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【インタビュー】取締役COO宇津木に聞いた事業の成長性。顧客の価値に本質的に向きあうプロダクトを進化するには、3つの投資が不可欠

フルカイテン戦略広報の斉藤です。フルカイテンは2022年5月7日で設立10周年を迎えました。FULL KAITEN事業を始めてから4年が経ち、小売業界への導入実績を堅実に積み重ね、今後は需要予測SaaSの事業化も見据えています。今回は在庫分析SaaS「FULL KAITEN」事業の成長性について、ビジネス部門の責任者である取締役COO ハリーさん(宇津木)にインタビューしました。

ハリーさん(宇津木)ってどんな人?

ハリーさんは2019年7月にビジネス部門のメンバーとして入社しました。

【経歴】新卒から一貫してBtoB向けSaaS企業に勤務。
セールス、マーケティング、事業戦略などに従事。フルカイテン入社後、ビジネス組織の立ち上げを行い、2020年9月より取締役就任。
SaaSの良いところはお客様と一緒にサービスが進化していけるところ。たくさんの企業に使っていただき、積年の課題である『在庫問題』、ひいては『大量廃棄問題』を解決したい。

これまで2度の独立を経て、2015年にfreeeに参画し、セールス部門やマーケティングチーム及びマネジメントに従事してきました。当社に入社してからは、ビジネス部門の責任者として、ビジネスチーム全体を見ながらMRRを最大化するためにどうしたらよいかという観点で、ビジネス部門のメンバーに伴走しながら、抜け目なくフォローしています。

左:フルカイテンCEO瀬川 右:ハリー

社員の皆さんに、ハリーさんはどんな人かを聞きました。

「気遣いができる。達観している。お茶目。人間関係の築き方のプロ。いつも本質を突く。視野が広い。冷静に物事を判断している。SaaSビジネスに情熱を傾けている。」

SaaSを愛しており、最年少ボードメンバーとして、広い視野で会社を支えています。

(写真中央:ハリー)フルカイテンの面々と信号機ショット

次章からは、インタビューの本題に入っていきます!

フルカイテンに転職したきっかけ

【斉藤】改めまして、今回はよろしくお願いします!早速ですが、ハリーさんがフルカイテンに転職したきっかけを教えてください。

【ハリー】こちらこそよろしくお願いします。前職はfreeeでセールスやマーケティング、マネジメントをしていました。業績が右肩上がりのエキサイティングな企業でしたが、人が増え、社内が整ったことで在籍後半の方は自分が入社した当初のようなワクワクドキドキ、ヒリヒリするようなカオスは減っていました。そして上場前ということもあり、管理プロセスなどの間接業務が増え、管理に重きを置いた業務も増えました。でも非常にカルチャーも大好きでしたし、成長できた企業でした。当時を振り返ると、私はいわゆるコンフォートゾーンに入っていたのではないかと思います。

フルカイテンに転職したきっかけを語るハリー

当時、中小企業向けの会計サービスを起業家の奥さん向けに提案するマーケティングプランを考えることになり、「起業家、妻、経理」のようなキーワードで検索したらフルカイテンの創業秘話の記事を発見しました。6ページくらいの記事を見て、とんでもなく感銘を受けたので、社内のSNSでシェアしました(2019年3月11日に投稿)。とにかくすごい会社を見つけた!と思いました。

そしたら偶然、転職サイトからフルカイテンのスカウトが来たんです!本当に偶然ですよ。当時、転職するとは全く思っていませんでしたが、親しかった同僚に、「まだ何も決めてないけど、俺フルカイテンに行くかも。」と話した記憶があります。

それで、いざフルカイテン代表の瀬川さんと面接をしたら、ワクワクが止まらなくなりました。でも人生の大きな決断になるので、会社と家族と何度も話し合いました。

【斉藤】家族との話し合いは苦労しましたか?

【ハリー】色々な事情があってとても苦労しました。家族向けに、プレゼン用のスライドを30枚くらい作成したほどです。

実際のスライドを見せてくれるハリー

最善は尽くしましたが、瀬川さんには「とても前向きに考えていますが、家族の同意が得られないかもしれないです。」と話しました。すると、瀬川さんから「私も創業者として子どもが生まれたばかりの頃、とても苦労が絶えなかったので、宇津木さんのご家族の気持ちが理解できます。なので、入社してからもしっかりケアします。」と言葉をかけて下さいました。このアドバイスの立役者は、瀬川さんの妻であるあみさんでした。この言葉が後押しとなり家族も納得してくれて、安心して転職することができました。

【斉藤】瀬川夫婦の実体験に基づいた言葉によって同意を得られたのですね。実際に入社してどうでしたか?

【ハリー】転職して良かったです。考えに考え抜いた意思決定だったので。日々課題が山積みで大変ですが、「自分が選んだ道は自分が正解にする」という言葉が好きで、それをモットーに精進しています。

入社後に気づいたフルカイテンの魅力

経営メンバーの魅力です。マーケットの魅力やプロダクトの凄さは入社前にある程度理解できました。ただ、入社前に100%理解することは難しいですし、入社前に得られる情報では不確実性が高いと思います。ですが、フルカイテンの経営メンバーは顧客の価値を中心に物事を考えており、そういう考え方をしていれば、最終的にビジネスは成功すると思います。

あとは、タイミングです。社員10人未満でダイヤの原石を磨く0フェーズからのスタートだったことも大きな魅力で、このタイミングを逃したくないと思いました。

長くSaaS業界で働いてきて感じるFKの凄いところ

【ハリー】業績的にも急角度で成長していますが、もっと伸ばしていきたいです。一方、これは本当にすごいなと思っているのは、FULL KAITENは顧客の価値に対して本質的に向き合うという考え方をしている所です。ここは今まで見てきた会社の中でも特筆すべき点だと思っています。もっと市場にFULL KAITENを広めていかないといけませんが、一番大切な顧客視点を全ての戦略の根本として考えているので、成果は出ると確信しています。

【斉藤】なるほど。ハリーさんが今まで勤めてきた企業で、顧客視点に立っていないと思うこともありましたか?

顧客視点について語るハリー

【ハリー】ありました。自分で立ち上げた会社でも、とにかく稼がないとまずいという時期はそういったものを見失ってしまい、顧客への価値を考えきれていなかったり、向き合えていなかったこともありました。でも顧客への価値を考えきれていなくても、時流に乗って業績が伸びることもあります。もちろん企業活動はきれいごとだけではできないので利益を出すということはとても尊いことです。でも自分は顧客視点に本質的に向き合いたいですし、そういう人たちと働きたいです。顧客の価値を考えないと永続的な成長はないだろうと思っています。特にSaaSは顧客の価値を生み続けないと淘汰されるビジネスモデルです。たゆまぬ努力で、お客様からしても経済合理がよいのでSaaSのビジネスが好きです。

現在の業務内容

ざっくりいうと、ビジネスチーム全体を見ながらMRRを最大化するためにどうしたらよいか考えています。また、会社の規模がまだ小さいので、ボードもメンバーも関係なく現場で動くフェーズかと思います。
しかし、どんどん優秀な仲間が入ってきてくれているので、任せることはどんどん任せていき、もう少し中長期的なことに費やす時間を増やしていかなければとも思っています。

フルカイテンの事業の成長性

【ハリー】ようやく組織的にも色々なピースが揃ってきたため、それが業績にも反映されてきていると思います。実際にこの一年でMRRが231%伸長しました。この数字のポイントは、コロナ渦の小売向けのサービスで倍の成長を遂げられた点です。FULL KAITENは「在庫分析」という経営の根幹を担っているプロダクトなので、小売業界の根本的な課題解決につながると認識してもらえたと感じています。これも前述した、顧客の価値に本質的に向き合ったが故に成し遂げられた定量的な成果だと思います。
加えてARPAは2020年から4倍になっています。この数字の意味合いを抽出すると、FULL KAITENを導入してくださった企業は、大きな投資をしてでも解決したい課題がそこにあり、期待していただいているということになります。

【斉藤】小売業界の根本的な課題を解決できるのは、大きなやりがいを感じます。FULL KAITEN事業のビジネスインパクトについて教えてください。

【ハリー】先を見据えた展開が見えている点です。今は川下の在庫最適化に取り組んでおり、今後は川中、川上とサプライチェーン全体を見据えた在庫最適化というビジョンが見えています。且つ川下のビックデータを蓄積し続けていることが先の展開において大きな価値になっていくと思います。

バーティカルSaaS特有の魅力

【ハリー】前提としてホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの両方に魅力があると思っています。その中でも、バーティカルSaaSは業界に深く入り込むので、それがビジネスインパクトとしてリターンに繋がると思っています。一般論で話しますが、ホリゾンタルSaaSは広く価値を提供しているので、様々な業界の最大公約数のプロダクトになるイメージです。

【斉藤】最大公約数って具体的にどういうことですか?

【ハリー】この小さな丸が業界だとして、真ん中の大きな丸が課題だとします。

最大公約数のイメージをホワイトボードに書いて説明するハリー

ホリゾンタルSaaSは全ての業界に提供するので、全ての業界が等しく抱えている課題にアプローチすることになります。

業界毎に個々の課題(小さい丸の中の△や×)がありますが、それは業界特有の課題だったりするので、ホリゾンタルSaaSはビジネスを最大公約数で行うことになります。
バーティカルSaaSはこの業界と決めているので、その業界への対応力が高くなります。あくまで一般論ですが、両方を経験した身として、ここがバーティカルSaaSの面白い点だと思います。

特定の業界に深く入り込んで課題を解決するので、その企業にとって無くてはならない存在になれる点も醍醐味です。

今後の課題や目標

私が担当しているビジネス部門でいうと、FULL KAITEN事業をやればやるほど在庫問題を解決する解像度が高まっています。なのでプロフェッショナルな人材を増やすために、プロフェッショナルを育てる環境を作りたいです。そうしないと世界の大量廃棄問題を解決する世界的な企業になれないからです。

会社全体も同じで、在庫問題の解決を通じてサプライチェーンにメスを入れてミッションを達成するという目標に対して、ビジネスサイドのプロフェッショナル人材も必要ですが、人材だけでは目標は達成できません。一番大切なのはプロダクトです。ですが、プロダクトを作るのも人なので、会社全体として一流といわれる人材が育つ企業でありたいと思います。

FULL KAITENは未知のことに挑戦しているので、最初から一流の人はいないと思います。なのでフルカイテンに入社して育っていく必要があります。ファーストリテイリングの柳井社長は「一つの仕事を10年以上続けないと一流になれない。」と言っていました。一流になるには時間が必要なので、組織、カルチャー、人に投資をしたいと考えています。当たり前のことを言っていますが、世界の大量廃棄問題の解決ということは、世界に誇れる一流人材にならないとその土俵には立てないということです。

FULL KAITENの課題

SaaSを作るのはエンジニアですが、みんなで何をどう作るか色んな角度で考え、育てるプロダクトカンパニーでありたいです。なので、全員でプロダクトを作っているという意識を持たないと良いプロダクトにならないですし、それができて初めて成果に繋がると思っています。

SaaSは部署毎に分業しているので効率的ですが、自分の業務範囲しか考えなくなるのが最も大きな弊害だと思っています。そうすると部分最適になってしまいます。ビジネスチームの例でいうと、マーケティングはセールスの状態を見る、インサイドセールスはフィールドセールスの状態を見る、フィールドセールスはカスタマーサクセスの状態を見るという自分の前工程を自分から取りにいくようにしています。今はビジネスチームを例にして話しましたが、会社全体でも同じことが言えます。

フルカイテンでは顧客の価値を中心に考えたカルチャーが作られていますが、全員でプロダクトを作っているというカルチャーも作りたいと思っています。

今後の目標

2022年に重点的に行うこと
FULL KAITENの導入は進んでおり、お客様が投資をして解決したい課題があるということは証明できたと思います。次はお客様の課題を解決できたというファクトを作る非常に難易度の高いフェーズに入ります。

長期的に行うこと
ビジネス側面でいうと2つあります。1つ目は、一社のお客様に提供できるサービスを増やすことです。それは目の前のお客様に向き合えば、サービスのヒントが見えてくるだろうと思います。
2つ目は人が育つ環境づくりです。これを行わないと組織がスケールせず、その人のポテンシャルに頼ることになり不確実性が高まります。世界の大量廃棄問題の解決というミッションを実現するためにも、一流の人材を育て、社員の皆さんが長く勤めたいと思う会社を目指したいです。

編集後記

戦略広報の斉藤です。今回はビジネス部門の責任者である取締役COO ハリーさん(宇津木)に、FULL KAITEN事業の成長性についてインタビューしました。

インタビューで特に印象的だったのは、ハリーさんがフルカイテンへの転職をご家族にプレゼンする為に作ったスライドを見せてくださったところです。数枚見せていただきましたが、ユーモアと現実的視点のバランスが絶妙で、30枚に渡るスライドからどれだけ本気で転職を考えていたか伝わってきました。

FULL KAITENはこれからも、顧客の価値に対して本質的に向き合い続け、社員全員でプロダクトを作っているというカルチャーがある企業でありたいと思います。

ここまで読んでくださってありがとうございました。


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