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保育士の社会的地位向上に、学歴は関係するか?

以前の記事で、保育従事者の社会的地位について述べた。

その際は「男性優位社会」の弊害であると結論付けた。
今回は、前回の補足のようなものである。

問題は「なりやすさ」なのか?

保育従事者(以下、利便性を考えて❝保育士❞と表記)の社会的地位が上がらない要因の一つとして「なりやすさ」も関係しているのではないか。

保育は専門職である。
子育ての延長のように捉えられがちだが、本質は全く異なる。
そしてもう一つ。
命を預かる仕事である。
まさに、医者と同じなのだ。

医師免許を取得するには、専門的知識の習得はもちろんのこと、研修医制度も取り入れられ、現場に出て一人前として扱われるまでに非常に長い年月を要する。

一方で、保育士は実習も含め、最短で2年で現場に出ることができる。
弱冠20歳で「担任」を任されることも、当たり前の世界である。

そう、それが「当たり前」の世界なのだ。
当たり前すぎて、あまり誰も疑問を持たないのだ。

もちろん、若者の存在を否定するわけではない。
若い感性に刺激を受けることも多々ある。
だが、専門性を要する職業として、現場に出るまでに準備期間が短すぎるのではないかということは、もっと議論されるべきだと思っている。

これは、能力とは別の問題である。
20歳の保育士でも有能な人材はたくさんいる。
逆に何十年も経験を重ねているベテランが優秀であるとも限らない。
個人の能力は社会的地位の向上とはあまり関係しない。
社会的地位を評価するのは、保育士以外の人間だからだ。

日本は学歴社会

日本という国は、まだまだ学歴社会が根強く残っている。
「東大」というブランド力は、どの業界においても強い影響力を持つ。
だが、「東大卒」の保育士が日本中でどれだけいるだろう。
「東大を出ているのに、保育士をしているのはもったいない」
きっとそういう声はたくさん出てくるはずだ。

結局、世の中は、保育士という職業を「学歴が高い人物は目指さないモノ」と捉えているのだ。
私はこれが悔しくて仕方ない。

学歴が高くても目指す職業であるべき

20歳で保育士として勤めるのは早すぎるとか、資格を取るのが簡単だからもっと難しくすべき、などと言うつもりはない。
いや、本音はそうだが、そうなると成り手がどんどん減少し、保育士不足はますます加速してしまう。

そうではなく、もっと高学歴の人材を取り込む方法を考えられないか、ということなのだ。
私は、学歴が高いから能力が高いとは全く思わない。
だが、学歴が高い人間が就く職業に対し、世の中の評価はきっと高くなる
ひねくれた考え方ではあるが、社会的地位を向上させる方法として、効果的なのではないか、と本気で思っている。

成果主義が一番なのだが…

学歴よりも能力が正しく評価され、それが社会的地位に直結するならそれが一番良いことは言うまでもない。
ましてや、スポーツ選手同様、能力次第で給与も変わる成果主義であれば、保育士のレベルは上がる一方だろう。
それができない社会側の制度の問題が一番大きいのかもしれない。

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