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PMFに惑わされず、ブレないサービス開発するためのメモ

PMF、スタートアップ、MVP、特化、価値、機能、、、

それらが言わんとする意味はなんとなくは分かる。けど、どうしてもそれらの本質が掴みきれない。本質がつかめないからモヤモヤするし、サービス開発の方向性に確信を得られない。次第に言葉遊びをしている気分になってくる。

そんなサービス開発者も多いのではないでしょうか?少なくとも私はこんな沼に一度ハマっていました。それでも、ずっと考えていると本質がわかってくるみたいで、2年ほどサービス開発責任者を続けてわかってきたことをメモしておこうと思います。

これは”PMF”というふわっとした言葉に惑わされずに、PMFするようなサービス開発を目指すスタートアップのための備忘録です。「PMFが大事ってのは分かっているけど、どうにも腑に落ちない」なんて方はぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

PMFしたかどうかは明らかに分かる(らしい)

PMF(プロダクトマーケットフィット)の定義は、多くの著名な起業家・投資家が名言を残してくれています。なので「PMF 定義」などで検索すればたくさんの記事が見つかると思いますが、それらを要約すると、以下のような状態を指す言葉のようです。

  • いまPMFしてるか分からないなら、PMFしていない証拠

  • ある日、突然急激な引きがマーケットから来る

  • 開発や採用など全ての業務が追いつかなくなる

  • PMFが来るまでには悲しみの谷がある

  • スケールしないことをすればいい

  • 人々がほしいプロダクトを作ればかならず来る

参考文献
Netflix、Uber、Airbnb、Dropboxの創業者たちが語る「プロダクトマーケットフィットの瞬間」
PMF に到るまでのステージ別指針集 🧭

なんとなくは分かるけど・・・🤔
PMFに到達していないスタートアップが大半なわけで、これらの定義だけだと置いてけぼり感がありませんか?その解決策として定量的な測定方法(Sean Ellis テスト、NPSなど)もありますが、これらはユーザー数が一定いる状態での測定なのでユーザーがいない段階での先行指標になりづらい。私が知りたいのはそうじゃなかったんですよね。もっとサービス開発の指針になるような、具体的なPMFの条件みたいなものが知りたい。

PMFは”成果”であって、”行動目標”ではない

そこでようやく気づいたのですが、PMFってこれまで頑張ってきた「成果」が視覚化されたものであって、追いかけるべき「目標」とするにはあまりにも変動要因が多すぎるんですよね。「別の指標を自分なりに立てないと新規のサービス開発なんてやってらんない」とあれこれ考えたのですが、ユーザーがついていない以上定量的数値には頼ることが出来ない上に、考え方・条件・定性的指標みたいなことが書かれている記事はほとんど見つけることが出来ませんでした。

「やっぱり条件なんてないのかなぁ」とも諦めかけたりもしましたが、最近は自分なりに「これなんじゃないか!?」という明確な4つの条件があるのでそれらをご紹介します。テーマは”特化”です。MVP(必要最低限の機能・サービス)をどのような方向性で作り上げるべきかという視点での4条件だと理解してもらえると幸いです。

”特化”したサービス開発をするための4条件

”特化”したサービスを作り上げるために、私が必要だと考える4つの条件をこれら4つです。順番に説明していきます。

  • 条件1:複数価値の一貫性,コンセプト

  • 条件2:ワンアクションで複数価値を提供

  • 条件3:ひとつの価値に集中して開発着手

  • 条件4:少ない価値でも応えてくれる狭いユーザー・発展性

条件1:複数価値の一貫性,コンセプト

新しいサービスを企画している場合、「こんなユーザーのこんな悩みを解決したい。そのためには機能A、機能B、機能Cが必要だ!」という構想は既にお持ちかと思います。それら構想に対して、それら機能A〜Cがユーザーニーズに対して一貫しているか?という視点を加えてみてください。

「ニーズと機能が一貫しているかどうか」の判断軸は、ユーザーが頭に浮かぶ「〇〇を解決したい」という感情に由来します。『ジョブ理論』(ハーパーコリンズ・ジャパン、2017年)における”ジョブ”とほぼ同じ考え方だと思います。それこそ『ジョブ理論』内の事例として出てくる「朝のドライブ通勤の時間つぶし」に対して「ミルクシェイク」を提供できている状況はまさに理想的です『ジョブ理論』でのミルクシェイクは、以下のような存在でした。

◯ジョブ(一貫性の原点):(朝のドライブ通勤で)時間をつぶしたい
◯解決方法:ミルクシェイク
◯提供している価値:飲み終えるまでに時間がかかる、手がベトベトしない、お腹が満たされすぎず眠くならない等

『ジョブ理論』(ハーパーコリンズ・ジャパン、2017年)より要約

「時間をつぶしたい」という具体的な"ジョブ"(=ユーザーニーズ)に対して、ミルクシェイクは「時間がかかる」「べとつかない」などの複数機能を提供しています。逆にこれら機能が一貫していないということは、ユーザーニーズに対して機能が向いている解決の方向性がちぐはぐになっているということを意味しています。例えば、上記ミルクシェイクに「更に眠くならないようにカフェインを増量した結果、味がイマイチになってそもそも飲みたいと思えなくなった」などがあれば本末転倒です。機能をいくら増やしたとしても、それらが一貫していなければ意味がなくなってしまいます。

条件2:ワンアクションで複数価値を提供

4つの条件のうち、これが一番大事だと思います。この条件の肝は、複数の価値がワンアクションに集約されていることです。ワンアクションとは、ミルクシェイクで言うところの”手にとって飲む”という動作のことです。ミルクシェイクの秀逸なところは「飲み終えるまでに時間がかかる」「べとつかない」「眠くならない」といったユーザーが感じられる価値がすべて、”手にとって飲む”というただひとつの動作に集約されて体感できるようになっているところです。

新しいサービスに対して、ユーザーはほんの少しの時間を割いて既存サービスと比較しながら利用してくれるだけにすぎません。これは早期に利用してくれるアーリーアダプター層でも共通です。そのため、そのサービスの魅力が短時間で伝わらなければ「既存サービスのほうが良い」という結論にいたり、その後の利用やクチコミには繋がりません。特にスタートアップはサービスの良さを伝えるための広告費用が潤沢でないことも多いからこそ、新しいサービスの価値が短時間で存分に伝わるように、”ワンアクション”で集約された価値提供を目指した方が成功率は上がると思います。

(書き終わってから気づいたのですが、条件2は『ジョブ理論』でいうところのリトルハイアと同じ概念ですね。やはり名著は名著。。。)

条件3:ひとつの価値に集中して開発着手

ここからは少ない予算でどう開発を進めていくかという優先順位の話です。ひとつのニーズ・ひとつのアクションに対して一貫した複数の価値を最初から100%の状態でユーザーに提供できれば理想的です。ですが現実はそんなに甘くなく、たいていは開発費が足りなくなると思います。

新規サービスを全体像から捉えて、価値や機能を言語化していくとこんな構造になっていくかと思います。

  • コンセプト(価値の一貫性)

    • 価値A

      • 必要機能a

      • 必要機能b

      • 必要機能c

    • 価値B

      • 必要機能d

      • 必要機能e

      • 必要機能f

    • 価値C

      • 必要機能g

      • 必要機能h

      • 必要機能i

この中から何かを削る必要が出てくるのですが、このときに開発予算を中途半端に等分するべきではありません。ユーザーも短時間の利用で、あなたが開発した新規サービスの利便性を見定めてくるため、「既存サービスより全部だめ」という状態は避けなくてはなりません。「この機能はすごく便利だけど、まだ未発達。」という状態を目指すべきです。例えば、3つの価値が軸になる(or という予定の仮設がある)サービスであれば、極論以下のような完成度の比率でも良いと思います。

  • 価値A:80%(機能cだけ不十分)

  • 価値B:20%(機能dだけ完成)

  • 価値C:0%(どれも未着手,未完成)

条件1,条件2と矛盾しているようにも思いますが、上記のような状態でも、ニーズ(="ジョブ")に対して切実に困っているユーザーに正しく届けば、利用してくれるはずです。とにかく、まずはひとつの価値を集中して完成度を上げることを目指して、その後に余力で何が出来るかを考えましょう。

条件4:少ない価値でも応えてくれる狭いユーザー・発展性

前項でひとつの価値に集中する必要があると言いつつも、集中の結果ユーザーが利用してくれなければ意味がありません。価値A,B,Cの掛け算で一気に盛り上がるサービスだとしても、3つの価値から1つベースとなる価値を見定めましょう。判断軸は2つです。ひとつは”ニーズの根深さ”、もう一方は”発展性”です。*開発しやすさは二の次です。

”ニーズの根深さ”は言わずもがなですが、どれだけユーザーが困っているかの度合いです。その度合いに応じて、未完成の状態でも共感して熱狂してくれる可能性が高まります。

もう一方の”発展性”とは、次のステージを見据えた効率性だと捉えてください。「まず目先で開発した機能郡」に「次のフェーズで開発予定の機能郡」を掛け算するとして「PMFというゴールに一番近そうなスタートはどこか?」という視点での判断軸になります。どこから着手し始めても結局開発する機能は一緒だから一見すると特に変わりはないように感じます。ですが実際は開発した機能に対してユーザーの熱量がついてきて、それらが次のフェーズにも引き継がれていくことになるため、ユーザーからのサービスの見え方や熱量の高まり方は順番によって異なるはずです。

*ユーザーヒアリングはしましょう

これら4つの条件が大事だと考えているのが私見ですが、その条件が活きてくるのはユーザーヒアリングを通して、価値に対する仮設を検証し続けるという大前提があってこそです。ヒアリングの手法やその質問方法の作り方などのノウハウはたくさんあると思うので、まずはやってみてそこからドンドン改善を重ねていくのが良いと思います。

個人的な所感では、ユーザーヒアリングは質問項目の準備が一番大変で、ヒアリング対象者を集める部分はなんとかなります。目的に沿った質問項目を作り上げることさえできれば、ニーズの把握・条件1,2の仮設検証をしていきましょう。そしてヒアリング結果をもとに再び質問項目を練り直すことの繰り返しです。聞きたいことがなくなるまでユーザーヒアリングし続けると、サービス開発に対しても自信がつくので徹底的にやることをおすすめします。

これらを念頭に開発をした結果、nicodyがあります。

これら条件を踏まえて、私が代表の中山と二人三脚で開発してきたサービスが旅行計画アプリの「nicody」です。

nicodyのスクリーンショット

まだまだPMFしたとは言えない状況ですが、想定を遥かに超えるダウンロード数とリテンション率で絶賛成長中です。2021年の11月には1万ダウンロードを突破しました。もう少し時間がかかると思ったところで急に突破したため、嬉しさと同時に衝撃も大きかったです。PMFの定義とされている”もっと凄い急激な引き”も近い将来来ると信じて粛々と開発を続けています。

本格的に採用を始めています!

そんなnicodyを率いる(株)結.JAPANですが、絶賛採用中です。
◆ iOSエンジニア(Swift)
◆ WEBエンジニア(React)
◆ マーケター,グロースハッカー
を中心に、あらゆる職種で採用していきたいと考えています。ぜひ一度カジュアルに面談しませんか?代表中山のSNSまでDMお待ちしています!

▼弊社代表 中山のSNSリンク
◯ツイッター
https://twitter.com/makuri_94
◯facebookメッセンジャー
https://m.me/makuri.nakayama

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今までアプリ開発もPMも全くやったことのなかった私が、ここまでアプリをブレずにマネジメントできているのは、上記指針に加えて代表の採用力と優秀なエンジニアのおかげと言っても過言ではありません。ぜひ他のメンバーの記事も読んでみて、少しでも弊社に興味を持っていただけますと幸いです。そしてあわよくば、弊社へご連絡お待ちしております!!

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