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『PUBLIC HACK』を読んで

最近、学芸出版社の本をよく読む。

この出版社からは様々な視点に立った「まちづくり」に関する本が多く出ているからだ。

なぜ、まちづくりに関する本を読むか

僕は「山を走る(トレイルランニング)」ことを通じて、スポーツの普及啓発や次世代の育成をし、ライフスタイルや文化としてスポーツが定着し、多くの人々にとって生活の一部になることを目指している。

その為に、各地でトレイルランニング大会を開催し、大会を通じて山を走る楽しさや気をつけるべきことを伝え続けている。

こうした大会を開催する際に大切になるのは地域に受け入れてもらうこと、理解してもらうこと、そして応援してもらうことだ。

僕はいずれの場所でもそのフィールドをお借りする以上、その地域の方に喜んでいただきたいので地域振興を重要視する。

その為には「まちづくり」の視点が大切になる。

PUBLIC HACKは公共空間の利用法について考え、提言をしてくれる。

この本を読もうと思ったきっかけは「公共空間」の利用方法について考え、それについて実践しているから。

著者自身が実体験をもとにどういったことをするとNGで、どのように気をつければ公共空間を楽しめるか?という物差しを示してくれる。

この考え方はトレイルランニングの大会を行う上でとても参考になる。

トレイルは私有地と公有地が入り組んでおり、地権者が定かでなかったり境界線がわからなかったり曖昧なことがとても多い。

だから、物差しが曖昧になる。

例えば行政と交渉するとき、こちらがきちんとしたガイドラインと対策を立てて話を持っていけば、交渉はスムーズになる。

よく分からないものは物差しがないので判断に困る。そうすると、良い回答を得るのは難しい。そこで、どのように判断するか?どのような考え方をすれば道筋が開けるか?その考え方のヒントになる。

その意味でこの本は本書のテーマである私的に町を使いたい人だけでなく、まちづくりを推進する人やイベント主催者も大いに参考にすべきだと思う。

実現を左右するのは、法律よりも周囲の理解

僕の立場からはチャプター3で触れられている部分がいつも悩んでいることなのでとても参考になった。このチャプターだけでもこの本を読む意義はあると思う。

以下、チャプター3「実現を左右するのは、法律よりも周囲の理解」(P.104)より引用

こうした状況を考えると、私たちは、法律よりもむしろ通報されないことに気を回す必要があると言えます。まちでいろいろな行為をやり始めた当初は、どれだけ周りの人が肯定的に受け止めてくれたとしても、法律を犯してしまっていては規制の対象になると思っていたのですが、実際はその逆で、法律の問題以上に周りの人の目(=通報)が行為の継続性に効いてくるということがわかってきました。

トレイルランニングの大会に当てはめると、地権者に了承を得て大会を開催するのだけど、コースマーキングをしていると、勝手に撤去されてしまうことがある。とても悲しいし、谷に捨てられたマーキングを見ると腹立たしい。現場を抑えて揉めることになっても根本解決にはならないだろう。

俺の山、俺の道という考え方の人が一定数いて、それはゼロにはできない。だから、揉めないように、また粛々とマーキングをする。僕のイベントに関して言えば、当日朝マーキングを確認し補強して回るのは、いろんな事態に対応するためだ(本当は強風で飛ばされていないかとか雨で消えたりしてないかなのだけど)。

もう1つ大切なこと

何事においても大切なものの考え方に触れられているのでもう1つ引用させていただく。

以下、チャプター3「「私」と「私以外の誰か」の両方を意識する」より(P.113)引用

当たり前ですが、公共空間は私有地ではありません。公共空間はみんなのものです。でも、この「みんな」の中には「私」が含まれておらず、むしろ「私以外」を指している場合が多いのです。そのため、「公共空間はみんなのもの」だから「勝手に使ってはいけない」と考えてしまいがちなのです。

中略

まず、私の場所なので、私が自由に使っていい、と同時に、私以外の誰かの場所でもあるので、その誰かが自由に使えるための配慮をする必要がある。つまり、公共空間を自由に使う時に意識しないといけないのは「独り占め」であって「勝手に使う」こと自体は何も悪いことではありません。

我がことに当て嵌めるならば、この考え方に基づいて振る舞えば、どんなアクティビティ同士も共存できるし、ルールやマナーを声高に叫ばずともすむと思っている。

常々思っていることをこうして具体的な事例とともに明示しているこの本はおすすめなので是非読んでみてください。

そして僕は、公共空間に限らずとも思いやりは想像力を自然と働かすことのできる人でありたい。


今後の予定 *いずれもエントリー受付中!

12/1(火)~開催中 Happy Holiday Run Online Challenge
*1月スタート分のエントリー受付中!
1/31(日)ジュニアトレイルラン横須賀田浦大会
*未就学、小学1〜3年生の部は定員締め切り済みです。
4/14(日)第6回KANAGAWA Jr TRAILRUN in 逗子・神武寺


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2017-04-28 18.07.02 のコピー



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