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大長編小説読破あるある

私にも若くて体力気力視力があり、なおかつヒマで、本は分厚いほど嬉しい、という時代があったものです(遠い目)。
そんな時期に読破した大長編小説のなかでもエベレスト級の親玉といえば、やはりプルースト『失われた時を求めて』ではないでしょうか。しかし職場で「『失われた時を求めて』って読んだことある?おもしろいの?」と聞かれたとき、「はあ…これは大変な本で、向こうから知ってる人が来てすれ違うだけで30ページくらいかかるんですよ」としか言えなかったのが情けないです。その他にもドストエフスキーだのダンテの『神曲』だの、がんばって読んだ記憶はあるのですが、ただ読んだことがある、というだけで人様に語れるほどのレベルでもなく、これからこの手の大作に挑戦しようという人の役に立つのかもよくわかりませんが、以下あるあるです。

・マイナーな大作だと昔の世界文学全集に収録されているものしか入手できず、レイアウトが3段組みだったりしていくら読んでもページが進まない。
・10分間の出来事を読むために1カ月かかっている。
・ロシア人の名前覚えられない問題。
・フランス人の名前も覚えられない問題。
・あまりにも長いため作者も設定を把握しきれておらず、死んだはずの登場人物が無断で生き返っている。
・三人称小説だと思って読んでいたら数百ページ目でまさかの「私」登場。
・「私」って誰。
・長すぎて未完のまま作者が死んでいる。
・途中で死なないでほしい。
・『千一夜物語』や中国の章回小説(『水滸伝』とか『紅楼夢』とか)みたいに「さあ主人公の運命やいかに、続きは次回!」的に引っ張ってくれるものは長くてもけっこう読める。
・訳注が本文より長い。
・注を無視して読むことにするも、注を読まないと意味がわからないところが次々出てきて結局戻って読むはめになる。
・読み終わるころには最初のほうは忘れている。
・まれに「読破仲間」に出会っても、覚えているポイントが違いすぎて話が合わない。

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