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世界レコード

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生きることを仕事にするときに考えたこと、出会ったものたち
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#これからのライター

どこまで厳密に言うか問題

どこまで厳密に言うか問題

「厳密に言うと違うんだけどね」

いろんな分野の専門家を取材してると、たいていどこかでそのフレーズにぶつかる。

一般人(マウント的なのではなく専門家ではないという意味合いで)には、えっそれの何がどう違うの? な話が多い。

わかりやすいのでは気動車と電車の違いとか。

日本気動車電車学会なら(そんな学会はない)絶対に混同は許されない。だけど一般の97%の人には見分けがつかないしどうでもいい。

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「させていただく」をやめると楽になれる

「させていただく」をやめると楽になれる

ここのところ(本当はもう少し以前からだけど)目につく「させていただく」多用し過ぎ問題。

これって言葉を扱う立場からも興味深くて。なんだろう。ちょうど「違和感ある」派と「べつに自然に使ってるし自然に聞こえる」派の中間ぐらいのところに漂ってる感じがして。

「その件についてご説明をさせていただきます」
「ここでは回答を控えさせていただきます」

どっちもオフィシャルな場でよく聞く。

話し言葉だけじ

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風の時代の「プロ」とは?

風の時代の「プロ」とは?

プロって何だろう。なんで太陽は明るいんだろう、なんで鳥は飛べるんだみたいなことを言ってるのかもしれないけど。

プロはプロだろ? 経験を積んで実力と実績があって、それで報酬が得られる人のことじゃないの。あるいは一般の人が持ってない専門分野の知識、能力、スキルがあって必要とされる人とか。

まあ、定義としてはだいたいそうなんだけど、ちょっとこれまでのプロ(Professional)を語るときの概念と

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自分大学に入りたい

自分大学に入りたい

いますごく勉強がしたくて困ってる。学生のときの自分が聞いたらびっくりする。どうでもいい話なのはわかってるけど。

もちろん仕事を進めていく中で、日々、調べないといけないこと、知識や情報をアップデートしないといけない場面は当たり前のようにある。

書籍という物理的に上書き修正が難しい媒体の原稿を主に書いてるからというのもある。ちょっとしたことでも、本当にそうなのか、なぜそうなってるのかといった確認作

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わらしべ長者はなぜ大事な話なのか?

わらしべ長者はなぜ大事な話なのか?

すべてを自分の思い通りにできたら楽なんだろうか。たまに考えなくもないけど、だいたい出る答えは「そうでもないな」だ。

いや、そりゃいろんなことが思い通りにならないよりは、思い通りになったほうがいいのはいい。だけど、すべて思い通りになるは、ひっくり返すと「すべて思い通りにしかならない」ということ。

これって、よく考えたらおもしろくはない。不確実要素がゼロなのだ。

仕事でも、どうなるかわからないけ

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問題を排除するのが本当に解決なんだろうか

問題を排除するのが本当に解決なんだろうか

なんとかを二度と買いません。なんとかの利用をやめました。

最近多いけど今年は特に多かった気がする。まあ、これ書いてるnoteもそうだったし。

一年の終わり、大みそかに読むような楽しいnoteじゃないので、そういうの嫌な人はここでそっとタブを閉じるの推奨です

こういうこと書くと、まじでめんどくさい(本質的ではないという意味で)のが飛んできそうなんだけど。

いちいち説明するけど、一連の事象(や

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12月のある晴れた夜に100パーセントの味と出会うことについて

12月のある晴れた夜に100パーセントの味と出会うことについて

「強いて言えば、あれかな。欠点がないことが欠点かな」

たまに、そんな表現が飛んでくることがある。なんか、いかにもおっさんとかが言いそうなんだけど、意外と奥が深い。

一般的には欠点はないほうがいいと思われている。新しい企画でも新商品でもなんでも「欠点」のほうが目立つと、なかなか上の人たちからいい顔をしてもらえない。

だから欠点はできるだけ減らすか目立たないようにするのだ。だけど、それって本当に

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年末にこころの換気が必要かもしれない

年末にこころの換気が必要かもしれない

思い違いをしていた。たぶん常識なんだろうけど、漠然と間違った認識をしていた。

何のことかと言えば「一酸化炭素」。よくニュースなんかで「一酸化炭素中毒」が記事で流れたりする。中毒っていうぐらいだから、一酸化炭素そのものも、なんとなくガスの匂いみたいに嫌な匂いがしそうなイメージを持ってた。

だけど、実際には一酸化炭素そのものは通常は無味・無臭。空気とほぼ同じ比重だから、ある空間で気付かないうちに一

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便座をめぐる冒険

便座をめぐる冒険

尾籠な話。とくに読んで何か得るものがあったり、気分が上がることも下がることもないのだけど、とにかく便座の話。

かつて世の中には、U型とO型ふたつの便座が幅をきかせていた。もしかしたらD型だとかM型の便座もあるかもしれないけど、話がややこしくなるので、ここでは一応このふたつに絞る。

実は、このふたつの便座をめぐる諸問題は、便座史研究家の間でも長年、議論されてきた。

なぜ、そもそも世の中に2種類

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自分の「聞いて書くルール」について

自分の「聞いて書くルール」について

仕事するときのルールってあるんですか?

そんな質問を(あらたまってではないけど)されるときがある。何となく、話の文脈で「ライターとしてのルール」みたいなのを聞かれてるんだなというのはわかる。

まあ、ルールというほど大げさなものではないかもしれないけど。

もちろん、いくつかある。といってもモニターに貼り付けてあるわけでもなく、そう言えば自分の中にあるよなというもの。その中の一つ。

取材でもな

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差別化の穴を覗いたら見えたもの

差別化の穴を覗いたら見えたもの

ビジネスとか商いの文脈で差別化大事だよねという話をよく聞く。この言葉そのものが嫌いな人もいるけど。

あらゆるモノやサービスがコモディティ化(同質化)つまり、どれもそれなりの高いレベルになってしまって逆にどれも大差ない。そんなフラットな時代になって随分たつ。

もはや最近はコモディティという言葉すらそんなに聞かなくなった。

昔だったらスマホで動画視聴できる! っていうだけで差別化だったのが、いま

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旅と呼吸

旅と呼吸

禍の空気が覆ってから旅をしていない。

いや、生きてることは旅だから、自分が自分でいる限りどこにいて何していても旅なのだけど。

それはわかってる。でも旅がしたい。その表現は正確じゃないな。自分の中の「旅」にちゃんと呼吸させてやりたい。

場所の問題でも距離の問題でもない。

たぶん人類が誕生したときから、生きることはずっと旅だったのだろう。

旅は自分の中の知らない自分に出会わせてくれたり、眠っ

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生きるのに向いてるけど社会に向いてない

生きるのに向いてるけど社会に向いてない

いい大人なのはわかってる。それに、一応ライターという外に向いた仕事もしていて、それなのにこういうことを書いてしまうのはどうなんだ。

そんな冷静な自分もいる。だいたい常に冷静が平常運転してるけど。

まあだけど思ってしまったんだから仕方ない。自分はもしかしたら、もしかしなくても「社会に向いてない」ほうの人間なんじゃないかと。

不適合とまでは言わない。社会システムに乗ることはできる。なんだかんだそ

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根があれば再生できるから

根があれば再生できるから

短い雑記。今日も今日とて時間があっという間に溶けていく。なんなんだ。僕は時間を食べ、ヤギは草を食む。

頼まれている仕事、自分の深いところから自分が自分に頼んでる仕事、そして村の行事や事務作業、そして畑。

生きることを仕事にしてるから(完全にできてるわけではないけど)、どれが重要でどれが重要でないもなくてフラット。ただ、それは自分のアティテュードの話で、現実にはそれぞれに波はあるし想定外のことも

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