ショートショート|冬、合宿所、絵画
自宅のトイレに小さなデジタル時計が備え付けてあって用を足すたびに視界に入るのだが、この時刻が清々しいほどズレている。今が夜であることは疑いようもなく、僕が手首につけている電波で時刻を合わせてくれる腕時計も20時38分を示しているのに、トイレのこの時計は5時15分を伝えている。はっきり言って時計としての役割を全く果たしていない。よくもまあ悪びれもせず、という感じだ。時々、トイレのこのデタラメな時計ぐらい豪放磊落に生きられたらなあ、なんて思う。でも実際にはそれができないから僕は