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淺井裕介in 武隆ランバ国際大地芸術祭2019

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[記録]淺井裕介天井壁画・報道記録集

[記録]淺井裕介天井壁画・報道記録集

2019年にアーティストの淺井裕介が中国は重慶の武隆で制作した天井壁画《空から大地が降ってくるぞ》について報じた記事をまとめました。

日本語で読めるのは、上海の広告会社が制作したこちら。重慶の観光地や大学の紹介もあります。写真を何点か提供しました。

https://mp.weixin.qq.com/s/5mks7uMqieXVApt4Mrka6g

こちらは日本語のインタビュー動画を含む記事。

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淺井裕介《空から大地が降ってくるぞ》(2019)・その後

淺井裕介《空から大地が降ってくるぞ》(2019)で中国の子どもたちが合唱したようです。ドーム状の空間なので歌声がよく響く!

野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・肆

野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・肆

ただ、淺井裕介の作品に通底する神話性のうち、わたしがもっとも強調したいのは、陰陽五行との関係性である。これまでレヴィ=ストロースの思想や理論を手がかりに、淺井の泥絵を詳しく考察してきたが、淺井の泥絵の本質的核心がレヴィ=ストロースの言う「野生の思考」にあるとしても、それはあくまでも西洋近代に由来するパースペクティヴだった。「野性の思考」が人類に普遍的に共通する、まことに原始的で根源的なものであるな

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野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・参

野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・参

洞窟壁画、縄文土器、そして小宇宙──。《空から大地が降ってくるぞ》の完成を初めて目の当たりにしたとき、わたしの脳裏に浮かんだ言葉である。いずれも原始的ないしは根源的なイメージを醸し出す言葉だが、3つの言葉すべてに通底する要素を導き出すとすれば、それは「神話性」になると思う。神話とは、一義的には神聖な物語を意味するが、その詳しい内容については諸説があり、いちがいに定義づけることはできない。だが、おお

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野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・弐

野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・弐

「野生の思考」とは、構造主義を提唱したことで知られる、フランスの人類学者、レヴィ=ストロース(1908-2009)の思想を示す主要な概念である。レヴィ=ストロースはアフリカやオーストラリアなどの、いわゆる未開部族の社会調査をとおして、西洋社会からすると後進的で未熟とされがちな非西洋社会に独自の合理性、すなわち「野生の思考」が一貫していることを解明した。たとえばトーテミズムは、ある特定の社会集団と特

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野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・壱

野生の絵画──淺井裕介の泥絵について・壱

地球全体、宇宙全体を成立させ、全存在の根拠となる「神」を表すことこそが、芸術家としての自分の表現であり、使命である。 ──長谷川潔

わたしが初めて武隆を訪れた2016年のこと。暗雲が立ちこめる不穏な天候のもと、険しい山道を縫うように車で走っていると、不意に渋滞に巻き込まれた。何でも、折から吹き荒れていた暴風が電線や樹木をなぎ倒し、車道を塞いでしまったので、車が一切通行できないという。消防の到着

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[報告]続・淺井裕介天井壁画

[報告]続・淺井裕介天井壁画

最高傑作が完成しました!

去る6月29日、淺井裕介は、中国での天井壁画の制作を終えました(重慶・武隆での芸術祭と制作過程については、こちらから)。わたしは現場を確認してきましたが、当方の予想をはるかに上回る、飛び抜けてすばらしい作品でした。ぜひとも肉眼で鑑賞してほしいところですが、ここではその一部を、写真をまじえて、できるかぎりお伝えします。

新作《空から大地が降ってくるぞ》が展示されているの

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[報告]淺井裕介天井壁画

[報告]淺井裕介天井壁画

現在、アーティストの淺井裕介が中国で天井壁画を制作中です。先日、わたしは現場を視察してきたので、その様子をここでレポートします。

場所は重慶市の武隆。「中国南方カルスト」として世界自然遺産に登録されている、風光明媚な観光地です。市の中心部からは車で3時間ほどですが、標高が高いため、灼熱の夏を過ごす重慶市民の避暑地として人気を集めているようです。

武隆の代表的な景勝地が「天生三橋」。石灰岩の洞窟

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