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★キスしていい?★

キスしていい?

、、、、こんなんじゃダメだ。僕はずっとこうだ。いつもいつも保険ばかりかけて生きている。
今日こそは!夜景のキレイな場所。観覧車の頂上。二人だけの空間。条件は整った!!
さぁ観覧車に乗り込むぞ。



どうしても失敗した時の事を考えてしまう。だから失敗した時、できるだけ傷が浅くすむ方法ばかり考えてしまう。
今の彼女に告白した時もそう。
「もし俺が付き合ってって言ったらどうする?」
今思えばこんなダサい台詞はないや。

万が一フラれた時「いやそうだよね。まぁ例え話だから」って逃げ道を作ってる。
もうこんな自分とはおさらばだ。今日は彼女と三回目のデート。今日こそは黙って男らしくクチビルを奪うぞ。



観覧車の順番が刻々とまわってくる。
大丈夫。さっきトイレで歯みがきはした。今日の為にプラザで買ったちょっと高めのリップも塗った。でももうクチビルはカサカサ。今さらもう塗れない。順番がきた!

動き出してすぐ。彼女を背中にして夜景を見る。正確には夜景を見るフリをして、窓に反射して映る彼女を見ている。次彼女の方を見た時がGOサインだ。
だんだん足が震えてくる。気付かれてないよな?観覧車が揺れてるだけだよな?ダメだダメだ!また言い訳の逃げ道を作ってる。

「まもなく頂上です」
アナウンスが流れる。よし今だ!いくぞ!!
、、、、ダメだ。彼女の顔を見るとできない。あんなにシュミレーションしたのに。頭の中の真っ白な吹き出しに「キスしていい?」が駆け巡ってる。今日はこんな自分とはおさらばする日だ!
その時、、


チュッ


ん?なんで?えっ彼女の方から?

「な、なんで?」

「いやキスしたいって顔してたから」

「えっ!?」

「さっきから顔に書いてるよ」

「もうっ!!」

僕はそう言って彼女の頭に手をやり2回目のキスをした。



END

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