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シフト制育児という提案

要するに「たとえばお父さんが月・水・金で働き、お母さんが火・木・土で働く。仕事に行かない側が交互に家で子どもの面倒を見る」という制度です。

(この曜日でなくてもかまわないでしょうが、隔日のほうが「その件でしたら明日には担当者が出勤して処理しますので」という対応ができますから職場でフォローしやすいのではないかと思います)

この制度のメリットは以下のとおりです。


保育園に預けなくていい

保育料もかからず、送り迎えもいりません。子どもが急に発熱して預けられないとか、早退して迎えに行かなければならないとか、病児保育を探すとかいう心配も要りません。
原則すべての親にこの育休制度を適用して、特殊な職業だとか健康上の理由などでどうしても二人で育児できない場合のみ保育園に預けることにすれば「待機児童問題」「保育士不足問題」の解決にもなります。

男女平等

現行制度ではどうしてもお母さんばかりが育休を取ることになり、女性の多い職場ばかりに育児支援の負担が集中します。
その結果「どうせ女性はすぐ育休で離脱するから」と女性の採用を抑えたり、女性には責任ある仕事を任せなかったりで、ぜんぜん子どもがいない人も含めて女性ばかりにしわ寄せが行くことになります。
この方法なら完全に男女平等です。
男性社員しかいない会社でも、同じ確率で育休取得者が発生します。
お父さんが数字合わせで形だけ育休を取り、実際はお母さんに育児を丸投げして遊んでいるだけでかえって迷惑、という事態も防げます。


仕事と育児のバランスがとりやすい

育児のために仕事を辞めたり、一年間まるまる休んだり、といったことに比べれば、週3日であっても出勤していればキャリアが継続できます。
そもそも子どもがいようがいまいが、人間は週3日も働けば充分だという意見もあります。
よくある時短勤務はやはりお母さんに負担が集中しますし、せっかく満員電車に乗って出勤して午後3時4時に帰るより、出勤する日はフルに働いて出ない日はまったく出ないほうが、通勤時間がロスにならない気がします。
また、いくら子どもが可愛くても24時間365日育児では精神的に追い詰められる人も出るでしょうし、逆に仕事ばかりなのもリスクがあるので、仕事と育児を交互にすることで気持ちの切り替えができる効果もあります。
育休社員をフォローする側も0.5人分で済むので、幅広い企業や職種に広く浅く分散することになります。
子育てが一段落したら二人ともフルタイム勤務に戻すだけなので、復帰もスムーズです。

育休以外でも

この「家で子どもの面倒を見る係と外で仕事や用事を済ませる係を交代でやる」という発想は、仕事だけでなく、レジャーや帰省にも応用できます。

たとえば自力歩行できる上の子を連れてお母さんが遊園地に出かけ、お父さんはまだ幼い下の子と家に残るとか。
同様に、自力歩行できる上の子とお父さんが自分の実家に帰省し、お母さんが下の子と自宅で過ごすとか。
これで「ベビーカー問題」「新幹線や飛行機で赤ちゃんが泣きやまない問題」も解決です。

「周囲が寛容になればいいことだ、子育てしやすい社会にしよう!」という声もありますが、どこでも子連れ歓迎の社会は、本当にお母さんに優しい社会なのでしょうか。

よく飲食店で、赤ちゃんを抱いたお母さんが騒ぐ上の子を叱りつつ、子ども用に料理を取り分けたり食べこぼしを拭いたりで忙しく、自分の口にはぜんぜん入っていない、という光景を見かけることがあります。
「それでもいいから一家全員そろって外出することに意義があるんだ!」と思う人もいるのかもしれませんが「子どもはうちで見てるからたまにはゆっくりラーメンでも食べてきなよ」と言ってもらえるならそのほうがいい、と思う人もいそうです。

職場が子連れ出勤OKになったところで、実際に子連れ出勤するのはお母さんばかりでしょうし、休憩時間も子どもの世話に追われ、同僚の女性が他人の子どもへの気遣いを求められる、ということになりそうです。

子どもの立場でも考えてみます。
とくに末っ子は、親やきょうだいに合わせて年齢的に無理なスケジュールに付き合っているうちに疲れてしまい、泣いたり騒いだりしてしまう、というパターンもありがちです(赤ちゃんが自ら希望して飛行機に乗っているとは考えにくいです)。
上の子からしても、お兄ちゃんお姉ちゃんという立場を離れてお父さんなりお母さんなりを独占してお出かけできるなら、悪くないのではないでしょうか。
だいたい6歳くらいが「公共の場でおとなしくすることが期待できる年齢」だそうなので(だから小学校に入学できるわけですね)、それくらいを「お出かけデビュー」の目安として、それ以前は「連れて歩かないで済む仕組み」という支援のほうが必要かもしれません。

まとめ

この「隔日育休制度」は、以前オランダなどでの先進的な事例として紹介されているのをテレビで見て、すごくいいなと思った記憶があるのですが、日本ではまったく導入の気配もないので不思議です。

もちろんフルタイム勤務をずっと続けるよりもキャリアとしてブレーキになることは避けられませんし、そのための収入補填も必要ですが、両親のどちらか一人にそれが集中するよりは、平等に分散させたほうが社会全体にとってもプラスだと思います。


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