深水晧三

日本補綴学会専門医、指導医。総義歯臨床では50年のキャリアと日本一の症例数を誇り、研修…

深水晧三

日本補綴学会専門医、指導医。総義歯臨床では50年のキャリアと日本一の症例数を誇り、研修指導も多数。 30歳若返る総義歯を実現中。日本大学歯学部専任講師、PhD Prosthodontist スタディグループPTDC主催

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歯科医師の『技術』は『トーク力』か?

大学で学生に教えることと臨床は全く違います。泳ぎを教えても泳げるようにはならないのと同様ですね。総義歯治療も、教科書で学んだことと患者さんでは何一つ共通点がなく、途方に暮れることもあります。 典型的な歯牙の形態が分かっていても、歯列の中の1本、臨在歯や対合歯で形態の変化を起こしている場合もあります。❝経験❞が補ってくれるとは言え、どのくらいその❝経験❞を積む必要があるのか、歯科医師として50年のキャリアがあったとしても、総義歯の❝経験❞は自慢できるものではありません。プレパ

    • パイロットデンチャーシステムで医療をマネージメントする戦術と戦略

      殆どの歯科医は開業医ですから、医療人としての哲学と経営の両立は共通のジレンマです。私は大学で専門に総義歯を扱っておりましたので開業の際は『大学病院で行う治療を開業医でも同様に行う』ことを実行しました。  それは即ち、審査診断に時間をかけ、記録を取り、器具材料に出費を厭わず、最高級の技術を持った技工所とお付き合いをすることです。そんな時間と経費をかけた診療は現在も患者さんの望まれるものでありますし、全歯科医師の実行したい目標でもあります。しかし開業医は採算も考えねばなりません

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      • 総義歯治療の現状打破に立ちはだかる3つの壁

        ①知識の壁総義歯を作る上で重要な知識とは何でしょう....? 解剖学的知識?病理学的知識?生理学的知識?             どれも知らないよりは知ってるに越したことはありません。 一番知っておきたいことは『入れ歯の形』です。具体的に言うと、基準点です。何度も触れましたが、総義歯の顎堤粘膜の印象を採る際、咬合床を作る際、ゴシックアーチを作る際、すべてのステップで『ここだけは外せない』ポイント、すなわち基準点があります。                   基準点には代

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        • パイロットデンチャーシステムが結ぶ3つの点と点

          ①顧客満足度という点義歯作りはものつくりです。わが国は歴史的に世界に誇れるものつくりの国です。たくさんの企業が顧客満足度を高める努力を怠らず、恒常的に供給できる生産システムを構築しています。 高品質な製品の安定供給.......これは顧客満足度に反映し、ものつくりの企業においては経営の基本であり根幹でもあります。 翻って義歯つくりに顧客満足度や品質管理、などと云う考えはあるのでしょうか?「痛い・噛めない・話せない」義歯を作り続けて点数だけは保証され、装着後の調整に追われる

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          入れ歯作りはものつくりの歴史

          医療が一般的になったのはごく最近のことです。歯科治療など、床屋の延長だと思われていましたし、歯を作るなどの素材が開発されたのも戦後です。 ただ、日本には16世紀には『入れ歯師』という職業が記録されています。江戸時代には本居宣長の家に『入れ歯師』を呼んだと記されていますので、今で言う訪問診療でしょうか。日本人は柘植の木を削って作られ、噛んだ跡も残っているので、きちんと機能できた義歯でした。ジョージ・ワシントンも歯がなかったらしいのですが、遺骨を見ると明らかに変形していて入れ歯

          入れ歯作りはものつくりの歴史

          何が総義歯を難しくしているのだろう

          パイロットデンチャーシステムは、簡単に言うと ①仮義歯(パイロットデンチャー)を作成 ②粘膜面の調整 ③調整が済んだパイロットデンチャーを正確にコピーして完成 と言う3つのステップで成り立っています。ですから①の義歯が多少アバウトでもそれなりに調整すればファイナル義歯に移行出来ると考えている先生も大勢いらっしゃることでしょう。 然るに、患者さんが初めて自分の診療室に足を運んだ日を思い返していただきたい。パイロットデンチャーをセットする前、旧義歯を使っている時点での状

          何が総義歯を難しくしているのだろう

          パイロットデンチャーシステムと普通の義歯の差とは?3つの視点からの考察

          その①患者さんからの視点患者さんから見て、義歯(入れ歯)の違いって何でしょう.....? 咬めるか咬めないか、白いか黄色いか、金属があるかないか.....その程度でしょう。究極の成果主義、結果オーライの世界です。 患者さんは『早い』『安い』『上手い』を望んでいます。大きくも小さくもなく、高くも低くもない、それでいて噛んでもお財布にも痛くない、究極の入れ歯を望んでいます。 何だか分からないけど、患者が咬めると言うから良い義歯なんだろう、は、科学でも何でもありません。 な

          パイロットデンチャーシステムと普通の義歯の差とは?3つの視点からの考察

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作る理由5)

          何度も出てくる『パイロットデンチャーシステムで義歯を作る』って、いったい何なの?とお感じのことと思います。まず普通は義歯(入れ歯)を使ったことがある方が少ないことでしょう。 一般的な歯の治療と同じく、義歯(入れ歯)作りにも正しい順番があります。①型取り ②咬み合わせチェック ③完成 ④調整 ステップは4段階しかありませんが、それぞれそれはもう難儀な技です。細かいことや技術的なことは、追い追い歯科医師向けに何かしら語れる機会があれば良いなと考えております。これは患者さんも読

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作る理由5)

          それでも私がパイロットデンチャーで義歯を作り続ける理由4)

          総義歯(総入れ歯)の患者さんは当然、ご高齢の方が多く、何軒も歯医者を転々としていたり、望まない治療を経験していたりいろいろな方がいらっしゃいます。笑顔で来院して下さっていても、心の奥底では私のことを信用していないのがひしひしと伝わってくる患者さんも少なくありません。どうせ痛くされるに決まっている、と例えるならマイナス1000点からのスタートです。大学病院で100点満点を極めた私でも(そう評されただけで私自身はそんな風に思ったことはありませんが)初めから無条件に信頼されることな

          それでも私がパイロットデンチャーで義歯を作り続ける理由4)

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由3)

          私が大学院生のころは1970年代後半~80年代でした。世の中自体がダイナミックに変化し成長していたころで、学説も新薬も新素材も百花繚乱、実験的なテクニックも試すことができ、毎日忙しく楽しく懐かしい日々です。 当時、大学病院で一緒に頑張っていた仲間たちは、それぞれ開業しながらもしょっちゅう集まっては情報交換したものです。その延長で自主的に勉強会(スタディ・グループ)を作り、研修生を集めて講演したり学会発表したり、本を出版したりしました。片足は開業医ですが、もう片方は大学で教え

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由3)

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由2)

          総義歯(総入れ歯)を作るのはなかなかの職人技です。あまたの大学教授や大御所歯科医師が独自の奥義を披露する、一子相伝の体を奏しています。要は、教授といえども「俺の背中を見て覚えろ」の世界なのです。 普通に臨床で仕事を3年も続ければ、大体の歯科医師は80点の仕事がこなせるようになります。そして独立開業し、そこそこ収入を得て、そこそこ患者の信頼を得て、そこそこ良い車を買ったりするころ、開業したての頃に治療した患者さんが「先生が治したとこ壊れたよ~」と舞い戻ってくるのです。それから

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由2)

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由1)

          義歯(入れ歯)作りは本当に奥の深い作業です。患者さんは義歯を使ってらっしゃる時点で何年も歯医者に通い続けています。 歯医者より歯医者歴が長い方が大勢いるのです。 私は10年以上もの間、大学病院で学生に教えたり研修医の指導に当たったり、もちろん、患者さんの治療にも全身全霊を傾けておりました。 自慢するわけではありませんが大学病院では教授より腕が良いと言われることもあり、自分なりに評価されて手ごたえも感じていたのは事実です。それはお世辞だと分かっていましたよ。腕が良いと言わ

          私がパイロットデンチャーシステムで義歯を作り続ける理由1)

          義歯作り50年の深水晧三です。義歯は体の一部です。名人と言われています。

          昔、患者さんに言われた言葉でとても印象に残った言葉がありました。 その患者さんは全く歯がなく、何個も義歯(総入れ歯)を作っては捨て作っては捨てを繰り返していました。曰く「私は何軒も歯医者に通ったの。口に手が触れただけで上手な歯医者か下手な歯医者か分かるの。」歯の治療は義歯に限らず、口を触らないではできません。果たして私のことを信用して治療させてもらえるのだろうか、としばらく悩んだものです。 昔は医者も歯医者も先生様と呼ばれ、患者さんは無条件で治療を受け入れざるを得ませんで

          義歯作り50年の深水晧三です。義歯は体の一部です。名人と言われています。

          パイロットデンチャーシステムで義歯を作る3つのメリット

          なぜ、義歯(入れ歯)が敬遠されるのでしょう。 患者さんにとっては❝異物❞でしかないからです。 歯科医にとっても❝不採算部門❞と言わざるを得ません。 患者さんにも歯科医にもハッピーな義歯ってないものなのでしょうか? あります!それがパイロットデンチャーシステムです。 どんなメリットがあるのでしょうか? 1⃣パイロットデンチャーシステムは痛くないパイロットデンチャーシステムで義歯を作ると言うことは、それまで受けてきた歯科治療を一旦リセットし、噛む機能をリハビリするとこ

          パイロットデンチャーシステムで義歯を作る3つのメリット

          パイロットデンチャーってご存じですか?

          パイロットデンチャーとは、義歯(入れ歯)を作る際に、いきなり作り始めるのではなく、粘膜や歯茎のリハビリを目的としたものです。入れ歯の形をしていますがリハビリのための装置だとお考え下さい。 入れ歯は痛くて当たり前?最近は、抜かない、削らない、痛くない先生が良い歯科医の条件だと言われます。ただ、義歯(入れ歯)をお使いの患者さんは既に『抜かれ』『削られ』た状態なのです。 きのう『抜かれ』たのでしょうか? おととい『削られ』たのでしょうか?  違いますよね。           

          パイロットデンチャーってご存じですか?

          義歯(入れ歯)は体の一部です。 何を当たり前な...と思われることでしょう。義歯(入れ歯)作りは奥が深いのです。

          義歯(入れ歯)は体の一部です。 何を当たり前な...と思われることでしょう。義歯(入れ歯)作りは奥が深いのです。