【5分でわかるDCFM】オファーと行動喚起編
マーケティングチームの花澤です。
当社では、マーケティングの先進国であるアメリカの全米広告主協会(ANA)が提供しているマーケティングeラーニング講座DCFM (DMA Certified Fundamental Marketer) の日本語版を提供しています。
DCFMは全10モジュール(講座)あり、1講座あたり120~150分の動画を見て学習します。10講座受講後は、「修了テスト」に「合格」すると認定資格が受けられる仕組みです。
そんなDCFMの各講座の内容を紹介していくのが、この【5分でわかるDCFM】シリーズ。
今回の第3回は「オファーと行動喚起編」です!
「オファーと行動喚起編」で学べること
・わかるようでわかりにくい「オファーの定義」がわかる!
・15種類のオファーを紹介しているので、自社に合ったものが見つかる!
・メディアを問わず使えるオファーの考え方がわかる!
<「オファーと行動喚起編」目次>
1:オファーの基本
・オファーの定義と要素
・バリュープロポジションを効果的に伝える
・コールトゥアクション
・オファーの取引条件と役割
2:マーケティングゴール
・マーケティングゴール
・マーケティングゴールに影響するオファーの短期的効果と長期的効果
3:プロポジション
・状況に適したオファーの作成
・複数のターゲットに合わせたオファー戦略
・コンテスト、オープン懸賞、ゲーミフィケーションを用いた戦略
講座の中からポイントとなる部分をピックアップしてご紹介します!
なお、画像は全て実際の講座から抜粋しています。
1:オファーの基本
オファーとは、
「何らかの取引が行われる際の約束事、または、商品やサービスが宣伝販促される際の条件」
と定義されています。
オファー=値引きやプレゼントと思われがちですが、取引条件などもオファーに含まれます。
では、どんなオファーを提供するのがよいのでしょうか?
オファーの役割は、顧客を購入や問い合わせにつなげるための後押しをすることです。「この特典があるなら買おう」と思ってもらうためのフックがオファーになります。
言い換えれば、提供している商品・サービスに関連があり、顧客が欲しいものを提供する、ということになります。
それを「バリュープロポジション」と言い、オファーの設計には、「バリュー・プロポジション・キャンバス」というフレームワークを用いて整理するのがおすすめです。
※バリュー・プロポジション・キャンバスの設計方法については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
顧客への提供価値をデザインするフレームワーク「バリュー・プロポジション・キャンバス」について
次に、顧客がオファーに反応して行動を起こそうと思った時に、行動しやすい環境を整えることも大事です。
この行動を起こしてもらう仕掛けのことを「コールトゥアクション(CTA)」と言います。
コールトゥアクションには、
・目に留まるデザイン
・行動がわかるコピー
・緊急性を伝える
などが必要されます。
目に留まるデザインのテクニックについて、WEBサイトのボタンのデザインを例に紹介します。
WEB上で注文したいと思った時に、ボタンが見つからなかったり、導線がわかりずらいと機会損失になる可能性があります。それを防ぐために、ボタンに注目させ押したくなるように配置するには、対照的な色を使うとよいと言われています。
他にも、リーフレットからの誘導や店舗ツールからの申し込みなど、媒体によってCTAには様々なパターンがありますので、テストしてみて自社にあった表現を洗練させていきましょう。
2:マーケティングゴールとオファーの整合
オファー設計時は、マーケティングゴールと整合が取れていることも重要です。
オファーを考える前に、自部署のマーケティング活動のゴールに立ち戻ってみましょう。
・見込み客を見つける(認知向上と見込み客リストの作成)
・初回購入してもらう(新規顧客獲得)
・カスタマーロイヤルティを上げる(既存顧客の継続購入)
など、ゴールには複数の観点があり、1つの部署がすべてを担っていることもあれば、複数の部署に分かれていることもあります。
例えば、見込み客を見つけることがゴールの場合、まずは会員登録で無料オファーを提供し、短期的に見込み客を集めよう、という取り組みも考えられます。
また、自社商品・サービスについてSNSで広く情報発信をしているとしたら、フォロー&拡散でキャンペーンに応募できる、という施策を組めば、長期的に見込み客を育成することができるかもしれません。
このように、マーケティング活動のゴールとオファーを整合させて、短期/長期の視点で施策を組み立てましょう。
3:オファーの種類
よく使われるオファーを15種類紹介していきます。
①無料オファー
無料で商品を提供したり、プレゼントを贈るオファー。
「無料」はレスポンスにつながる強力な言葉です。
そのため、瞬発的なレスポンスにつながることがある反面、やりすぎると信頼を失うことにもなりかねません。
なぜ無料で提供するのかの裏付けも必ず説明するようにしましょう。
②無料お試し
無料で商品やサービスが試せるオファー。
新商品の導入や購入前に商品のベネフィットを伝えたい時に有効です。
お試しの前に、いくらの商品であるのかを明らかにすることで、オファーの価値を高めることができます。
③コンパウンドオファー
支払い額や取引期間に応じて、オファーのレベルが挙がっていくタイプのオファー。
会員ランクごとにオファーの内容を変えるロイヤルティプログラムなどが他該当します。
既存顧客の継続やクロスセル、アップセルに効果的です。
④紹介オファー
友達や家族を紹介することでもらえるオファー。
紹介は信頼でつながっているため、既存顧客に次いでレスポンスが高くなるのが一般的です。
紹介する側、される側に双方のオファーが必要なため、綿密な設計と業務フローの作成が必須になります。
⑤オファーの商品化
オファーを一つの商品として見せるもの。
月2,500円の雑誌定期購読を、「月額2,000円で年間購読パック」「20%OFFパック」のように、オファーを商品名に組み込むようなケースです。
同じオファー内容でも言い換えることでレスポンス率にも影響が出るので、どんな表現がターゲットに合うのかはテストします。
⑥1つ購入するともう1つ無料
1つの値段で2つ手に入るのが魅力のオファー。
売上点数を上げることにも貢献します。
⑦割引オファー
商品の正規価格、標準価格から割引を提供するオファー。
追加の売上が欲しい時、在庫を処分したい時などの短期的インセンティブとして有効です。
⑧セールオファー
通常より安い価格で販売を行うオファー。
季節ものなど、時間制限があり緊急性と価格に根拠を持たせることが大事です。
⑨時限付きタイムオファー
ごく短期間だけ提供するオファー。
期限を設けることで緊急性が生じ、顧客に決断を迫ることで即時行動を促す効果が見込めます。
⑩自動更新オファー
サブスクモデルでの継続で得られるオファー。
購入者から連絡がない限りは自動で更新となりオファーが付与されるため、オファーに気付かない可能性もあり、大きな成果は見込みずらいが、企業からの感謝を伝えロイヤルティ向上には寄与する可能性があります。
⑪継続オファー
定期的に商品が届き、その都度請求がある購買パターンで提供するオファー。
継続への感謝を伝えることが主目的で、消費者のウォンツよりニーズを優先するようなカテゴリで有効とされています。
⑫1日限定オファー(デイリーディール)
クーポンサイトなどで、その日限りの特別価格を提供するオファー。
新規顧客の獲得や、予算未達の月に追加売り上げを作りたい、といったケースに有効。
共同購入型クーポンサイト「グルーポン」が提供していたことから、日本では「グルーポン系サービス」と言われることもあるようです。
⑬あわせ買いオファー
合計金額が設定を超えると提供されるオファー。
1商品あたりは低価格で販売されるものの、クロスセルにより客単価をアップさせることに有効です。EC通販で、「合計5,000円以上購入で送料無料」が代表格です。
⑭キャッシュバックオファー
購入することで一定割合でキャッシュバックされるオファー。
割合は1~5%程度が多く、クレジットカード決済やオンライン申し込みでよく使われます。ポイントで還元するのもこの一種です。
⑮家族限定オファー
いわゆるファミリーセールのように、クローズで行われる関係者限定のオファー。
過去は小売店に勤務している人の友人や家族に限定されて提供されていましたが、現在は業種を問わず使われています。
eメールなど1to1のチャネルで告知されることがほとんどです。
4:ゲームや懸賞によるオファー提供に注意
短期的な収益アップを見込んで、ゲームや懸賞でオファーを提供する場合、
意識すべきことが2つあります。
1つは、ゲームや懸賞は売上には貢献するが、顧客ロイヤルティの向上にはつながらない、ということです。商社は懸賞でもらえる商品に興味があるのであって、提供している企業には興味がないことも多いからです。
ゲームや懸賞への参加=顧客、ではないことを理解してうまく活用しましょう。
2つ目は法規制です。
日本では、「景品表示法」によって懸賞による取引金額に応じて景品の限度額が細かく決められています。
全員の付与される「総付景品」、購入した人だけが応募できる「一般懸賞」など、内容によって制限が異なりますので、施策を実施する際は景品表示法を必ず確認するようにしましょう。
ここまで、消費者の行動を後押しする「オファー」について解説してきました。特にオファーの種類の紹介は、ブックマークに入れるなどして、施策を考える時のヒントになれば嬉しいです。
第5回は「クリエイティブコピーライティング編」をご紹介します。
▼第1回「eメールマーケティング基礎編」
▼第2回「ソーシャルメディアマーケティング編」
▼第3回「コンテンツマーケティング編」
▼第5回「クリエイティブコピーライティング編」
▼第6回「データベースマーケティング編」
▼第7回「データ分析とテスト編」
▼第8回「効果測定~基本編~」
▼第9回「WEBとサーチエンジンマーケティング編」
▼参考)DCFM受講者インタビュー
「マーケティングの全体像」が把握できるeラーニングDCFMの魅力とは
印刷会社がマーケティングを学んだら、オウンドメディアが立ち上がった話
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