part.6 第3回全国ヨーグルトサミットinいわてが繋ぐ絆とレガシー
初の民間主体となる実行委員会の結成
いよいよ本格的に動き出すわけだが、ここで岩手県の乳業メーカーの関係性について述べておきたい。
岩手県 中小乳業メーカーの関わりと横連携
元々岩手県は、岩手県牛乳普及協会に所属するメーカー内にて横の繋がりが出来ており、お互いが連携をとり歩んでいく機会が多かった。
大きな要素が2つある。
1つは学校給食。
前述でも挙げたが、地方乳業メーカーの製造する牛乳は地産地消が基本である。
それは地元酪農家さんが丹精込めて搾った生乳(せいにゅう)を一滴たりとも無駄にしないという精神より。
餅は餅屋、無益な争いはしない。
こういった環境化を作れたのは、岩手県と岩手県牛乳普及協会の支えあってと言って過言ではない。
また、学校給食には「刷り込み」の効果があると思う。
刷り込みとは、動物の生活史のある時期、特定の物事が短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種。
刻印づけ、インプリンティングとも呼ばれる。
これだけ聞くと、当てつけのような考えと思うかもしれないが、全く違う。
生乳本来の味わいを最大限活かした製法で、時間をかけて殺菌した美味しい牛乳を子供たちに伝えていく。
良いものを良いと伝える。
これの一体何が悪いのか?
これこそが乳業メーカーの務めであり使命であると私は考える。
もう1つがIBCまつりミルクフェアである。
私の大好きな今井日奈子アナウンサーの放送局が主催する超大型イベントで、2日間で3万人の来場者をたたき出す超大型イベントだ。
ここまできたら呆れるであろう。無理やりでも出したいのである。
そう、私は今井日奈子アナウンサーが大好きである。
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話を戻そう。
IBCまつりの一画として、岩手県牛乳普及協会が主催となり、毎年実施されるミルクフェア。
ここでは牛乳の普及活動を中心として、ヨーグルトやスイーツ等を販売し、県産品の地産地消を推奨している。
このように、共に取り組んできた背景があるからこそ、岩手では実行委員会を編成して取り組むことができたのだ。
但し、今回のヨーグルトサミットの場合、より広い視野で、多くの県内乳業メーカーが肩を組み歩んでいかなければ、全国ヨーグルトサミットとして社会に訴えることはできない。
そこで、学校給食やミルクフェアという枠を超え、ヨーグルトサミットとしてのメンバー編成を行うこととした。
そこについては、全く躊躇はない。
片っ端から、開催主旨を伝え回った。
岩手で行う上での開催主旨は以下の通り。
少し長いが、重要な内容のため、しばしお付き合い願いたい。
<開催主旨>
人口減少が続く地域(地方)の未来のため、地域の暮らし作りのためにヨーグルトサミットを開催します。
人口減少が続くのは魅力ある所得と雇用の場が地方から減少しているからです。
岩手には都府県には珍しく中小乳業が残っており、地域の酪農と深く結びついています。
ヨーグルトサミットを通して、地域の酪農や乳業の活性化が、地域の未来、地域の暮らしに関わっていることを気づいて頂けるような取組みをします。
このサミットに関わった乳業や酪農家をはじめとする関係団体の皆さんが全力で応援する事業にしたいと考えております。
都府県の酪農家、生乳生産量は毎年減少し続けています。
岩手県は酪農の盛んな地域とされてきましたが、現存する生乳生産酪農家は750戸まで減少しています。
岩手の酪農は中山間地を利用した土地利用型が多く、糞尿の有効活用に最も適した経営ができる地帯です。
経営規模が小さく廃業する酪農家の農地を有効活用し、経営規模の拡大を進め、酪農を志す若者が安心して経営できる魅力ある酪農を構築していかなければなりません。
戦前、戦後開拓で入植した開拓農民の歴史を無にしない、多くの事業で開発された牧野や耕作地を守る、酪農に誇りを持って岩手の酪農を支えてきた熟達者(高齢者も含む)が生き生き活躍できる、そして、そこに意欲ある若者が未来に希望を持って働くことができる場を創造していくために、私たちは、このヨーグルトサミットを通して、酪農王国に恥じることのないよう、地域の未来づくり、地域の暮らしづくりを担います。
これが岩手で開催する上で大前提となる内容である。
この主旨に共感し、参画してくれたのが、以下のメーカーだ。
【牛乳普及協会所属メーカー】※順不同、敬称略
①岩泉ホールディングス
②湯田牛乳公社
③おおのミルク工房
④大石乳業
⑤田野畑村産業開発公社
⑥くずまき高原牧場
⑦岩手牛乳
⑧奥中山高原農協乳業
【その他メーカー】
⑨なかほら牧場
⑩松ぼっくり
⑪しあわせ乳業
⑫ハヤチネフーズ
これらのメーカーには、電話だけでなく、場合によっては直接訪問し交渉した。
その中でも、今回のサミットにおいて、向井氏と並ぶ超主要人物を紹介したい。
なかほら牧場の岡田慎也(おかだしんや)氏である。
岡田慎也という男
訪問したのは2019年12月24日㈫。実は、彼はお会いする以前より小林の存在を知っていたという。
それは、クリスマスイブの出会いから、1年以上遡ることとなる。
きっかけは、2018年2月24日㈯・25日㈰に行われた「いわてS-1スイーツフェア」。
当時、湯田牛乳公社とみちのく創彩菓子砂田屋の共同出店という形で会場にいた私は、躍起になり販促PRをしていた。
岡田氏も同会場にて出展していたのだという。
ここで、少し砂田屋の話をさせていただきたい。
砂田屋は岩手地産宝食彩菓と題し、岩手33市町村の食材を活かしたお菓子作りに挑戦するプロジェクトを掲げ奮闘している。
正に、地産地消商品を最大限活かした、市町村という枠を超えて素晴らしい取り組みだ。
これを手掛けたのが、専務取締役である似内大作(にたないだいさく)氏。
小林と一緒に写っているのが、社長であり、似内氏のお母さま。
当時の光景を見て、岡田氏は「すごく印象的でした。あんなに前に出て、積極的にやる人を久々に見た」と言ってくれた。
その言葉にひどく感動したのを記憶している。見ている人はいるんだと。
ここで岡田氏のことを私の経歴も交えて話したい。
岡田氏はダイハツ⇒東京吉本⇒番組制作AD⇒なかほら牧場といった経歴で、番組制作の中で、生産者に興味を持ち、農家巡りをしていた中で今に繋がる。
彼のすごいところは何と言っても、意欲と行動力。
やりたい!と思ったことには飛び込んでいける勇気と度胸も兼ね備えている。
実は、小林も同じように転職を繰り返している。
番組リサーチャー⇒農協⇒ツルハ⇒ABCMART⇒湯田牛乳公社といった経歴だ。一見似ているが、経緯が全く違う。
人に促されてと転職したことが殆どで、日和見菌そのものである。
また、容姿についても近しいことが言えるだろう。
岡田氏、小林共に男前な部類、いや完全な男前であるが、大きく違うのが自身の捉え方である。
岡田氏は飾らず、小林は飾る。
これは気取っているかいないかという表現の方が分かりやすいであろう。
総評すると、月と太陽、光と影。
岡田氏と出会った日は12月24日。正にアダムとイブ。
私は岡田氏という光に見いだされ、そして、惹かれていったことに違いない。
開催主旨・コンセプトに共感し、関係者以外の誘致に賛同し、共に動いてくださった岩手県牛乳普及協会・岩手県の存在は大きい。
メンバーは揃った。
開催主旨も決まった。あとは進むのみ!
そう思う人もいるかもしれない。実はこの中で、まだ決まっていないものがある。
それがコンセプトだ。
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