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パイロットデンチャーシステムで医療をマネージメントする戦術と戦略

殆どの歯科医は開業医ですから、医療人としての哲学と経営の両立は共通のジレンマです。私は大学で専門に総義歯を扱っておりましたので開業の際は『大学病院で行う治療を開業医でも同様に行う』ことを実行しました。

 それは即ち、審査診断に時間をかけ、記録を取り、器具材料に出費を厭わず、最高級の技術を持った技工所とお付き合いをすることです。そんな時間と経費をかけた診療は現在も患者さんの望まれるものでありますし、全歯科医師の実行したい目標でもあります。しかし開業医は採算も考えねばなりません。開業当時は日本経済にも多少元気があったので、こだわりの診療を理解して下さる患者さんに恵まれ、スタートアップが順調だったことには感謝しております。

パイロットデンチャーのルーツ

開業して数年後、ある先輩からパイロットデンチャーの原型となる総義歯つくりの概念を教わりました。

30年ほど前でした。ある技工所さんから紹介された『桜井式無痛デンチャー』という手法がスタートだったと記憶します。

この『桜井式』で

①規格模型の概念 

②ティッシュコンディショニングでの粘膜調整 

③フラットテーブルで咬合の安定化、を学びなおしたのです。

この3つはパイロットデンチャーの原型です。大学で90点を極めた『普通』の義歯作成方法が95点にアップするきっかけになりました。最終義歯を作る前に、必要な調整を済ませれば本義歯の調整は必要なくなる、当たり前と言えば当たり前です。術者の押し付けではない患者さんに寄り添った作成方法です。

歯科医師にとって総義歯は『商品』のひとつです。何度も申し上げてしつこいようですが「商品の品質安定供給」は仕事の最上級課題です。

患者さんには保険でも噛めて違和感ない入れ歯を作ってくれれば別に特別なものなんか要らない、と思われています。先生方はいつも患者さんに満足していただけるだけの技術を発揮していますか?遍く千態万状の無歯顎に試行錯誤を繰り返して時間を浪費してやいませんか?

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何故、有料記事なのか

評価が難しい「技術」とか「満足度」に「費用」「保険点数」と言うナイーブな話をしなければなりません。患者さんの写真や、模型など、知らないで読み進めた方に誤解を与えては申し訳なく、伝えたいことが伝わらなくなるかもしれないため、以下からは有料記事でお伝えしたいと思います。

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