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『滝沢カレンという幸福』 テレビかじりつきVol.7

「アルマゲドンを観た後 泣いた涙の量」

これは滝沢カレンが手料理をふるまう冠番組『NOと言わない!カレン食堂』にて、バターの分量を聞かれた際に彼女が返したコメントである。ゲストの松坂桃李と高嶋ちさ子は爆笑していた。

この番組ではサブMCの立場にいるサバンナ高橋からしばしば必要な分量を問われ、滝沢カレンが独特の表現で返すシーンが定番となっている。

冒頭の返しは天才的としかいえないが、えげつないのは番組内では何度も振られ、その度にユニーク回答を即答する彼女の瞬発力と大喜利力だ。

「隣の人にプレゼントするぐらい」「目薬を一年分ぐらい」「それぐらい飲んじゃいなよって言えるぐらい」等々…奇抜ながら不思議とイメージが湧いてしまう回答を連発する。

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滝沢カレンのタレント性を言及することに今さら意味は持たない。それは周知の事実だからだ。最近たまたま彼女が出演するバラエティを続けて見ることがあり、やっぱりユニークで魅力的だと思ったのでせっかくならと書き留めたくなった。

滝沢カレンが放つ言葉に含まれる薬味の分量は、いつだって完璧なバランスだ。

ユニークながら狙いや衒いが無く、かといって天然というふうでもない。一つひとつの言葉が使い古された定番の型に嵌められることなく、これまで組み合わされたことのないような別の言葉に紐づけられ、結果的にニュアンスを伝達する。

イチゴが初めて大福と出合って苺大福として受け入れられたように、彼女はありえなかった言葉同士を出合せたり、セオリーの教科書に過去存在していたかった言葉選びをしたりする。

一生懸命に伝えるあまり、時にスパイスの効いた失礼な物言いになるケースもあるが、懸命に伝えようとする真摯な姿勢と朗らかな笑顔の挟み込みによって不快な印象には取られない。

見た目の雰囲気から醸し出される何ともいえない上品さと親しみやすさ、そして結果的に納得か爆笑のいずれかをもたらす言い回しによって周囲は魅了される。彼女の言葉を最後まで待てる。

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先の番組でも、基本は誰に対しても手厳しい高嶋ちさ子に「ウチの息子の嫁にしたい。大好き」「言葉遣いは間違ってるけど丁寧なところ(がいい)」と絶賛されていた。あとこれ、番組自体もめちゃくちゃ面白くて幸福な空気に包まれている。

滝沢カレンを嫌う人っているのだろうか。想像できない。それぐらいテレビで見る限り卑しい部分を一切感じさせないし、常に期待に応えるパフォーマンスを見せている。

おそらくブレイクの発端は『さんま御殿』だと思うが、あのお笑い怪獣から全幅の信頼を得てそのユニークさにお墨付きを与えられてる時点でもはやバラエティでは重宝され続けるだろう。

過去の自分のツイートも振り返ってみた。

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4年以上も前のツイートになるが、その頃から活躍していたことが分かる。

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「有吉弘行の毒舌が許されるのは毒づいた後にかわいい笑顔を必ず見せるから」という定説同様、滝沢カレンも常に愛嬌を持ち口角を上げている。

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彼女の人柄、またキャラクターが薄っぺらいものでないことは神田伯山とMCを務めていた番組でも随所に見られていた。特に最終回で彼女が読み上げた手紙の内容は、まさに彼女にしか書けない借り物でない筆致で、番組への想いとスタッフ・伯山への愛に満ち溢れていた。

おバカな天然キャラやタメ口ハーフタレント等、消費のされ方はいくらでもあったはずなのに、彼女は一過性のブレイクで終わることなく独自のポジションを築いている。いまだにバラエティで愛され、モデルとしても活躍し、MCまで任される立場に至っている現状に、まるで疑問はない。

バラエティで見かけるたび毎回「そりゃそうだよなあ」と納得させる輝きを見せている。

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サポートが溜まったらあたらしいテレビ買います