に深く考えすぎてしまうこともあるようです。
このような状況から、申請書を記載する医師及びその関係者(病院の相談員など)や、支給・不支給を決定をする協会けんぽとは関係のない弊所に、傷病手当金のご相談をされる方が増えてきているのだと思います。
傷病手当金を受給するには?支給を続けてもらうには?
相談者から「傷病手当金を受給するには?支給を続けてもらうには?」という相談を受けた際に、弊所からお伝えしていることは「体調や思っていることを、正直にそのまま医師に伝えてください」ということです。
詐病について
まず、傷病手当金を受給するために、医師に病状を重く伝えるのはやめましょう。理由は「詐病」を訴える患者が一定数いることは、精神科医の常識となっているからです。
詐病・・経済的または社会的な利益の享受などを目的として、病気であるかのように偽る詐偽行為。
弊所と関わりのある精神科医全員(4名)が「詐病について経験がある」と答えました。そのうちの一人の精神科医からの話では、参加した研修で約7割の医師が「詐病」について経験がある、と答えたそうです。また、こうした事実を踏まえ、「詐病への対応」をテーマにした研修も行われているそうです。
確かに、詐病を証明することは困難です。特に精神疾患の場合は、患者の話をもとに医師が診断します。患者の話が「本当」なのか「嘘」なのかを見抜くことは現実的に不可能です。
しかし、いくら詐病の証明が困難だからとはいえ、現在の詐病に対する精神科医の認識や取り組みを考慮すると、「医師に病状を重く伝える」ということは、傷病手当金を受給するという点において「危険な行為」と言えます。
正直が一番の正攻法
では、どうするか。「体調や思っていることを、正直にそのまま医師に伝える」ということです。
今の体調や気分、思っていること、感じていること、処方されている薬を飲むとどうなるか(楽になるのか、気分は沈んだままなのか)など、そのまま医師に伝えてください。当然、良くなったことも伝えてください。
良くなったことを伝えると、医師は病気は治ったと判断して傷病手当金がもらえなくなるかもしれない、と心配になりますよね。確かに、体調も気分もずっと調子が良い、ということであれば、仕事を始めてお金を稼げばいいと思います。しかし、良くなったことのほかに、元気だった頃のようにはいかないこと、不安や心配に思うことが少しでもあるならば、そのことも医師に伝えてください。そうすれば、医師はそこに焦点を当てて治療を行ってくれるはずです。
良くなったことがあるからといって、病気が完全に治ったとはいえないのです。傷病手当金がすぐにもらえなくなるということもないと思います。
さいごに
病気について、医師に良くなったことも、心配なことも、不安なことも、正直に伝えましょう。正しい治療、そして正しく制度やサービスを利用して健康になってください。
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