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【第4回】現場の見える化でEX・CXを改善-業務設計のメリットや効果とは

フュージョン株式会社は、CRM領域を得意とするマーケティングカンパニー として、長年CRM戦略策定や施策設計・実行支援を伴走型で支援しています。

今回、マーケティング支援のプロフェッショナルであるフュージョンが、業務設計のプロフェッショナルである株式会社CaTラボ代表取締役の逸見さんと協力し、戦略と実行をつなぐ位置づけとして新たに立ち上げたサービスが「マーケティング業務設計支援サービス」です。

この全5回の記事シリーズは、オムニチャネルコンサルタントの逸見さんと、フュージョンのサービス立ち上げメンバーが、対談形式で新サービス立ち上げの経緯や感じたこと、魅力などを語る企画です。

第1回「マーケティング業務設計支援サービスで課題解決を」
第2回「オペレーション業務目線での魅力とは」
第3回「業務設計で現場とシステムを接続」

第4回は、ダイレクトレスポンスメディア(主にダイレクトメール、WEBマーケティング)のプロモーション企画・設計を担うクリエイティブチームの木田と加藤が、業務設計支援サービスの立ち上げまでの経緯を逸見さんと一緒に振り返ります。


はじめに

逸見:まずは自己紹介お願いします。

木田:ソリューション第2グループ1部クリエイティブチームの木田です。
クライアントへの企画提案、そして受注後のWebやダイレクトメールといった制作物の進行管理を担当しています。

加藤:同じくソリューション第2グループ1部クリエイティブチームの加藤です。主な業務は木田と同じですが、特にWebサイトの運用やアプリの企画に携わることが多いです。

逸見: 業務設計支援サービスの立ち上げに関わって、率直にどうでしたか?

木田: 今までの僕たちの企画は、プロモーション施策そのもの企画が多かったんですが、今後は施策を継続運用する段階でも提案できることが増えそうだと感じました。

加藤: これまで自分には見えていなかったクライアント社内の流れまで把握して企画提案できるのと、Webサイト運用の場面でも業務フローがしっかり理解・整理でき、よりスムーズになっていきそうだと感じています。

逸見さん(左)、木田(右手前)、加藤(右奥)

業務設計の当初イメージ

逸見: 「業務設計」と最初に聞いたとき、どんなイメージをしていましたか?

木田: 最初に聞いたときは、「業務設計」という言葉のイメージと、実際にやることがうまく一致していなくて、「マニュアルを作る」みたいなイメージをしていました。

加藤: 私は「設計」という言葉の印象が強く、0から構築していく壮大なものをイメージしました。実際は、業務「設計」というより業務「分解」と「理解」が本質なのかなと感じました。
業務フローを作ったとき、わかっていたはずだけど、フローにするとどうなっているんだっけ?と。普段は暗黙知とコミュニケーションでうまく成り立っていることも実感しました。

逸見: 業務フローをつくること、最初はみんなすごく面倒くさそうな顔をするんですよね。
だから、サービス立ち上げ前の事前研修では、業務フローの作成に入る前に「何のためにやるのか」を理解するため、「それぞれが担当している今の業務課題はなんですか?」と、ポストイットに書き出して、あるべき姿を描くところから始めました。
「これが解決したい課題だけど、どこをどうすればいいのかが見つけられてない」、もしくは「なんとなくわかってるんだけど周りに説明ができない」という気持ちになったとところで、「業務をフローに起こしていく必要がありますよね」と。

業務フローを作成すると生まれるメリット

加藤: 実際、業務フローにしてみたら、想像以上にボリュームが膨らんでいき、頭の中だけで処理していたことがたくさんあったことに改めて気づきました。

木田: 自分のタスクの奥にこんなに多くの人が関わって動いていたことも見えてきました。
最初に業務課題を挙げたときに、「誰がどんなスキルを持っているのかわからないからうまくできない」と考えたのですが、業務を可視化してみると、実は人のスキルの前に、そもそも部署同士がどういうふうに繋がっているのか、なぜ役割分担しているのかを先に把握することが重要だと思いました。
 
逸見: そうですね、人のスキルだけで仕事を組んでしまうと、全てがバイネームになって、暗黙知が濃くなるんですよね。そうすると再現性がなくなってしまう。
どういうストーリーでやったから、あの良い成果が生み出せたのかという話を、暗黙知の塊で話されてしまうと、誰もわからない。
でもこれが、業務フローに起きていて、「ここでこういうことをした」ということを可視化すると、再現性があり他の人が真似できるんです。

加藤:現状のフローを書くと課題が見つかって、それが結局、将来のあるべき姿の業務フローに変えていけることがわかりました。
見つけた課題をフロー上に吹き出しで書いていくやり方なので、フロー上だからこそ、課題の優先順位を付けたり、影響範囲を考えることがしやすくて「どこを改善したら一番効果を発揮するか」を見つけやすかったです。

木田: あるべき姿自体も常に変化していくので、更新は常に必要ですが、マニュアルより業務フローの方が意外と更新しやすい
マニュアルは一度作ると更新するのが大変で、更新されていないことに気づかないことも多い。でも業務フローはまさにフローだから、何か変わったら誰かが絶対気づくはず、という点でも安心感があります。

逸見: クライアントにサービスとして業務設計を提供するということは、業務フローをクライアントの会社の立場で書くことになります。事前研修でも他のチームの業務フローを見てもらいましたが、どうでしたか?

木田: 自分が関わっていない業務フローだと、自分のイメージと違ったところから気づけることがあると思いました。
例えば、「この人はSQLの知識を持っているから、このあたりで入ってくるだろう」と思っていたところ、実際は結構あとの工程から登場していた、ということがありました。
きっと良かれと思って、そういうフローになっているんです。なぜかって
「ミーティングのメンバーは最少にした方がいい」
「いろんな人を巻き込むのは、物事が決まってからの方がいい」
という思い込みがあるからです。
でも、参加者が多くても初回のミーティングで決めてしまうと、その後の工程が一気に端折られて、すぐに仮説を立てて検証して、このSQLでいろんなデータを抽出して、そのままフォーマット化してBIに流し込めるみたいなことが見えてきました。
その方が、全体にかかる時間は短縮されそうだな、と。

逸見: 業務フローを書いていくと、ミーティングごとの役割が明確になりますよね。
「このミーティングでは何を決めなくてはいけないのか」、「誰が参加すべきなのか」。
そうすると、何度も何度もミーティングしなくていい。
今までの思い込みだとなかなか気づかないけど、フローで書いてあるからこそ、気づけたところでしたね。

他にも多くの企業が「作業の手が足りない」「工数が足りない」という問題を抱えている。
ここで、業務整理をしてから人をつぎ込まないと余計に大変なことになるんですよね。わからない現場にわからない人を更に放り込んでいったら現場は大混乱です。
だからこそ、まずは業務設計で業務を可視化すると、効率よくがんばれる下地を作れるので、ただがんばるより成果がでるんですよね。

業務設計の成果は経営指標の改善につながる

逸見: このマーケティング業務設計をフュージョンのサービスとして提案書にしたときにはどうでしたか?

木田: 最初に思ったのは、業務設計を提案するということに対しての入り方が難しいということでした。もちろん自分自身は必要なものだと考えていますが、必要であることをわかってもらう切り口はどこにあるんだろうかと。

加藤: 「業務設計をやったらどうなるのか」を盛り込むのも難しかったです。
「なんかいいこと」なのはわかるかもしれないけど、「具体的にどうなるのか」を伝えなくてはいけないのが、他のサービスとの違いだと思いました。

逸見: そうですよね。業務設計はいいものだし、絶対やった方がいい。でもどう伝えたら、伝わるのか。それを考えるにはクライアントを理解しなくてはいけない。
そのためには、「まずは決算書や財務諸表から見る」のがポイント。

加藤: 業務設計はまさに現場でやることですが、その現場の結果である経営数値がリンクしてくるんですよね。

逸見: 「現場と経営」とか「システムと営業」とかみんな何か対比して見ちゃうんですよね。でもフローを書いたら、繋がって一緒に仕事していることがわかるじゃないですか。経営も、承認と判断という形でフローの中に入っていますから。

まさに今、加藤さんが言ったみたいに、現場の活動の結果が会社の数字なんですよ。業務と評価は一体なんですよね。
だからフローの中にはKPIを入れておく必要がある。KPIが繋がっていないと、どんなに仕事で繋がっていても段々仲悪くなってしまうんです。相手が嫌いということではなくて、違う評価軸だとどうしてもうまくいかない。

例えば、商品担当は原価率低減がミッションになっているけど、一方で商品担当が仕入れたものを売る店舗は、在庫回転率が指標になっていることがある。どれだけ在庫を早く売って、残高を減らしているのかが指標。

商品担当は、原価率を下げるために、1,000個買ったら1個10円なんだけど、5,000個買ったら1個8円になるから、5,000個を買う。原価を下げるミッションを正しく実行している。

でも、店舗からみたら、在庫回転率を上げるために1,000個でいいと思っているのに5,000個くるんです。そうなると、倉庫を借りなくてはいけないし、人件費もかかるし。だったら早く売ってしまえと、5,000個を売り切るための値下げをする。

商品担当は10円のものを8円で仕入れて2円儲かったと思っているけど、
店舗では在庫回転率を上げるために、5円ぐらい下げて売っていたりする。

経営者も悪気があって評価指標を決めたわけじゃないんですよ。
でも評価指標が違うだけで、こんな矛盾が起きてしまう。
だからこそ、業務設計を提案するときは、業務フローの中で業務と評価(KPI)は一体であることを説明した上で、
「業務改善を成し遂げたら、皆さんの作業が減って楽になります。
でもその成果は、単に業務が楽になってコストが減ったではなく、業務効率が良くなって売上利益や人時生産性が変わります。」

と、目先の話だけではなく、結果、何が変わるのかを明確にしておかないといけない。

なので、財務諸表からわかる数字と、いわゆる決算説明会資料から、この会社はこれから何をやろうとしているかを理解する必要があります。

マーケティング業務設計支援でできること

逸見: マーケティング業務設計支援でできることとして、伝えたいのはどういうことですか?

加藤: EXとCXのつながりですね。

EX・・・Employee Experience、従業員体験
CX・・・Customer experience、顧客体験

クライアント担当者には、考えなくてはいけないこと、やらなくてはいけないことがあるけど、日々の現場の業務があって手が回らなくてできていない。その結果、エンドユーザーに提供できるはずのことができていなかったり、提供するものの質が低くなってしまっている…ということはよくあると思います。
だから、「EXとCXの両方をフュージョンが改善します」ということと、「その順番は、まずEXを改善して次にCXを改善するのがポイントです」とお伝えしたいです。

社内のいろいろなことを整理すると、部署間のちょっとした面倒なことが解消されたり、単純に作業時間が減ったりして時間ができるから、本当は自分が考えたかったことややりたかったことができるようになる。その結果、CXの向上につなげられる。そのCXまでもフュージョンはもちろんお手伝いできますと。

どちらかだけだと、やっぱり片手落ちですし、先にCXを始めると、元々ごちゃごちゃしている部分でEX側が悪化して、結果的に、やろうとしていた新しいCX施策が結局停滞することが簡単に想像できる。なので、その順番が実は大事、ということを伝えたいです。

逸見: まさにこのEXとCX組み合わせはポイントですね。
一緒にやっていきましょうっていう話とさっきの数字の話が結びつくと、クライアントの中で現場から経営までを通して納得感を作れると思います。

EXとCXは、切り離して考えられてしまうことが多いんです。
EXをよくしましょうという経営活動と、CXをよくしましょうという営業マーケティング活動は不思議と相いれないことになってるんですよ。
でも、どこの会社でも、社員は無限にいるものではないし、無限に働けることもない。
なのに、先にCXから取り組んでしまうと、現場が息切れしてしまって、EXどころではないし数字の改善もできないし、もっとひどいことになる。
だからEXをやってからCXという順序はとても大切です。

業務設計支援が生かせる場面

逸見: 最後に、業務設計支援はどんな方やどんな場面で利用してほしいですか?

加藤: 複数人でマーケティング業務に取り組んでいる人たちは、すべての方に当てはまると思います。
課題だということにすら気づいてない人たちがたくさんいるのではないかと思うんです。
「今までこの方法でやってきたから、自分はこうやるのがいいし、あの人はこれをやってくれていて、それを受け渡して、結果こうなっている、OK!」と思っていても、本当にそれが最適なのかは自分たちでもわかっていないはずです。
見えていないことを見える化していくことこそが、今回我々が学んだ価値なので、そこを生かしていきたいです。
例えば、今関わっている業務でも、複数の部署が関係しているのが見えているので、話を聞いて整理したら、もっと早くできたり効率が良くなったりしそうだなと思います。

逸見: マーケティングを複数人でやっている会社ですよね。規模が大きくなればなるほど、コミュニケーションや作業が段々複雑になってくるはず。
例えばソーシャルのツールだってどんどん進化して、やり方も世の中もどんどん変化している。過去のやり方をやり続けてもうまくいかない。
マーケティングを複数人で行う会社は増えてきているので、そこはまさにやってほしいですね。

木田: クライアントとお仕事を進める中で「この担当者さんは、どうしてこんな時間まで働いてるんだろう」とこちらがすごく心配になることがありまして。
今まで「何かできることがあれば」っていう声がけはしてはいたものの、何をどうすればいいかちょっと不透明だったのが、今回、この業務設計を通じて、そういった方々のEX部分を改善するお手伝いができる道具を持てたと思います。
今、むやみに人を増やせる時代でもないですし、それでいて、みんなもう時間は目いっぱい使っている状況ですし。
全体最適をして、クライアントのご担当者様が、より生活者に向けての企画を考える時間を作っていきたいです。僕たちにとっても、クライアントと新しい企画の議論をする時間が増えるのはとても嬉しいですし。対話の時間を増やすためにも導入できたらいいなと思います。

逸見: これからは、企画が通った後の運用や設計にまで一緒に踏み込んでいくことができるわけですよね。
そして、設計すると他にも業務が走っているものがあるから「それも一緒に整理しましょう」という話になって広がりますね。
クライアントの中でも、企画と運用設計がバラバラになっていると思うので、そういうところにフュージョンが一緒に入っていけるのは、まさに強みだと思います。
なんといっても、フュージョンの強みは伴走できること
業務設計のような、少しとっかかりにくくて面倒なことほど伴走が必要。
一度取り組んでおしまいではなく、伴走して成果を出して。そこから段々離れて1人で走れるようにする。これが本当にフュージョンの支援の強みだと思います。本日はありがとうございました!

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ご興味を持ってくださった方は、ぜひご覧ください!

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