【夜空の下のティーパーティー】

 流れ星に願い事を、君達には幸せを。
 冥福の皆には絆を 恋しき思う君には思いを捧げよう。 
 神には祈りを   ティーパーティーには君たちを呼ぼう?



 夜空、だ。遠く遠く広がる空には、黒のヴェールを靡かせたようにたおやかな空が広がっている。その中に銀色に光る金平糖…ではなく星がチラチラと輝いている。今にも降ってきそうな星達は時折鏡のように反射して、神々しい。

 そんなことを考えながら自分の胸元の星を見つめる。煌きが反射して、綺麗だ。…ただ空の星とは違って金色だけど。紅茶の香りに酔った頭で考えると神秘的なこと考えちゃうな。そんなことをボーッと思っていると頭上から声が降ってきた。

「…アラメイ?」

 淡々とした冷ややかな声は顔を上げるまでも無く分かる。だけど一応顔を上げて応答は取っておく。まず黒い空をバックに白い肌がかなり目立っている。それが何だかボヤけて見える。夜風が頬に気持ち良い。不意にあの印象的な紫の瞳が細くなった。

「…何でしょう?」

「幽体離脱中呼び戻して悪いね。」

 謝っているのに感情がこもっていない声、そして幽体離脱、出来るはずが無いでしょう。という言葉を何とか飲み込んで、何とかその顔を見つめ返す。他者から見たら目は潤んで見えることも承知の上。
 その光景をニコニコと楽しそうに眺めていたクンパはティーカップを右手に軽く握り、その口を開いた。

「おやおや?もしかしてアラメイさん酔ってます?」

 「え、嘘。」と戸惑ったような戸惑ってないような声が耳元で聞こえる。ボンヤリとした視界がやけに鮮明だ。突如「にゃはは。」と楽しげな笑い声に顔を上げる。その先、自分の前方からはトロン、とした瞳が見える。垂れ目で、背中には翼が生えていて神秘的。そしてパンク系の服を着たプリミティブトビネだ。

「あぁ、ブランデー入りの紅茶とちゃう?それなら俺も飲んでしもうたやも♪」

「あv本当ですね。このティーカップ、お酒の香りしますしv」

 三人呼んで二人酔う。&未成年。こんな展開になるとは主催者も思わなかっただろう。当の本人は「えー?」と、首を傾げてアラメイと麗依を交互に見ている。この人には戸惑うという感情が無いのか、というほどの無表情。

「…どーしよ。アラメイ?見える?」

 目の前で手が振られているのをボンヤリと眺めると、アラメイはコックリと頷き、そのまま石化したように固まった。

「駄目そうですねv」

「駄目そうだね。」

 見事にはもった意見に、誰もが同意したことだろう。うたた寝でもしそうな体制のまま固まり、そして突如何を思ったかガバッ、と起き上がった。その光景を見ていたか、見ていないでか、麗依は「はははは!」と突如笑い出した。

「こうなったらもう宴会や!酒!酒飲むで!あ~空に雪が見えるぅ!」

 春の雪。ありえない。完全に回っちゃってる。顔が火照っているのを知っているか知っていないか、ニコニコと笑い出し麗依は欠伸をして、トロンとした瞳で面々を見回した。

「おやあ?回っちゃってますねv」

「宴会やー!宴やで宴~!!」

「アラメイ?見える?聞こえる?とりあえず起きよう?」

「…は………い。」

 一人半分睡眠、一人高テンション、一人無表情、一人爽やか笑顔。

「…と、いうかティーパーティーだよね。これ。」

「未成年はお酒は駄目ですよv」

「…zzzz」

「ほな飲もうで!な!!」

 突如ティーパーティーから宴会に変わる。誰もがそう思った瞬間だった。ふいっ、とフェイアントが視線を逸らして、真っ暗な空を見上げた。満天の星、その中で流れ落ちるように銀色の光が落ちてくる。流星群。見事なほどにも神々しい。

「おや、流れ星ですねv」

「え!ほな願い事せなあかんやん!」

「アラメイ、流れ星。」

「…ん…」

 四人の視線が空に集まった。流星群といったほうが正しいのだろう。零れ落ちてくるように反射して、落ちて。

「綺麗…ですね。」

 夜空の下のティーパーティー。暗い所で何かをするのもなかなか良いように思えてくる。

「また皆で集まれますよーに。」


 ボソッとつぶやくと「ですねv」「…はい。」「せやな!」と、いろんな方向から声が返ってきた。


貴方も夜空の下にいますと招待状を貰えたりね?

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