人気の記事一覧

章回小説と詩 -14  今回も紅楼梦からご紹介します。序盤で甄士隠が見た夢から帰還した時の対句になります。夢の中で迷い込んだ異世界で見かけた僧と道士は人界に転生する三者について話していますが少しだけ話を聞く事ができます。甄士隠が夢から醒めると舞台を人界に移して本編が始まります。

章回小説と詩 -6  いくつか実際の詩を紹介します。まずは西遊記の天地開闢の詩です。筆者は中国占術の研究をしているので本作は必読書のひとつになっています。実際、この詩句の後、筆者が師匠筋とする邵康節さんの言として、天地の数理について説明がある他、本編中に他の専門用語も登場します。

章回小説と詩 -13  今回からは筆者のお気に入りになった詩に焦点を当てていきます。まずは、紅楼梦から。物語序盤で、甄士隱が、旅の僧からひとり娘の英蓮が悪い運を背負っているので保護のため貰い受けたいと言われ、思わず断った時に、僧がその様子を見て高笑いしながら口にした詩です。

章回小説と詩 -5  章回小説で詩に何を期待して採用するかについて、筆者なりにまとめてみました。章回小説は白話、すなわち口語小説ですから、当時の最高の教養である詩文を挿入すると、その部分だけ引き締まるのは確かです。このほか、どんな効果があるのか、色々と試してみると良いと思います。

章回小説と詩 -1  「第~回」の副題から始まる文学作品を章回小説と言うそうです。元は、宋代に流行した講談の台本を読み物として印刷する様になった時に派生しました。この時長い台本を区切って副題に回数と、内容を表す対句をつけました。始まりと終わりが常套句になっているのも特徴です。

章回小説と詩-10  占術家必携の4つ目は封神榜です。日本では封神演義として原作とは異なる内容が知られています。天罡、地煞の設定は西游記では変身術の種類、封神榜と水滸傳ではキャラ設定として登場しますが、占術体系のひとつである紫微・斗数(しび・とすう)にも登場するので有名です。

章回小説と詩 -4  前回の結果を元に、章回小説の大まかな形式をまとめてみました。どこかに章回小説の定義があるのを見たという訳ではなく、あくまでも筆者の解釈です。章回小説を書いてみたい方、参考になさってください。基本、白話(口語)小説なので馴染みやすい文体で書けばよいと思います。

章回小説と詩-3  簡単ですが、章回小説の副題の対句と始まりと終わりの決まり文句をまとめてみたので特徴を述べます。まずサブタイトル。封神榜だけ対句ではありません。終わりの決まり文句は紅楼夢は決まり文句のバリエーションが多く、三國演義、水滸伝、西遊記はほぼ同じ様に見えます。

大長編小説読破あるある

3年前

章回小説と詩 -15  紅楼梦の第五回の詩を見ていきます。この回本作が「紅楼梦」と呼ばれる由来になったともされます。主人公賈寶玉は夢の中で異世界太虚幻境に行きます。警幻仙姑はそこで新曲として紅樓夢十二曲を披露します。賈寶玉はその意味が理解できず、警幻仙姑に呆れられてしまいます。

章回小説と詩-9  次に見るのは紅楼夢です。西遊記は天地開闢、水滸伝は天下国家を語っていましたが紅楼夢は一個の石の嘆き、といういささか世知辛い内容になっています。前の2つがいささか大仰なのに対して紅楼夢は等身大おいうか、「あるある」的な詩がお多い気がします。筆者は結構好きです。

章回小説と詩-8  ここで小休止。邵雍さんについて少し紹介します。占術的には数理による独特な易学理論で有名ですが、儒者でもあるため多くの詩を残しています。筆者が漢詩の修得に乗り出すきっかけになりました。 画像は以下から。 公有领域, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1181134

章回小説と詩-7  次は水滸伝の冒頭、第一回の前、はしがき(印首)に登場する、唐末に訪れた天下騒乱の趨勢を嘆いた詩です。本編ではこれを西遊記にも登場した邵康節さん作と紹介しています。検索すると、觀盛花吟 でヒットします。実在の人物の作品の引用は、章回小説ではしばしば登場します。

章回小説と詩-2  中国の有名な章回小説としては三國演義、水滸伝、西遊記、紅楼夢、金瓶梅、封神榜があります。共通点としては、全編を通じて詩が散りばめられている事です。日本人は詩心が薄いのか、完全訳以外では詩の部分を省略する場合が多く、筆者も原文を見るまで存在すら知りませんでした。