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コンサルティングファームが劣化している中でのキャリア選択

割引あり

イントロダクション

昨今のコンサルティングファームは大量採用の影響でコンサルタントの質が低下しているという現実があります。それにもかかわらず、アクセンチュアやデロイトといった大手コンサルティングファームへの入社を目指す人が増え続けているのはなぜでしょうか。給与水準の高さや働き方の柔軟性、多様なバックグラウンドを持つ人々との共働といった魅力が、依然として強力な引力を持っているからです。しかし、実際のコンサルティングファームでの仕事は厳しく、華やかなイメージとは異なる現実が待ち受けています。本記事では、コンサルティングファームの現状を理解し、自身のキャリアをどう歩むべきかについて考えていきます。

今までのコンサルティングファーム

圧倒的ブランド力と人材の質の担保

20世紀後半から21世紀初頭にかけてのコンサルティング業界は圧倒的なブランド力と人材の質の高さが特徴でした。この時期ではコンサルティングファームは世界的に非常に高い評価を受けており、クライアントからの信頼も非常に厚かったです。その背景にはいくつかの重要な要素がありました。

まず、ブランド力についてです。当時のコンサルティングファームはその名前だけで高品質なサービスを提供する信頼がありました。例えば、マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニーといった「ビッグスリー」は圧倒的なブランド力を持っていました。これらの企業は、長い歴史と成功事例を積み重ね、そのブランドは確固たるものでした。彼らの提案や戦略は多くの企業にとって絶対的な信頼を置かれるものであり、その名前だけでクライアントに安心感を与えていました。

ブランド力の背後には、優れた人材の存在が欠かせませんでした。昔のコンサルタントは非常に厳しい採用プロセスを経て選ばれたエリート集団でした。例えば、マッキンゼーは世界中のトップ大学の卒業生をターゲットにし、その中でも特に優秀な人材を採用していました。採用プロセスでは、ケースインタビューやフェルミ推定といった高度な問題解決能力を問う試験が行われ、これを通過することは非常に困難でした。

採用後のトレーニングも非常に厳格でした。新人コンサルタントは入社後すぐに徹底的な研修を受け、コンサルティングの基本スキルから高度な戦略立案までを学びました。これにより、新人でもクライアントに対して高い付加価値を提供できるようになっていました。さらに、コンサルタントは常に最新のビジネストレンドや技術に精通している必要があり、継続的な学習と自己研鑽が求められていました。

また、昔のコンサルタントは高い倫理観とプロフェッショナリズムを持って業務に臨んでいました。クライアントとの信頼関係を築くためには、情報の機密性を厳守し、クライアントの利益を最優先に考える姿勢が求められました。このような倫理観とプロフェッショナリズムは、コンサルタントがクライアントから信頼される大きな要因となっていました。

加えて、昔のコンサルタントはクライアントの経営課題を深く理解し、具体的な解決策を提供する能力に長けていました。彼らはクライアントの業界特有の課題や市場の動向を的確に把握し、それに基づいた戦略を提案していました。このような深い理解と洞察力はクライアントにとって非常に価値のあるものであり、コンサルティングファームのブランド力を支える重要な要素となっていました。

総じて、昔のコンサルタントはその圧倒的なブランド力と人材の質の高さを背景に、クライアントに対して高い付加価値を提供していました。彼らの専門知識、プロフェッショナリズム、そして倫理観はコンサルティング業界の信頼を築き上げる基盤となっており、それが今日のコンサルティング業界の礎となっています。

事業領域を広げた事による売上拡大

今までのコンサルティングファームは外資系であると同時に監査法人を抱えていたり、過去にIBMなど超巨大企業であった事実を実績としてブランドを強化し、それをお客様から信頼され採用されることで売上高を伸ばしてきました。そのために、労働集約型のモデルとなり、事業規模拡大のために社員数を増やすという方程式が成立していました。

単価や稼働率を上げることも方法の一つですが、売上拡大には限度があるため、人材の獲得が必要になってきます。特に昨今は、日本企業においてレガシーなシステムからクラウドへの移行や、働き方改革の一環で業務にITを導入して効率化を図るDXにより、事業戦略からIT導入まで幅広いプロジェクトを抱えることになりました。しかし、自社だけでは人材およびノウハウが不足しているため、コンサルティングファームから支援を受けることが必要となっています。

このため、今までコンサルティングファームは事業戦略だけを見れば良かったところが、実際のIT導入までも求められるようになりました。それに応えるためには、コンサルティングファームは派遣するコンサルタントを数だけでなく、多様なバックグラウンド(特にIT開発)を持った人を増やす必要があります。必然的にコンサルティングファームも今まで以上に人を採用しなければなりません。

そのため、各ファームは積極的な採用により会社規模の急拡大を図ってきました。例えば、Big4とアクセンチュアの2018年、2020年、2022年の全世界の従業員数を見ると、どの企業も人員を拡大していることがわかります。

Big4 + Accentureの従業員の推移


このような採用により社員数が急増したことで、売上も結果的に上がりました。Big4全体の2018年、2020年、2022年の売上推移を見ると、売上が伸びていることが明確であり、コンサルティング業界全体が好調であることがわかります。


Big4全体の売り上げ推移

しかし、近年はコンサルティング業界の質の低下がニュースで取り上げられることが増え、これからコンサルティング業界が変わっていく中で、キャリアをどう歩むべきか、コンサルティングファームに入社するべきか、入社した場合何をすべきか、さらには現在コンサルティングファームで働いている人は辞めるべきかを考えるきっかけが増えているように感じます。

コンサルティングファームが不調の原因

コンサルスキルが無い人が大量に入ってきた

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