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暮らしの記録

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#帰省

だから私は、オーブンレンジを買った

だから私は、オーブンレンジを買った

オーブンレンジがあれば何が出来るだろう。
グラタン、ピザにローストチキン。お菓子やもちろんピザだって焼ける。
そんな夢のような調理器具を購入するのに、どれくらいの時間がかかっただろう。あればいいなと思い始めてから、早数年。いつか買おうと思いながら3000円で買った電子レンジをずっと使い続けていた。

オーブンレンジは夢のような器具でありながら、なければないで何ともない。
温めや解凍ならレンジで十分

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帰省(3)

帰省(3)

「わあ、冷たい!」
歓声を上げる私の横で、娘が恐る恐る水に足を浸している。

海に来た。11月だというのに車のメーターは外気温30℃を示している。異常だと騒ぐ父をよそに、せっかく暖かいのだからと海に行くことにした。
自宅から10分程度で海辺に着く。京都の海沿いの町に住んでいると言うと、京都にも海があるのか、と時々驚かれる。南北に細長い京都の最北端。申し訳程度に接している海には、ちゃんと浜辺もあれば

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帰省(2)

帰省(2)

「浦西だから」
窓の向こうに空いっぱいの雨雲が広がっているのを覗きながら、そう母親がつぶやいた。朝は太陽が差し込んでいて、からりとした秋晴れの空のはずだった。ものの数時間でこうも天気が変わるとは。今朝スマホで確認した天気予報では、一日中晴れのはずだったのに。

ここ、京都府北部に位置する丹後地方では、丹後半島の近海を通る風の影響で、秋から冬にかけて気候が不安定になる。この不安定な天気のことを「浦西

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帰省

帰省

一年ぶりに実家に帰る。

小さい子どもを連れての長距離移動は勇気がいるものだ。電車で1時間、新幹線で2時間、そして車で3時間、合計6時間の道のりだ。
小田原から指定席に乗り込む。どうか隣の席に人が来ませんように。祈る気持ちでベビーカーをなんとか席の前に押し込んで、娘を膝に乗せると新幹線は動き出す。隣の席は空いたままだ。良かった。これで娘が泣き声をあげた時には席を立つことができる。前回の帰省のときは

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