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『セルフ・コンパッション  ―あるがままの自分を受け入れる―』

『セルフ・コンパッション ――あるがままの自分を受け入れる』 は、テキサス大学オースティン校で教育心理学の准教授を務めているクリスティーン・ネフの著書。
セルフ・コンパッションとは“自分への思いやり”を意味する言葉ですが、彼女はこの研究における世界有数の専門家として位置づけられています。

おもしろかったので、内容をまとめてみました。
自分自身を見つめ直すためにも、忘れた頃に読み返して日々の生活に取り入れていきたいと思っています。

1.セルフ・コンパッションの役割

セルフ・コンパッションとは「自分自身への思いやり」です。
これは自己に対する甘やかしや、身勝手さを美化したものでは決してありません。
自身の健康をより良好な状態へ保つための、一つの方法となります。

自分自身を肯定するあまり陥る「不安」「悩み」「後悔」

多くの人は他人と比較して、常に賢く、魅力的で、成功している自分を欲求する傾向にあります。
こちらの項目に当てはまらずとも、人より何か特別に秀でている私という自
己評価
を意識してはいないでしょうか。


何か一つでも人より秀でたいと思うのは……、社会を生きていく上で自分自身を守ってくれる考え方の一つだと私も思います。

人よりも秀でたい、何か勝てるものが欲しいと願うのは人として自然な考え方ですよね。


しかしあまりにも自己肯定感を追及しすぎてしまうのは、大変危険な行為となります。
なぜなら自分が望む評価を得られなかった時、自分で自分自身に敗者という自己判断をくだす可能性があるからです。

【例】
人からすてきな体型だと思われたい
↓↓
ダイエットや筋トレに励む
↓↓
全く結果が得られず失敗
↓↓
自分はダメだと自己判断をくだしてしまう

私達は、常に特別で平均以上の存在にはなれません。
“自己肯定感を得ようとする考え”は、自分自身を追い詰め自信の喪失やうつにつながると著者は述べています。

この人生を生きにくくさせる人間心理に対抗するため、セルフ・コンパッションは効果を発揮してくれるのです。

2.セルフ・コンパッションに必要な鍛え方

ではセルフ・コンパッションを手に入れるため、具体的に何が必要でどのようなやり方をすればいいのでしょうか。
著者は3つの具体的な方法を述べていますが、ここではそのうちの2つを紹介したいと思います。

①“自分自身に対する優しさへの道”について考えてみる

多くの人は過ちや失敗をした時、自分自身の不十分さを責め自己嫌悪に陥ったり、自身に対して強い怒りを抱いたりします。

しかし、この瞬間に最も必要なのは自分を責める行動ではありません。
自分の痛みを知り、何が必要なのかを確かめ自分自身に共感することです。

私達は落ち込んだ時、良い展開を望んだり他者からの慰めを期待したりしてしまいます。
しかし「今」直面している痛みや恐怖を一番知っているのは自分自身。

“私が私に優しさを提供する”それが問題解決への一番の近道となるのです。


言葉にすれば簡単に聞こえますが、長年自分自身にしみこんでいる思考習慣を見つめ直し変えるのはとても難しいですよね……。

こちらの本はそれを踏まえ、普段の生活の中に取り入れる思考のエクササイズ(鍛え方)をいくつか紹介しています。

興味のある方はぜひ本書を読んでみてくださいね。


②マインドフルネスについて

セルフ・コンパッションを手に入れるための具体的な方法の2つ目として、マインドフルネスを紹介します。
マインドフルネスとは仏教の瞑想から由来しているものです。

マインドフルネス瞑想は約3000年の歴史があるもの。
アメリカでは2000年代に入りマインドフルネス瞑想が注目されるようになりました。
心理的な健康や、良好な人間関係など生活全般の向上に効果があると実証されています

マインドフルネスとは、自分が「今」何をしているのか、特定の意識や感情に注目することです。

たとえば怒りや恐怖の感情を感じた時、その激情の中で我を忘れた経験はないでしょうか。
そうなってしまうと感情に乗っ取られ、現実を歪曲してとらえてしまう可能性が高くなってしまいます。

そうならないためマインドフルネスを利用するのです。
「今」自分自身に何が起きているのか、「今」自分の痛みはどのようなものなのか。
感情に流されるのではなく、一度リセットボタンを押すように、自分自身を正確にとらえ見つめ直す。
それがとても大切となります。

セルフ・コンパッションをより早く身に付けるためにも、ぜひマインドフルネスを生活の中に取り入れてみましょう。

3.より生きやすくなるために

人生は時に失敗をし、悩み、不安に押しつぶされ、大変な困難を伴う場合があります。

現実を変えられないのと一緒で、苦悩や困難な出来事を回避するのは不可能です。
ところが苦しみの緩和は自分自身の選択にかかっている、と著者は言います。

歪みのない現実を受け入れ苦痛と向き合い、自分の痛みに慈悲を向ける。
それこそが生きやすくなるために必要な行動となるのです。

『セルフ・コンパッション ――あるがままの自分を受け入れる』は長年の心理学研究と、数々の実験の効果によって実証されている実用書。

自分自身を変えるのはとても困難ですよね。

しかし、もしあなたが本気で自分の日常(ビジネス・恋愛・子育てなど)に変化を求め、生活を向上させたいのであれば、こちらの本はより生きやすくなるための一つのヒントになるかもしれませんよ。



 


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