21:生き方
以前、原田マハさんの「本日はお日柄もよく」という本を読んだときのことを、ふと思い出した。
とてもかっこいい女性よスピーチライターと出会った主人公が心を動かされ、人生が変わっていく物語だった。主人公が憧れたスピーチライターは勿論本当にかっこよくて、目の当たりにしているわけじゃないのに、読者である私も憧れた。
しかし、それ以上に主人公に心を奪われた。自分の感じたことと真摯に向き合い、生き方を考えていた。さらには、心が指し示す方向を捉え、大胆な決断までしていた。
現状を変えたいと思ってはいるけれど、何もできないで踏みとどまっている今の私とは大違いだ。
実は、私は現在、教員をしている。最近、教員の働き方がピックアップされることが増えてきている。世の中では「先生って大変」「変わらなきゃいけないでしょ」という声が増えているような雰囲気はあるらしい。だけど、実際には根本的なところは何一つ変わっていないと思う。小手先だけの、誤魔化しの「働き方改革」がなされているだけだ。来年度からは変形労働時間制とやらが導入されるかもしれない。
子どもたちの成長の瞬間に立ち会え、自分ではない人生に寄り添える。私はこの仕事は大好きだ。
だけど、自分の人生だって大切。行動を起こして成果が出れば、その分評価されたい。何をすべきか、本質を考え抜く議論がしたい。こんなにも当たり前のことをせずとも、手を抜いている人や場に流されているだけの人でも、給料は同じ。目の前の子どもに向き合っていなくても、労働条件は変わらない。
そんな現状に疑問を抱きつつも、何も動かないでいる私も、周りと変わらないじゃない。あの本の主人公になるためには、何が必要なんだろう。
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