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詩のようなもの

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#創作

革命

古い熱がまだこの胸を焦がすのに
あなたは前を向いて笑ってるわ
私にはもうどうしようもないけど狐につままれた夢の途中

この傷はあなたの愛のしるしだったから今でも痛いくていいの
後生大事にこの傷を飼ってるわ

弔いと祈りは似ているのかもしれないね

「私のすべてなの」そういえばもっと傷つきそうで言えないわ
望まれてない未来は人知れず流れていく

いつの時代も革命が起こってる
全てをかけてひっくり返し

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わたし心と秋の空

夏、あんなに手の届きそうだった雲

秋になって、気づけば空高く、遠くに浮かんでいる。

穏やかで柔らかなひかりが降り注ぐ空には手を伸ばしても何も掴めない。

新しい季節の始まりに、手を伸ばす。

何にも届かない。

近くて遠くてそれでいて覆われている。

何も考えたくない、感じたくない私の横をいてつく秋風がかっさらっていく。

わたしは夏より弱くなった。

弱くなった訳じゃなくて、元のちからに戻っ

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赤線の女

視線で放った赤いバラ
思わせぶりな立ちんぼ
お兄さんわたしといいことしようよ

赤い口紅白い頬
ミニスカートの若い小娘

寂しいんだね
ここは昭和か元禄か
今宵はわっちとあそびましょう

ブラウン管で笑うアイドル
わたしの素肌は透けている
主様、わっちを見てちょうだい

8畳一間に煎餅布団
ここは赤く囲まれて
わっちは場末のひとでありんす

それでも期待に添えるなら
望まれなくても叶えましょう

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エントランス・ラヴ

シャリシャリした上着
私より背が低いんだ
ふくよかな耳たぶ

困ってないかしら?それならいいの。
子どものように手を引かれる

照明の人感センサーを切る
ダンボールの山
瞳の中には私だけ?

リビングから透ける光
小鳥のさえずり
ゴミ回収車のエンジン音

背中を這う指先
予感しなかった吐息
感電、漏電、通電

鳴るアラーム
行ってらっしゃい