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雑記やエッセイ

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日々暮らしの中で感じたことを書いています。完全に個人的な日記だったりメモだったり。個人の感想に近いです。
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#夏の思い出

真夏のシュガードーナツ

真夏のシュガードーナツ

「東京にしては珍しく、ここのは関西風の出汁で、美味いよ。」

かつて4年間ほど、代官山の蔦屋書店から徒歩で十数分の場所に位置するヴィンテージマンションの一室に、毎週通っていたことがある。

そのマンションの近くにある小さな蕎麦屋で、私はKと向かい合って熱々のかけそばを啜っていた。

ある年の、暑い夏の日で、私はノースリーブの薄手のワンピースにスポーツサンダル、KはTシャツにハーフパンツにニューバラ

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ある夏の終わりに海で過ごした1日のこと

ある夏の終わりに海で過ごした1日のこと

ある程度の年齢を過ぎてから、男女入り混じって雑魚寝をする、などという経験をすることは滅多にないだろう。

あの日のような1日は、あとにも先にも、きっと訪れないような気がしている。

当時、いい感じだった人が突然仕事を放り投げて湘南の知り合いが運営している海の家を手伝ってくると言い出したのは、ある夏のことだった。

学生時代の話ではない。ほんの数年前、私もその人もとっくにいい大人になってからの話だ。

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アメリカ、遠い夏の日の記憶

アメリカ、遠い夏の日の記憶

13歳の夏、アメリカへホームステイに行く数ヶ月前に、私はホストファミリー宛に手紙を書いた。

もう20年以上前の出来事だ。

「私はレオナルドディカプリオが好きです。タイタニックも好きですが、ボーイズ・ライフという映画が特に好きです。ロバートデニーロもいいですね。牛乳は大嫌いです。夏に会うのを楽しみにしています。」

学校から、好きなものと嫌いなものをあらかじめ書いておくといいと、言われていたので

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2005年夏、新宿の夜

2005年夏、新宿の夜

「ファッションとか音楽とか映画だとかのカルチャーはもう、卒業するべきだと思うの。」

「そう、大人だしね。」

大学時代からの友人である加藤とは、大学を卒業し、社会人になったばかりの20代の頃によくそんな話をした。
2000年代の終わり頃のことで、スマートフォンもSNSも使っていなかったような時の話だ。

加藤と出会ったのは、バイト先の新宿三丁目にあるチェーン系居酒屋だった。

私よりも先に働いて

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