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新規事業創出の極意③コミュニケーション力と雑談力

今までに、民間企業、大学、NPOの立場で新規事業創出にそれぞれ携わってきました。個別の具体例は色々と問題になってしまいますが、折角の経験なので考え方などをまとめて欲しいと知人に勧められました。

前回は「ビジョン構築」と「未来予測」について記事化しました。

3回目のテーマは「コミュニケーション力」と「雑談力」です。新規事業創出は市場の情報を整理して、企画をまとめていく作業がメイン業務ですが、その際に多くの人の支えが必要です。

そのために、「コミュニケーション力」と「雑談力」必須な能力となっていますし、私が知り合った優秀な新規事業担当者は皆この辺のスキルが優れています。

少しでもマインドセットを良い方向にシフトさせて、新規事業創出につなげていきましょう!

新規事業創造に必要なコミュニケーション力

新規事業チームのメンバーは色々な意味で大変です。

既存の事業を担当している部署は、営業であれば売上○○円、工場であれば不良率〇〇%以下と共通の目標を認識するのが比較的容易です。多少の意見の相違があったとしても、その部署の課題はメンバーが理解していることが多いです。

日常の業務オペレーションも共通の数字目標があるので、明確な指示も出しやすいです。「売上目標に○○円届いていないから、こういったやり方をして売上を上げる取り組みをする」とか、ですよね。

一方、新規事業創造を担当する部署は、そもそもの目標値設定があやふやです。また、明確な方向性も行ったり来たりするのも日常茶飯事です。そういった環境では、メンバー間の意思疎通が特に必要です。

そのため、新規事業創出チームではメンバー間の意思疎通にはやはり高いコミュニケーション力が重要になってきます。

良好な人間関係の構築

組織で仕事をする以上は良好な人間関係が重要であることは誰も否定しないことだと思います。また、社会人になると学生自体と違って知識よりもコミュニケーション力が高い方が重視されることも多くなります。

特に、新規事業創出チームは「方向性が迷走」したり、「社内から冷たい目で見られる」ことが多々あります。そういったチームには高いコミュニケーション力を持った人たちが一人でも多いことが大事になります。

そうしないとチームが空中分解してしまいます・・・

新規事業創出するという目標を達成するために頼れるのは、同じ悩みを持つメンバーたちです。新規事業担当者は社外のネットワークを持っている人はそれはそれで良いですが、やはり社内の仲間の存在は大きいです。

また、メンバー個人としては目に見える成果でないことが多いので、自分が何をしているのかという不安になってしまうケースも多いです。売上や不良率などの数値目標がないので仕方がないことです。

既存事業で成果を出してきて、あるタイミングで新規事業チームに異動になった人は、特にその傾向は強いです。今まで優等生で生きてきた真面目な人はそういったケースに陥ります。別にそれ自体は悪いことではないです。

新規事業創出という行き先の見えにくい荒波で仕事を良い方向に導いていくためには、メンバーの方向性を揃えて協力してもらう力も求められます。そのためには、一人一人が高いコミュニケーション力を持つようにしていきましょう。

人間関係を円滑に

新規事業創造チームでは、日々の情報交換が特に重要になっています。自分が今何を考えて、どういった方向で進めていくのかを共有してほしいです。

やっぱり新規事業担当者は日々悩みます。
本当に悩みは多いですね。

そういった状況でも、いつでも誰かに相談できる環境が心理的な安定を作り出します。そのような良好な人間関係を継続できるように最大限の努力を払う必要があると思っています。

私は常に自分からコンタクトを取り続けて、いつでもみんなから質問できるような雰囲気を醸し出すようにしています。結構、気ままに質問してくる人は多くなりました。

良好なコミュニケーションにつながる良い傾向です。

また、「良質な情報交換」という重要な副次的なメリットもあります。社内外の情報を一人で調べていても限界があります。そういった情報を周囲の人からも入手できます。人によって情報源は違いますし、興味の対象が違うので情報の質と量は飛躍的に向上します。

新規事業を考える上で「情報」は必須です。良好な人間関係で心理的な安心感を得た上で、良質な情報を入手できるようなネットワークつくりも大事にしていきましょう。

もう一つのメリットは、お互いの認識のずれをなくせるという点です。良くも悪くも新規事業を考えると方向性が変化していきます。自分のことは常に把握していますが、隣の人の考え方の変化は聞いてみないと分かりません。

そうするとしばらく話をしなかった一週間後に、「そんなこと考えていたんだ・・・」っていう意識のずれを生みにくくなります。そういった積み重ねが無駄な仕事を減らせますね。

ただでさえ、迷走気味で何をしてよいか分からなくなりがちですが、ちょっとまとめた後に全然イメージと違っていたと言われたら、それはもうやる気が維持できる要素はない!

新規事業創出には聞く力は重要

コミュニケーションというと、相手にうまく話をすることをイメージする人がいるかもしれません。それはもちろん大事です。

私は新規事業に関して、特に「聞く力」を重視しています。

相手との良好な人間関係を作りたいなら、「自分のことを知ってもらうこと」と「相手を理解すること」の両面が重要です。自分のことをしゃべり続ける人とはあまり仲良くなれないですよね。

そのために、まず「相手を知りたいという姿勢」を前面に押し出す必要があります。人は基本的に相手に自分のことを知ってもらいたい生き物です。SNSでフォロアーを増やしたいのと同じ心理ですかね?

相手のことを知りたいという姿勢で好意的な態度で会話ができれば必然的に良好な信頼関係が作れますよね。また、日々の新規事業担当としての悩みを率直に打ち明けられる関係を作れないとうまくいかないです。

是非、日常の会話の中で相手の想いを聞き出す能力を磨いていってください。毎日意識していけば徐々に改善していきます!

特効薬はないです。
時間をかけて自分なりのやり方を見つけていくしかないです。

飲み会をやれば皆仲良くなれるということを言ってくる人が未だにいます。元々ある程度の信頼関係を構築したメンバーとの飲み会はコミュニケーションを円滑にできます。ただ、そこがない状態ではただ飲んだだけで終わってしまいます。

伝える力

もちろん、「伝える力」も大事です。

特に新規事業のように迷走しがちな仕事をしている場合には、自分なりの考えを整理する必要があります。また、それを相手に伝えることで互いの意見の違いを理解できます。

「人に伝えること」のもう一つの利点は、自分の考えを整理できるということです。日々思っていることは頭の中で整理しているつもりになっていますが、それを分かるように人に伝えることはもう一段高い整理能力が求められます。

新規事業創出には「ビジョン」が大事ですが、そもそも目標やそこに向かう道筋が不明瞭です。そんなときには、やはり自分の考えを整理して、共有化しておく必要があります。

常に自分の考えを人に伝えるようにして、考えをまとめて人に伝えるスキルを磨いていきましょう。

雑談力とは?

個人的には、新規事業担当者には「雑談力」を最重視しています。

前述の「コミュニケーション」との差は何かという定義は難しいですが、「雑談力」とは気楽に色々と話ができる能力だと思っています。

一般論として新規事業創出チームがフォローしている範囲は非常に広いです。それこそ自動車全体とか電子機器全体とかを対象にしていて、範囲があるのかないのか良く分からないときも多いです。

そういった広い領域をチームメンバーで分担しながら進めることも多いですが、他の人のやっていることや情報を気軽に入手できる「雑談」は重要です。それができると、自分の知識の幅を広げていけますし、そこから新しいネタにもつなげていくこともできます。

自分で何時間もネットで調べていたことが、知り合いに聞いたら数分で分かったなんてことは数知れません。限られた時間で如何に情報を集められるかが、その人のアウトプットにつながります。

また、自分の担当外の話を聞く際には、自分の知らない分野なので、神経を集中さえて理解しようとします。それを積み重ねていくと、「聞く力」が向上して、指数関数的に知識の幅が広がっていきます。

実は雑談ではなくて、考えを整理するチャンス

どうやって「雑談」に持ち込むのかも重要なスキルです。

机に向かっている人に話しかけることもありますが、ちょっと休憩するタイミングを合わせるとか、ミーティング後に歩きながらとかチャンスはたくさんあります。そういった隙間時間を有効に活用することでビジネススキルが向上していきます。

どうしても「雑談」というと「さぼっている」という印象を持つ人もいます。本当に無駄な話をしている場合もありますが、うまく活用できている人は重要な情報交換をしています。

そういったちょっとした行動を通じて自分の考えを整理していくことが重要です。

今回は新規事業創出に向けて重要な「コミュニケーション力」と「雑談力」をまとめました。

次回は「説得力」と「説明力」です。ご期待ください!

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