「レムール症候群」と「口唇腺疾患」について
①レムール症候群：マダガスカル島の霊長類に見られる、未解明の生命現象
21世紀になっても、どうしてそうなるのか、全く説明が出来ない生命現象はまだまだ多いと思う。表題に挙げた「レムール症候群」（英語はlemur syndrome）もその一つだ。病名のようについているが、雄と雌で体格がほとんど変わらず見分けが付かない現象を指しているようだ。
哺乳類では、ライオンが非常にわかりやすいと思う。雄だけにたてがみがある。オシドリもわかりやすい。雄の羽が艶やかである。しかし、レムールにはそれがないのだという。内分泌系のメカニズムなのか、性選択が働くのか、気候なのか島の地理的特徴なのか、云々...いろいろ研究はされているようだが、それでも、原因はそのいずれでもなさそうで、正直、わからないのだという。
レムール症候群と言う言葉は直訳になり、この言葉では、日本語の検索では、全く情報が見当たらなかった。
以下の英文雑誌には、蟻の形態や生殖に影響を及ぼす寄生生物について、詳しい知見が記載されている。寄生虫、カビなど、様々な生物が、蟻に感染し、自らの生存をかけて宿主の生殖を影響させていることが学べる。感染して琥珀色になった蟻の写真は美しいとすら思う。しかし、現在も原因が全くわからない蟻の病気があるという。labial gland diseaseという英語になる。
evodevojournal.biomedcentral.com
https://evodevojournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13227-021-00173-2
適切な日本語訳はないが、唯一写真の情報がある、以下のサイトを日本語訳すると、「口唇腺疾患」となるようだ。上記総説では、何らかのウイルスではないかという記載のされ方をしているが、何も根拠はない。過去の研究者の報告で、粒子が確認されたという報告があるのみである。また、この疾患で感染した蟻の胸部がたくましくなることは知られているが、生殖にどのように影響するのかは明確になっていない。感染源は幼虫時代に餌を与えられて感染するとあるが、感染経路の全容も明らかではない。
このように、分析技術やAIの進歩した現在においても、未解明の生命現象はあるのである。この現象は日本に住む蟻にも見られるようなので、胸の大きさとその個体数など、教育の自由研究として取り上げてみるのも良いかもしれない。
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