#149 大企業のアイデア、仕組み、人材をイノベーション創出につなげていくための戦略
今日は新規事業創出に必須であるイノベーションを創出するために必要な三大要素である「アイデア」、「仕組み」、「人材」についてカテゴライズしてまとめてきました。
未来の先行きが見えにくくなってきた昨今ですが、新規事業創出は必ず問われます。企業の中の企画担当者たちは必ず新しいネタを探して来いと言われます。
結局、大きな問題はイノベーション創出に向けた取り組みについて、大きな誤解があることも多いのです。今回はこの3つの内容を具体的に解説していきます。
アイデアは自社の戦略とのリンクがないと全く意味はない
世の中には新規事業のアイデアが山のように転がっています。でも、それをうまく新規事業企画に持っていき、事業化できるかはそれほど簡単ではありません。
実際問題として、多くの企業で新規事業担当者がたくさんいて、そういった人たちが日夜血眼になって情報を集めています。また、インターネット環境も飛躍的に良くなってきており、いつでもどこでも多くの情報を入手できる環境になっています。
なぜ多くの情報があるのに、それがイノベーション創出つながっていかないのでしょうか?
一番の課題は自社の戦略が明確に決まっていないということがあります。多くの会社で長期ビジョンや中期経営計画はあります。ただ、これらをかみ砕いて自分たちが何をやっていくのかをしっかりと議論している会社が少ないのも現状です。
では、そういった戦略とアイデアをどうやって組み立てていくのでしょうか?
つまりは未来の姿を想像して自社がどうなりたいのかということを考えることです。自分たちが求める姿を経営層を含めて握っておかないと、変な横やりが入って妨害されることもあります。
後は時間軸や狙う事業規模を含めてしっかりと考えていかないといけないのです。○年後、○○万円の事業規模などが曖昧なケースが多いです。
多くの場合に、出来るだけ早く、出来るだけ多くの売り上げを狙っていこうという曖昧な方針になります。これは戦略ではないです。戦略とは自分たちが勝てる場所を探して、そこに向かって一直線に進んでいくために必要なのです。
結局、戦略をしっかりと整理されていないことが本当に多いのです。逆の言い方をすれば、戦略をしっかりと整理した上で世の中にあるアイデアを事業企画につなげていけば成功する確率は飛躍的に高まります。
アイデアを事業企画につなげていく仕組み
アイデアを具現化する良い戦略があっても、それを動かす仕組みがなければ実現可能性が非常に低いものになってしまいます。ここでは、そういった仕組みをどうしたらよいのかを考えていきましょう。
一般論として、大企業であればこれまでに作り上げてきた仕組みが存在します。これは、既存事業を効率的にマネージメントするために最適化してきています。一方でイノベーション創出のように不確実な未来を作り出すやり方には向いていません。
この仕組みを残したままだと、イノベーション創出の妨げになることもあります。ただ、大企業の看板を活用した方が知名度や顧客ネットワークなどを活用して大きな展開が可能になります。
そのため、両者をうまく使い分ける必要があります。では、どうしたらよいのでしょうか?
最初の一歩としては社内の既存の仕組みから外れた出島のようなところで、海のモノとも山のモノとも言えないネタを熟成させていった方が良いです。そういった環境に社内に眠っているイノベーターをアサインすることで、水を得た魚のように活躍できます。
残念ながら大企業の既存の枠組みではイノベーターの価値は認めてもらえませんし、高く評価されないのが実情なのです。
そういった人たちが速いスピードで進むためには、自社にないものを如何に外部から取り入れるのかです。ただ、大企業の中で理解してもらうのは現実問題として課題になってきます。
大企業内に埋もれてしまうイノベーター
イノベーターに求められるのは、マインド、スキル、人脈ネットワークと言われています。ここは大きな異論はないと思います。
ただ、サラリーマンとして生きてきた人は既存のビジネスを効率的に回してきたと人と新規事業創出に挑む人のマインドは大きく異なっています。
例えば、マインドであれば社会課題に対して、自社の売り上げということを最優先で考えずに、自分がどういった貢献ができるのかという思想で考えます。それは既存事業で育ってきた人には多分理解されないのでしょう。
会社の成長には利益が必要だということは否定はしませんが、自分のビジョンに従って、新事業を産み出せる人が真のイノベーターなのです。自分がなぜこれをやりたいと思っているのかを明確に答えられる人が重要なのです。
そういった純粋な心を持っている人は情熱をもって仕事を取り組んでいけると思いますが、一般的なサラリーマンには多くないのが実情なのでしょう。
また、社外の人と付き合えるスキルやそれを実現するネットワークも大事です。如何に社外の人と出会って、良好な人間関係を維持できるのかというのも、こういったビジョンを持っていることが大事になってくるのです。
人間誰しも相手に魅力を感じたら、一緒に活動をしたいと思います。そういう時に、「自分が儲かるために事業開発をしたいという人」よりも「世の中のこういった課題を解決したいので新事業を作り出したいという人」の方が魅力を感じるのは当然の帰結です。
ただ、こういったイノベーターは一般的な大企業では評価されてこなかったのは残念なところです。これからはこういった人材を如何に活用できるかが成長する企業の重要な要素になると考えています。
そのためには、同じ社内でイノベーターと政治力が高い内製型イントレプレナーをうまく組み合わせる必要があります。前者は社外のイノベーティブな人たちとの交流の中から新しいネタを持ってきます。
一方、後者は社外のイノベーターとはうまく交流することはできない反面、彼らの意見を翻訳して社内の説得ができるという特徴があります。そういった組み合わせで全く異なるマインドをつなぎ合わせることができるのです。
決まった価値観で硬直的な組織ではなくて、多様な人材をうまく活用できる企業がイノベーション創出につなげていけるはずです。
今日は大企業の中でイノベーション創出に必要な要素をまとめてみました。是非、多くのイノベーションが日本からたくさん出てくることを祈っています。
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