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#190 コッターの変革の8ステップを活用するとリーダーシップを発揮して大きな変革につながる

VUCAの時代と言われるように予測不能な時代になり、急速な社会変化の中で組織や個人にも時代に合わせて変化をしていかないといけない状況になっています。

ただ、どうやって変化していくかという点も個人個人で異なっており、その集合体である組織の変化する方向性に対する考え方が違ってきます。それが悪いということではなくて、人によって考え方が違うのは当然です。

その上で、異なる考え方の人が多くなっている昨今の状況の中で、どうやって組織として変革をしていくのかという点を考えてみます。

今学んでいるグロービス経営大学院で「組織行動とリーダーシップ」の授業の中で学んだ「コッターの変革の8ステップ」で考えてみました。「コッターの変革の8ステップ」は下記の通りで、それぞれに分解して、順次進めていくと変革を起こしていけるという内容です。

①危機意識を高める
②変革推進チームを作る
③適切なビジョンを作る
④変革のビジョンを周知徹底する
⑤従業員の自発的な行動を促す
⑥短期的な成果を生む
⑦さらに変革を進める
⑧変革を根付かせる

ここで、重要になってくるのは各ステップで何に気を付けて進めるのか?、悩み多い中でどうやって進めていくのか?などうまく行かない要素も多数あり、かつ数年という長い年月が必要なので諦めてしまうケースも多いのでしょう。

そこで、下記には私なりの解釈をまとめておきます。

①危機意識を高める

組織規模や過去の歴史にも依存するところもありますが、多くの日本の大企業の社員たちは危機意識を強く持っていないと思っています。もちろん、なんとなく「自分の会社って大丈夫かな~」と思っていても、その程度でしょう。

ただ、変化というのはちょっとずつ、しかし長期的に見たら確実にどちらかの方に進んでいきます。2010年から2020年で考えてみると気が付いたら、皆がスマホを使っている社会になりましたし、デジタルのビジネスが主流になりました。

これから先の2030年に向けてこの変化はさらに加速し、しかもどちらの方向に変化していくのかすら予測が困難な時代になってきました。そんな時代に数年かけて変革を起こそうとしても、その方向性が間違っていたらもう立ち直れません。

必要なのは、「現状を正しく理解して、必要な危機感を共有すること」です。それを組織の皆が共有して、自分たちのどこに課題があって、何をしていくと素敵な未来が開けるのかを皆が腹落ちして理解してくれるかという点にかかってくるでしょう。

②変革推進チームを作る

そして、自主的な行動では変革は起こりません。そのため、変革を進めていくためにはチームが必要です。このチームには多様な人材が必要であり、私個人としては下記の二点が重要です。

・社内のコミュニケーション能力が高く、経営層を動かせる社内調整力
・社外の変化に敏感で、その上で自分たちが何をすべきかを考えられる力

こういったことが出来ないと正しい方向に変革を起こすことは困難でしょう。ただ、ここで大切なのは一人の人間に両方の能力を求めているということではないのです。

多くのケースでは両立しません。それぞれ別の人で特異な部分を活かしていけば良いし、重要な点は両者がうまく意思疎通できるという点です。そういった意味で外向きと中向きの人をうまくつないでいける人というのが一番のキーマンかもしれません。

③適切なビジョンを作る

変革をしていくために、企業であれば従業員が同じ方向を向いている必要があります。そのために、適切なビジョンを作る必要があります。例えば、

・全部デジタルのビジネスにシフトする
・環境負荷低減に貢献する

など、そこは色々なケースがあると思います。そこには、強い意思としてメッセージを作ること、そしてそのメッセージが自分たちが今まで大切にしてきた価値観と大きな違和感がないことが大切です。

もちろん、変わっていくことは必要だけど、その中で普遍的な価値観が多くの組織にあると思います。そこから大きくずれてしまうと、拒否感しかないので変革がとても進みません。

④変革のビジョンを周知徹底する

これ以降はソフト的なビジョンの浸透プロセスなので、時間がかかり、難しい部分もあります。ただ、①~③のハード面だけ作っても何も意味がなくなってしまいます。

そこで、前述のように多くの従業員は危機感を持っていないことも多く、それが変革のビジョン浸透を妨げます。「自分たちは今変わらなくても給料もらえるら良い」という反応が普通でしょう。

ここでは諦めずに伝えること、そしてビジョンを伝える人が多くの人に信頼されていることが大切なのだと感じています。根本的なところで、どんなに良いことを言っても、信頼していない人からの意見では最初から拒否感を示します。

結局は、ビジョンを伝える人に求められるのは多くの人から信頼されていることが一番なのかともいます。そこには、普段から「自己中心的な振る舞い」や「正しいことを正しいと言えない」などは論外です。

ただ、大企業でそれなりのポストになってしまうと、ダメな点を指摘してくれなくなるので、しっかりと自分のことを理解できるようにしないと結局はうまく行かないです。

都合の良い部下は心地よいものですが、しっかりと意見を言える部下を大切に出来る器の大きさがないと大きな変革を起こしていくことは難しいのでしょう。

⑤従業員の自発的な行動を促す

組織全体が変革を起こすためには、それぞれの従業員が自発的にビジョン実現に向けた行動を起こす必要があります。そこには、本人が何をやるかについて腹落ちしている必要があります。

そのために必要なことは一言では言えませんし、人によってどうやったら自発的な行動を起こすかは異なります。まずは自発的な行動を起こしてもらいたい相手のことを理解することが大切です。

その人がどこに価値観を持っていて、どういった言葉や行動で伝えることで主体的な行動につなげていくかを良く考えることが大切です。自部署の短期的な業績ばかりに目が行くのは仕方がない部分があります。

一方、業績と人材の両輪をうまく回していかないと中長期的な成長にはつながりません。そういった意味で人材という点も意識して、そこから従業員が自発的な行動につなげていくようなことも取り組んでいきましょう。

⑥短期的な成果を生む

ソフト的な変革遂行はなかなか目に見えないことが多く、長く続かないこともあります。そういったときには短期的かつ定量的な成果が大切です。

多くの人は短期的な成果が得られないと変わることをあきらめてしまいます。ここでもう一つ重要なのは、誰が見ても成果が出ていることが分かる定量性です。

例えば、

・売上の内デジタル製品の割合が50%を超える
・環境負荷を下げる製品の割合が80%を超える

など、ビジョンに関連付けて、かつ目に見える成果を明確化しておくのが大切なのです。

⑦さらに変革を進める

変革というのは一つ何かを変えるだけではダメです。最終的には組織の文化そのものを変えていくことを目標とすると、一つ一つの小さい変革を継続していかないといけません。

そういった活動が増えていく中で、いつかは全社の主流の流れにしていかないといけません。過半数を超えるような動きになれば、後は山の頂上から海に水が流れるように一気に進みます。

そこまで出来たら、変革は成功したと言えます。大切なのは小さい変革の中でうまく行かないことも多々ありますが、あきらめずに前述のステップに立ち戻りながら前に進み続ける勇気と行動力を持つことです。

⑧変革を根付かせる

⑦と共通する部分もありますが、多くの人が変革に向けた活動を進めていくようになれば、徐々に変革が根付いていくことになります。後は、リーダーたちが彼らの活動をうまく後押しして、フォロワーのように振舞っていくことが大切なのだと思います。

今回は組織変革を起こすための流れを考えてみました。正解はない領域ですが、私なりの解釈を書いておきましたので、是非皆さんが考えるための一つの参考にしてもらえればと思います。


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