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2024年は新章へ!半年の成果と「仕切り直し」の戦略を語る【PMI奮闘記#4】

2023年7月から始まった、継人(つぎびと)プロジェクト。本連載では、M&Aを実施した株式会社ヒューマンアールに対し、TRANBI副業部から生まれた「副業チーム」で経営改善を支援する様子をお届けしています。

副業チームに課されたミッションは「1年後に売上1.5倍」。外国人材の派遣・紹介事業を発展させるべく、多彩なメンバーが協力し合いながら約半年間取り組んできました。

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年始の今回は、ヒューマンアール代表取締役・丸山直幸氏と、プロジェクト全体リーダー・長田明氏(仮名)の2名にインタビュー。これまでの成果を振り返りつつ、2024年の方針や新体制について語っていただきます。

(文責:田原未沙記)


社外の視点で浮かび上がった「自社の強み」

丸山直幸(まるやま なおゆき)
大学卒業後、長野市のゼネコンを経て、2005年にアスク工業(現・アスクホールディングス)に入社。通信販売部や広報、工業資材部など幅広い部署を経験し、現在はアスクホールディングスの執行役員と株式会社ヒューマンアールの代表取締役としてM&A後の事業拡大に奮闘中。
長田氏のプロフィールは前回記事

――プロジェクト開始からおよそ半年が経ちました。振り返ってみていかがですか?

(代表取締役)丸山:手応えはすごくありました。人材業界に経験のない方々も集まってスタートしたため、色々な視点を得られたことが大きかったと感じています。

例えば、会議の進め方や目標設定などについても、我々にはなかった大企業視点が加わったことで、課題が明らかになりました。社員にとっても、今まで触れたことのない考え方に接して新鮮な刺激になったようです。

そして何より大きかったのは、社外の視点によって「ヒューマンアールの強み」「他社との違い」に気付けたことです。引き継ぎ後、まずは目の前の事業を守ることに精一杯でしたが、今後のビジョンを考える上で非常に貴重なインプットになったと思っています。

具体的には、ヒューマンアールは「おもてなし人材」の会社であること。それは派遣・紹介する人材だけではなく、社員である我々も常におもてなし人材であるべき、という文化があるんですね。

社員と派遣スタッフに向けてプロ講師による「おもてなし研修」を実施。
双方へのトレーニング体制も整いました

継人メンバーから「すごく特徴的ですね」「夢があります」と言ってもらえたことで、ここが将来的な強みになっていくんだろうと確信しました。この気付きが得られただけでも、副業チームが加わった価値は大きいと思っています。

(全体リーダー)長田:プロジェクト発足後、これまでメンバーを3つのチームに分けて取り組んできました(下図参照)。戦略の柱ごとに少人数に分かれて活動できたのは、メンバーの役割を具体化する意味でもよかったと思います。

具体的な成果として大きかったのは、新規事業の柱を確立できたことでしょうか。在留資格「特定技能」をもつ外国人材を紹介する、という新たなサービスメニューを作れたことは、成果の一つと言えるでしょう。

実際に、2023年12月にオープンした都内の外資系ホテルから求人を獲得し、人材を提案するフェーズまで進むことができました。惜しくも初成約には至りませんでしたが、ゼロベースで始めたことを思うと大きな前進です。

また、外国人材の送り出し機関=人材供給元とアライアンス契約を結んだため、求人のオーダーに対して人材を提案できる状態になったことも、重要な進展と考えています。

コミュニティ運営の方でも、リアルイベントの開催(飲み会、焼肉、カラオケなど)や、学校でのセミナー実施といったように、未来に対する「種まき」ができました。

既存事業の方では、顧客管理のデータベースを整備できたことも成果として挙げられます。これまでヒューマンアール社内では十分にできていなかった基礎の部分が整い、柱となる派遣事業の強化につながったと思っています。

2024年の新戦略は、チーム制から個別タスク制へ

――2024年はどのようにプロジェクトを進めていく予定ですか?

長田:実は、2024年1月からはいったん仕切り直して、3チーム体制ではなく、個別にタスクを割り当てて進めていくことになりました。

というのも、一人ひとりの「やるべきこと」と「自分の活動が売上にどう結び付くか」をさらに明確にしたほうが、メンバーも自分のペースで動きやすく、やりがい・モチベーションにつながると判断したからです。

とはいえ、戦略の3本柱(①既存事業②新規事業③コミュニティ運営)は変わらないので、チームを「解散する」というよりは、タスクを個人単位に分解したイメージでしょうか。

これまではチームごとのミーティングが中心でしたが、今後は月1~2回の全体会で情報を共有していく予定です。プロジェクト全体の進捗状況や数字の把握、他メンバーの活動も見えやすくなると思います。

また「自分の活動が売上にどう結び付くか」を把握するためにも、これからは毎月の売上や営業利益などをメンバーに全て公開してもらうことにしました。

私たちは副業チームとして「レベニューシェア」(目標達成したら営業利益の一部を分配する)という形でこのプロジェクトに関わっています。しかし、これまでは数字が見えにくく、メンバーもあまり強く意識していなかったのかなと。今年はみんなが現状を常に把握できる構造にしていきたいですね。

丸山:前提として、ヒューマンアールのビジネス自体はそう複雑なものではなく、下図のようなフローで進んでいきます。

この積み重ねによって、最終的にマッチングできる人数が変わります。つまり、各フェーズの進捗率を1%ずつでも、0.5%ずつでも、いかに上げていくかが重要です。

2024年は各フェーズに対する明確なロジックのもと、一人ひとりの行動がどう成果に結び付くのかを見える化し、緻密に取り組んでいきます。例えば、資料作成の方法や、アポイント獲得の工夫など、各パーセンテージを上げるための方策を皆さんにお願いする形です。

そして、継人プロジェクトで一度体現できたら、ヒューマンアールとしてしっかり引き継いでいきたいと考えています。

また個人的には、将来的にどういうビジネスを展開していくのか、中長期のビジョンをそろそろ作りたいですね。今までは「事業を引き継ぐ」「まずは売上を回復する」に集中してきましたが、やはり今後どこに向かっていくのか、トップの責任としてきちんと描いていきたいと思います。

「頑張れば達成できる」目標への確かな手応え

――2024年9月に「売上1.5倍」の目標を掲げていますが、現状はいかがでしょう?

長田:半年間3チーム体制で取り組んできて、着実に前進していることは確かです。ただ、目に見える実績(売上拡大)として十分とは言えず、今までの戦略が「功を奏した」かどうかはまだ判断できません。

しかし、私個人は目標に対して焦りは感じていません。一歩ずつ進んでいますし、9月まで時間は残されています。バックキャスティング思考を忘れず、売上1.5倍に対して「具体的に何をすればいいか」を紐解き、リーダーとしての役割を果たしていきます。

丸山:正直に言うと、現時点の収益はまだマイナスの状況です。今のままでいくと、目標の売上1.5倍に達してようやく利益がトントン。でも、派遣人数を着実に増やして1.5倍を超えていけば、構造上はどんどん利益が上がっていきます。

見通しとしては、既存事業(派遣)の方はなんとかクリアできるでしょう。新規事業(紹介)の方も、今後15〜20人ほど送り出すことができれば、メンバーの皆さんにもしっかり還元できそうです。まずは、4月に3人ほど就労開始を目指したいですね。

幸いなことに、最近はコロナ明けでインバウンド需要が一気に上がってきたため、求人も取りやすくなっています。ヒューマンアールの社員数人だと難しいことも、継人メンバーの力を借りれば可能性も広がるはずです。

目標の売上も「無理ではない数字」ですし、みんなで頑張ればきっと達成できる!2024年、また新たに気を引き締めて頑張っていきたいと思います。

***

次回は、チーム制から個別タスク制に切り替えるきっかけにもなった「悩みと苦労の裏話」にフォーカスしてお伝えする予定です。副業プロジェクトならではのモヤモヤをどう打開したのか……どうぞ、お楽しみに。

なお、本プロジェクトは、TRANBI副業部から生まれた有志メンバーで挑戦しています。副業・経営・事業承継などに少しでも興味のある方は、以下よりぜひ副業部コミュニティ(無料)にご参加ください!


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