ブロック形成時のサイドにおける効果的な守備②
チャンピオンズリーグ 名勝負
09-10 決勝
インテル vs バイエルン
今回は、09/10シーズンのモウリーニョ率いるインテルより、ブロック守備時におけるサイドの効果的な守備の方法について紹介します。
試合は、09/10UEFAチャンピオンズリーグ決勝 インテルvsバイエルンです。
当時のバイエルンのは、サイドにロッペン、リベリー、アルトゥントップが在席し、サイド攻撃が軸であるチームでした。そんなバイエルンに対してインテルは自陣にブロック敷きカウンターを狙うというゲームプランで、2-0で勝利しました。その中で、サイドにおける守備が非常に効果的であったので紹介します。
【スターティングメンバー】
インテル
バイエルン
結果:インテル 2 - 0 バイエルン
インテルの
自陣でのブロック守備
① 陣形
この試合でインテルは自陣でのブロック守備時、下図のようにコンパクトな「4-4」あるいは「4-4-1」のブロックを形成していた。
※スナイデルが守備組織に加わり、ミリートがカウンター時のターゲットとなるよう前線に残っていた。
ここで、ブロックの縦幅(DFとMFのライン間)は約5~10mであり、全体の横幅はペナルティエリアの幅ほどでコンパクトに設定されていた。
② 基準点
守備の基準点は、ボールと味方の位置に置きゾーンで守備を行っていたが、特定の選手に対してはマンマークを行っていた。
一例を上げると、CMFのサネッティ、カンビアッソが下図のようにトップ下に位置する敵をポジションを入れ替えながらマークし続けている様子が分かる。
③ サイド
ここから本題であるサイドのエリアでの守備に入る。
インテルは、サイドのエリアでは必ず1枚がボールホルダーへ寄せ、敵のサイドからの突破を防いでいた。
具体的な方法としては、SBのマイコン / クリスティアン・キヴが、予め大外に位置する敵ウイングをマークしていた(CB脇のスペースが空いてでも)。このプレーにより、サイド大外に張る敵(ロッペン / アルトゥントップ)にはボールが配給されずボールが後方に下げられ、サイドからの前進を防ぐことが可能となっていた。
【左サイド】
【右サイド】
また、大外へボールが出ると、マイコン / クリスティアン・キヴは、DFラインを飛び出してボールホルダーに対して縦方向を消すようにアプローチしていた。敵ウイング(ロッペン / アルトゥントップ)は縦方向のドリブルによる突破力があり、以上のプレーはこれの対策と言える。
【左サイド】
【右サイド】
以上、自陣でのブロック守備時では、中央を固めている分サイドが弱点となりやすい構造となっています。そのため、サイドのエリアでの最も重要なプレーの原則は、「ボールホルダーに対して必ず1枚が寄せる」ことです。
当時のインテルは、①敵の長所であるウイングをSBが予めマークする、②サイドへボールが出た際は、SBが縦方向から寄せる、ことにより、インテルはバイエルンのサイド攻撃を見事に防いでいました。特に、サイドにスピードとドリブルによる縦への推進力のある敵がいる場合には有効な守備と言えます。
私自身も、東京都社会人リーグにて現場で指揮するにあたり、自陣での守備時のサイドの守備は、より強固なブロックを形成するうえでいかに重要になるか気付かされました。
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