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恋も過ぎれば毒となる?~第44回Book Fair読書会~

天気が心配でしたが、開催できて良かった!

それでは、本と帯の紹介をどうぞ!
(カッコ内の数字は、参加してくださった回数)
(雑談では複数人が話しており、あえて発言者を明記していない部分があります)

mayuさん(3)→山本文緒『恋愛中毒』角川文庫

◆本や帯の紹介
〈1〉『自転しながら公転する』で山本文緒さんにハマりましたが、本作はタイトル(への先入観)から、手を出せず。
しばらく置いていたけれど、いざ読んでみたら・・・今年一番かも!

〈2〉主人公は、元夫に気持ちが残っている?30代女性。誘われるがままにタレント作家の愛人となり、彼の周囲にいる女性たちと出会う。
恋すると、人はちょっとおかしくなる。そこにのめり込んだことがあれば、共感できる部分がありそう。

〈3〉「愛人の話か」と冷静に読んでいたら、後半に山本さんらしいサプライズと、怒涛の展開がありました。恋愛小説は苦手でも、ミステリーが好きなら面白いはず!

◆リアクション、雑談
・元夫に「私のどこが悪かったのか問い詰めたい」という主人公。痛くて辛くて「そーゆーとこだぞ」と思いながらも、共感してしまうところあり。

・恋愛は熱くなれる人と、なれない人の違いは?/恋の始まりはアホみたいに楽しむ人が多いかも。低いテンションでテーマパーク行っても面白くない/自己開示できるかどうかで変わる?

リアルな人間関係では言いづらいことも、小説の登場人物に”託す”と話せる。

・恋愛小説の話、(良い意味で)素面でできる話じゃなくなってきた/スピンオフで恋愛小説読書会やりたい・・・。

RUIさん(4)→川村元気『百花』文春文庫

◆本や帯の紹介
〈1〉自分で書いた小説を、自分(の脚本・監督)で映画化する。まさに「完全なる映画化」に成功した作品。
表現したいものを全部出す企画に興味を持ち、映画の公開前に読んでみました。

〈2〉認知症で、徐々に失われる母の記憶。逆に、母と向き合い取り戻される息子の記憶。それらが重なり合う物語には、どんな”終わらせ方”が待っているのかーー。

〈3〉映画の原作を読む時、「ここは端折られちゃうかな」などと思いがち。でも作者自身による映画化なら、「このシーンはどう撮るんだろう」と想像する楽しみがある。
小説自体も情景が思い浮かびやすく、文章に色彩を感じる。そして切ない話だけれど、誰しもが直面するテーマを描いています。

◆リアクション、雑談
・あとがきの「人間は体じゃなくて記憶でできているってこと?」という問いかけがまたいい。人は思い出を忘れてしまうけれど、記憶の残り方は色々ある。

・以前、ふかわりょうさんが「旅にはカメラを持っていかない。見た景色は自分の中にしまっておきたい」と書いていた。
そんな風に、思い出を(意図して)作るのではなく、その場を楽しむのもいいなと、たまに思います。ちなみにうちの実家、カメラ屋なんですけど(笑)

マツマルさん(初)→『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』宝島社文庫

◆本や帯の紹介
〈1〉刑事でも、医師でも、弁護士でもなく、薬剤師が推理!?書店でタイトルに驚き、手に取りました。

〈2〉「夜に飲む薬がない」と呼び出してくるおばあさん、娘のアトピーに悩むお母さん・・・
薬剤師の毒島は、患者さんとのちょっとしたやり取りから”裏事情”を見抜く。

〈3〉皮膚科の推奨する1FTU(1フィンガー・チップ・ユニット)など、ちょっとした知識も得られます。
患者が薬と上手に付き合えれば、医師や薬剤師もよりサポートしやすくなる。「ちゃんと塗ってる」「ちゃんと飲んでる」と言う時の「ちゃんと」とはどういうことか、考えたくなる小説です。

◆リアクション、雑談
・ミステリーは好きじゃなく、あまり読まないようにしている。何故なら、展開が面白くて止まらなくなるから(笑)

・昔より、薬剤師さんとの会話が増えた気がする→病院と患者さんの間に立つのも薬局の仕事(疑義照会など)/おくすり手帳導入の影響も?

・ただ薬を渡すだけが薬剤師ではない。薬剤師さんが積極的に話すのは「フレンドリーだから」ではない→推理を通して、コミュニケーションも学べる小説だと思う。

かなさん(12)→清水潔『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』新潮文庫

◆本や帯の紹介
〈1〉栃木と群馬の県境で起きた5件の連続誘拐事件。ジャーナリストである著者は、5件を同一人物による犯行と推測し、調査に乗り出す。

〈2〉5件のうち1件は容疑者が逮捕されており、DNA判定の一致と自白も揃っていた。しかし、地道な作業により、冤罪だったことが証明される。警察を超える著者の調査能力がえげつないです。

〈3〉そして、著者は遂に真犯人を突き止めるのだが、今も逮捕には至っていない。それは何故なのか・・・謎が明らかになる時、タイトルの意味が恐ろしくなるノンフィクションです。

◆リアクション、雑談
・著者が調査報道に関わった事件は、他に「桶川ストーカー事件」がある。

・この本は2016年、岩手の書店(さわや書店フェザン店)で『文庫X』として大ヒットした。

こーせーさん(36)→山田詠美『ぼくは勉強ができない』文春文庫

◆本や帯の紹介
〈1〉「ぼくは、人に好かれようと姑息に努力する人を見ると困っちゃうたちなんだ」
モテて、右に倣わず、普通じゃない17歳。
つまり、先生からすると扱いづらい男子が軸となる短編集です。

〈2〉主人公・秀美くんにはバーで働く年上彼女がいる。
一方、秀美くんと同じクラスには、自分を可愛く見せる演技&演出に長けた女子(山野さん)がいる。
高校生活が舞台ながら、告白からのビンタあり、浮気現場遭遇ありの大人な短編集。おすすめは『賢者の皮むき』。

〈3〉人に対して嫌いと言うけれど、そんな自分も嫌なやつだったかもしれない。等身大の自分と向き合いながら、少しずつ成長していこうとする物語です。

◆リアクション、雑談
・親や先生が、表立って推薦するかは分からない。でも、高校生の頃に出会っていたら、何か違っていたかもと思わせる作品。
実は大人も「どこかで読んでいてほしい」と思うかもしれない。

・山田詠美さん作品では、女子目線で描かれた『放課後の音符(キイノート)』が良かった。(RUIさん)

ふっかー(44)→牟田都子『文にあたる』亜紀書房

◆本や帯の紹介
〈1〉本の校正者が、校正される側に回ったエッセイ集。ミステリーを安心して読める、それ自体も実はミステリーなのでは?と思いながら読みました。

〈2〉「(エッセイで)本当に、あの日あの時あの場所でこの映画やってた?」「(ノンフィクションで)本当にこの海にアザラシいる?」・・・誤植を探すだけでなく、丁寧に事実を突き詰め「文章の強度」を高める。
ただ、特に小説などでは「筆者の主観」「筆者ならではの表現」を尊重することも。

〈3〉校正は、失点が許されない、しかしどうしても失点は避けられないゴールキーパーのような仕事。緊張感が凄まじい一方、「好きな誤植」など意外な”あるある”ネタも?
本づくりの裏側が見れちゃいます。

参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました!!

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