副業人材チームの素顔とは?多様なキャリアの掛け算がもたらす価値【PMI奮闘記#3】
副業チームでM&A後の経営改善に挑む「継人(つぎびと)プロジェクト」。外国人材の派遣・紹介をおこなう株式会社ヒューマンアールを舞台に、TRANBI副業部から生まれた有志メンバーが売上目標を達成するため、一丸となって取り組んでいます。
本連載では、現在進行形のプロジェクトの様子を月1〜2回のペースでお届けしています(前回はこちら)。今回は各メンバーにスポットライトを当て、プロジェクトに参加したきっかけや、それぞれが抱える想いや悩みなどを詳しく伺いました。
(文責:田原未沙記)
多彩なキャリアをもつメンバーたち
ヒューマンアール社の売上を「1年間で1.5倍」にすることが目標の本プロジェクト。3チーム体制で戦略を立て、それぞれ目標達成に向けた施策を進めています。
①既存事業拡大チーム:ホテル・旅館業界に対し、マネージャークラスの高度外国人材(技人国人材)の紹介
②新規事業立ち上げチーム:ホテル・旅館業界に対し、ホールスタッフなど即戦力となる外国人材(特定技能人材)の紹介
③コミュニティ運営チーム:外国人材のコミュニティ運営・活性化
全体のチーム編成は下図のようなイメージです。各チームにはヒューマンアールの社員も加わり、相互に連携しながら取り組んでいます。
それでは、チームごとにメンバーのプロフィールとコメントを紹介します。
①既存事業拡大チーム
【チームメンバー】
・上野谷 真(かみのや まこと)※仮名
・石川 悠(いしかわ はるか)※仮名・プロフィール非公表
上野谷:既存事業拡大チームでは、ヒューマンアールの方と週1回MTGを設けて現状をヒアリングし、売上拡大のボトルネック解消にみんなで取り組んでいます。副業人材という立場もあり、業務改善・標準化といった切り口からお力添えする機会が多いです。
私は本業の経験(20名から400名規模まで成長)をもとに、国内のスタートアップ・ベンチャーや中小企業の事業成長を支援したいと考えていました。そんな折、TRANBIさんのイベントに参加し、社長の丸山さんと意気投合。同イベントに参加されていた田保さん経由で、本プロジェクトへの参画を打診いただきました。
現時点での悩みは大きく2つあります。1つは貢献方法。副業での参加とはいえヒューマンアールさんにとっては本業ですので、限られた時間でどのように事業成長に貢献すべきかはいつも悩んでいます。
もう1つはプロジェクト管理。会社員だと昇進・昇給を目的に参画を促せますが、副業プロジェクトの場合、それぞれの目的や背景を勘案した業務分担が必要です。
継人プロジェクトは、国内でも先進的な取り組みだと思います。日本における副業解禁は、中小企業やスタートアップ・ベンチャーの人事戦略にとって転換期です。本プロジェクトを成功させ、第2第3のヒューマンアール×副業人材の形が出てきてほしいと願っています!
②新規事業立ち上げチーム
【チームメンバー】
・長田 明(おさだ あきら)※仮名
・宇佐美 希未佳(うさみ きみか)※兼務
長田:私は全体プロジェクトリーダー兼、新規事業立ち上げチームリーダーとして活動しています。このプロジェクトに参加したのは、TRANBI代表の高橋さんに誘われたことがきっかけでした。また、私自身も少しだけPMIに携わった経験があり、興味を引かれました。
プロジェクトが始動してからの悩みは、主に時間に関してです。本プロジェクトに費やせる時間(自分の時間)や、メンバーとコミュニケーションできる時間が限られているため、その中でいかに進めるかを常に考えています。このプロジェクトを通じて、とにかくヒューマンアールの成長に貢献したいですね。
宇佐美:私は、新規事業立ち上げチームとコミュニティ活性化チームの2つに所属しています。私もTRANBIさんの複業イベントに参加した際にヒューマンアールさんと知り合い、本プロジェクトに参加することになりました。
現時点では、来年の目標達成に向けてまだまだ結果が見えず、正直不安です(笑)ただ、自分が関わってきた分野とはまったく違う業種に関われるので、とても学びが多いとも感じています。複業ならではの醍醐味ですね。
③コミュニティ運営チーム
【チームメンバー】
・田保 祐一郎(たぼ ゆういちろう)
・岡崎 絵里(おかざき えり)※仮名
・髙橋 明(たかはし あきら)
・宇佐美 希未佳(うさみ きみか)※兼務
田保:私はコミュニティ運営チームにて、ナンパ活動(人集め)を担当しています。そして、本プロジェクトを企画した立場でもあります。
その背景として、TRANBIの中小企業M&Aにて不成立の案件でも、事業成長させられる可能性は必ずあると思っていました。一方で、キャリアデザインの視点から本業以外の経験でスキルアップしたくても、踏み出せていない人材が周りに多く存在していたんです。
そこで、投資余力が小さく人材も限られている中小企業に対し、副業人材をマッチングすることで事業成長を実現できるのではと考え、継人プロジェクトを企画しました。
私が気にかけている点は、3チームに分かれているため、できるだけ全体共有して目線を合わせることです。また、目標達成に向けてやるべきことが増えていくため、ヒューマンアール社員と副業メンバーの稼働をどのように「最小化」させるかについても意識しています。
現在は手探り状態で進めており、目標を達成できるかどうかはまだまだ不透明です。しかし振り返った時に、企業としての成果や、副業人材の成長が感じられたらなと。そのためにも、現時点で何が足りないか、何をすべきなのかを深堀りしていきたいと思います。
岡崎:私はTRANBI副業部のイベントでヒューマンアールさんと出会い、チームでPMIを行う挑戦が面白そう!と思って参加を決めました。本業ではお会いできないような、さまざまなバックグラウンドのメンバーと仕事ができることも魅力に感じました。
実際にプロジェクトがスタートしてからは、本業とまったく業界が違うため、情報のキャッチアップや業界理解には苦労しています。また、理想と現状のギャップが大きく、当初思い描いたことが全然できないという苦い経験もしました。
このプロジェクトを一言で言うと「多様性」だと思います。ヒューマンアールの社員と副業メンバーが一緒になって事業拡大に挑むこと、副業メンバーの背景がバラバラなことなど、学びも刺激もたくさんあります。
一方、難しさも感じています。現状はチーム間の連携が弱く、他のチームが何をしているのか、ゴールに向かって同じ方向に進んでいるのか、わからなくなる時もありますね。月1回の全体会はあるものの、連携の仕方や業務の進め方には改善の余地があるかもしれません。
高橋:私は新卒の時から今の会社でずっと働いていることもあり、社外での経験を積みたいと思っていました。そんな中で田保さんと出会い、誘っていただいたことが本プロジェクトに参加したきっかけです。
プロジェクトに取り組むうえでの難しさは、やはり稼働時間の捻出です。自分の中では、本業を優先するというルールを守ることを意識しています。社外での業務を通じて本業を見つめ直すことにもつながり、貴重な経験となっていると感じます。
副業プロジェクトだからこそ両立の工夫を
多彩で優秀なメンバーが集う本プロジェクト。しかし副業として取り組むうえでは、時間やタスク管理に課題を感じる場面も多いようです。そこで、本業との両立のコツについても伺いました。
上野谷:カレンダーやメールはできる限り全デバイスで同期しています。Googleカレンダーのアカウントごとに色と使い方を分け、本業・個人事業・家庭と、最低3つのカレンダーでスケジュールを管理しています。
長田:私もスケジュールはGoogleカレンダーで一元管理しています。また、毎週火曜日の夕方以降はヒューマンアールの時間にするなど、曜日や時間帯で集中すべき仕事を分けています。
宇佐美:スケジュール帳で使用できる時間を「ブロック」することが多いです。メイン業務以外のタスクもまずは入れておいて、優先順位の高いタスク(納期が早いものなど)から納期順に時間を押さえ、スケジュールを逆算してコミット量の配分を決めています。
田保:1週間の中でワークする時間を設定しておくこと、副業においては無理はしない(本業や家族などを大切にする)ことを心がけています。
岡崎:MTGが火曜日の夜に多いので、火曜日は本業の勤務時間を繰り上げて余裕をもてるように工夫しています。また、得意な人に頼ることは意識的に行っています。
高橋:「本業を優先する」というルールを守るようにしています。
このように、メンバーそれぞれに両立の工夫が見られます。本業でも副業でも成果を出し、かつプライベートとのバランスを保つためには、意識的な取り組みが必須と言えそうです。
副業人材=外部の知見が課題解決の一歩に
継人プロジェクトが始動して、ヒューマンアールには重要な変革がもたらされました。それは「KPIの設定」です。
KPI(重要業績評価指標)とは、プロジェクトの進捗や成果を測るための指標ですが、それまでは明確に設定・運用がなされていない状況でした。そこに大きく貢献したのが、副業人材チームというわけです。
多彩な経歴をもつメンバーだからこそ、進捗管理の経験者も複数います。そのため、目標管理シートを作成して「売上1.5倍には何が必要か」を分解し、具体的なアクションプランを可視化できるようになりました。
何をしたら売上につながるのか
どういう進捗管理が必要なのか
1か月、1週間、1日ごとに何をすればいいのか
こういった点を整理して数字に落とし込むことで「あれ、売上1.5倍って意外と現実的だね?」という認識に変わり、ようやく本当のスタートを切ることができたのです。
また、各々の経験やノウハウをもとに、営業管理シートや顧客管理データベースも作成し、常に状況を共有しながら施策を進めています。
社内だけでは解決の糸口が見えない課題も、外部の知見によって進展するケースは多々あります。“副業人材チーム”の関わりは、まさにこうした成果をもたらしたといえるでしょう。
本連載も3回目。来年9月の目標達成を見届けるべく、引き続きプロジェクトの現場をお伝えしていきます。
また、現在2000人以上のメンバーが参加するTRANBI副業部。本プロジェクトのように、新しい挑戦のチャンスが待っているかもしれません。少しでも興味のある方は、以下よりお気軽にご参加ください!
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