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(前編)ミッションの実現に粗利経営が欠かせない理由とは?フルカイテンCEO瀬川に聞きました。

フルカイテン戦略広報の斉藤です。在庫分析SaaS「FULL KAITEN」を開発・販売するフルカイテンはどんな会社なのか知っていただきたくて、このnoteを書いています。FULL KAITENは小売業が抱える在庫を利益に変えるお手伝いをしています。今回は当社が重要性を発信し続けている「粗利経営」について前編・中編・後編に分けてお話しします。このnoteを通じて、粗利経営とは何か知っていただき、なぜ重要なのか根拠も含めお伝えします。

前編として、フルカイテンのミッション(世界の大量廃棄問題を解決する)実現のためには粗利経営が欠かせない理由を代表の瀬川に聞きました。

前回のおさらい

前回と前々回のnoteでは、フルカイテンのミッション、ビジョンについてお話ししました。
フルカイテンの場合、ミッションは「作りたい世界」と定義し世界の大量廃棄問題の解決を掲げています。当社CEO瀬川は、人を笑顔にしたくて起業しました。FULL KAITEN起業当初は、小売り経営者の笑顔のために事業をしていましたが、ある商談がきっかけになり、未来の子供たちの笑顔のために事業を行うことを決意し、視座が上がりました。

フルカイテンのミッション「世界の大量廃棄問題を解決する」の誕生背景や、代表瀬川が一貫して大切にする「笑顔」という言葉とミッションの関係性を書いたnoteはこちらです。

次にビジョンは「ミッション達成のために行う事業」と定義しています。つまり、フルカイテンにとってビジョンは事業そのものを指します。

ミッション(作りたい世界)を実現するために、スーパーサプライチェーン構想の実現というビジョンを掲げています。この構想は、本当に必要な製品が必要な量だけ流通する社会を実現するための基盤構築、言い換えれば社会インフラを作ろうという構想です。
スーパーサプライチェーン構想の具体的内容や、膨大なデータを当社のデータサイエンティストはどう活用するか、社員やボードメンバーがビジョンにかける思いを書いたnoteはこちらです。

なぜ大量廃棄は発生するのか?

ところで、なぜ大量廃棄は発生し、なぜ今もまだ解決できていないのでしょうか?
例えば素材が完成品になるまでのリードタイムが長いこと、リードタイムが長いから一度に大量生産しておかなければ販売機会を逸すること、生産のサプライチェーンにはとても多くの企業が介在するので企業ごとの生産効率がバラつくことなど、発生原因は非常に複雑です。

大量生産について話す、フルカイテンCEO瀬川

またこの複雑な発生原因を各社が個別最適な解決(もっと言えば自社にとって都合が良いだけの解決)を試みるため、いつまで経ってもサプライチェーンを全体最適にできないというのが解決できていない理由です。
しかしこの複雑そうに見える問題は、実はとてもシンプルな問題でもあります。
単純に、「大量廃棄が発生するのは大量生産しているから」だからです。

では大量生産はどこで発生しているのでしょうか?

それはサプライチェーンの川下すなわち小売業やSPA(製造小売業)と呼ばれる完成品を消費者に販売する企業で発生しています。
彼らがサプライチェーンの川中すなわちメーカーや商社に対して大量生産を発注するのが大量廃棄の始まりなんですよ。

だから考えなければいけないのは「なぜサプライチェーンの川下に位置する小売業やSPAは大量生産をする必要があるのか」という問題なのです。

そしてこの問いの答えもまたシンプルです。
小売業やSPAは、在庫を大量生産することで製造原価を下げなければ粗利を生み出せないと思ってしまっているからなんです。

小売業やSPAは、全商品のたった2割からしか粗利を生み出していない

一つ面白いデータを紹介しましょう。
FULL KAITENを導入した企業の導入時点のデータを分析すると、全商品のたった2割で8割の粗利を生み出していることがわかりました。
残りの8割はセールされたり売れ残ったりして最終的に廃棄されていく対象です。
こういうところからも小売業やSPAの生産量が多すぎることを理解できるのではないでしょうか。

だから大量生産を抑制するためにまずやるべきことは、川下に位置する小売業やSPAに対して、手元にある在庫で今よりもっと粗利を向上させることができることを知ってもらうことです。言い換えれば先程お話しした全商品の8割からこれまでよりたくさんの粗利を生み出せることを知ってもらうということです。つまり粗利経営とは、抱えている在庫からできるだけ多くの粗利を生み出せるように在庫効率を向上させましょうという経営スタイルのことを意味します。

8割の在庫の中には、まだまだ売れる商品が眠っていると力説する瀬川

粗利経営への変革は大量廃棄の解決に繋がる

これまで多くの小売業やSPAは、粗利ではなく売上第一の経営をしてきました。これは売上を伸ばさなければ粗利を生み出せないという考えがあるからなのですが、本当は売上を落としても粗利を増やすことは可能です。

どういうことか説明します。
粗利は値引きでも失いますし、売れ残った在庫の評価損でも粗利を失います。
もし生産量を減らせば在庫の量が減るのだから値引きしなくて良くなりますし、在庫の量が減るということは売れ残りも減少して評価損も減るため、実は粗利は増えるんですよね。

仮に生産量を減らしたことで製造原価が多少上がるとしても、値引きや評価損で失っている粗利の方が遥かに大きいですので(毎年セールなどで何十%もの値引きが行われていますよね)、いずれにしても生産量を減らす方がずっと粗利貢献が高いわけです。

例えば弊社がご支援しているあるブランドは年間で30億円もの値引きをしていました。この値引きが1%でも抑制できれば年間で3千万円の粗利増加です。この分はそのまま営業利益の増分になるのですから、そのインパクトたるや相当なものになります。
そうであるにも関わらず、小売業やSPAは売上第一の経営を続けてきました。売上規模を追いかけるには在庫の物量で勝負するしかないため、各社とも自社の販売能力を超えるような在庫を抱えることが常態化し値引きや評価損が大量に発生して最終的には大量廃棄を誘発してしまっています。しかし粗利経営にシフトすると、在庫の物量で勝負する売上第一から脱却でき、手元の在庫から今より多くの粗利を生み出す体質に変革することができます。

そうするとサプライチェーンの川下に位置する小売業やSPAは儲ける力がついた分だけ今より生産量を減らしても業績を向上させられるようになるので、川中に位置する工場やメーカーや商社や卸企業は今よりも生産を抑制できるようになります。
つまり粗利経営への変革は、フルカイテンのミッションである「世界の大量廃棄問題の解決」に必須なのです。

だからフルカイテンではビジョンである「スーパーサプライチェーン構想の実現」の中で、まずは小売業とSPAの粗利経営への変革を支援する在庫分析SaaSを事業化しました。
この事業を成功させることが、ミッション「世界の大量廃棄問題の解決」を達成するための必要条件になるからなのです。

中編では、粗利経営は日本の未来にも重要な理由をテーマにお話しします。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

中編につづく。


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