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目標設定と付加価値

先日、ある企業様で社員の目標に関して話題になりました。期初に目標設定し、期末に目標達成度合いを評価する、いわゆる目標管理と言われる目標マネジメント(最近はOKRなどと言われることもあるが、本質は同じ)を行っています。

同社様では、各社員の期待役割に相応の、達成するべき期待値の目標を期毎に設定しています。その通りの成果創出なら3点、期待を超えていれば4点、5点のような評価を期末にしています。例えば、売上目標〇円なら3点、〇円×110%以上なら4点、〇円×120%以上なら5点などのイメージです。

ある部署の社員の目標設定が難しく、悩んでいるということでした。営業部門などのように仕事の成果が定量的に表しやすい部署ではなく、メンテナンスなどを役割とする部署です。「3点相当の、達成するべき期待値の目標は設定できるが、4点や5点などに相当する期待を超える到達レベルの目標が設定しづらい。」という話が出ました。何がどうなっていたら4点や5点と言えるのか、設定のしようがないというわけです。

目標管理制度を導入している組織で、間接部門の目標設定がしづらいという話を時々聞きます。営業部門のように「目標売上」といった、目標としてわかりやすい、数値も明確になりやすい仕事に比べ、総務や経理、営業サポートなどの仕事の目標設定はどうしてもやりにくいわけです。

同社員の目標設定が、次のようなイメージで検討されていました。何がどうなっていたら「きれい」と言えるのか測るのが難しく、また○○が設置されているのも社外で膨大な場所に点在しているため、確認が困難だという話でした。

4点:○○の設置をきれいに維持する
3点:○○の設置を維持する

私からまず問いかけてみたのは、「きれいにすることに価値があるのか」ということです。回答は、「○○が確実に維持できていればそれでよい、お客様の目に触れることもないため、きれいかどうかは直接価値を生まない」でした。

これでは、きれいであることに意味はありません。

評価を何のために行うのでしょうか。私は大きく3つだと説明しています。「業務・事業の推進」「人材の育成」「適切な処遇」を実現させるためです。業務・事業の推進とは付加価値の創造を促すことです。お客様に一層喜ばれること、成果が高まる仕事の推進です。

「社員間で差をつけること」を評価の目的としていたり、「適切な処遇」だけを目的にしたりすると、本質的でない「評価のための目標設定」になってしまします。その目標設定が付加価値を生むのかを確認するとよいでしょう。

上記のように定量的な目標設定がしにくい性質の役割・部署の仕事であっても、目標設定の方向性として大きく2つあると言えます。

・同じことをより少ない時間で行う(早く完了する)
・同じことをより安い方法で行う

例えば、重要な研究開発の結果が1年後にまとまるのか、6か月後にまとまるのかの違いは会社にとって重要です。同じ研究開発でも形になるのが早ければ早いほど、商品・サービスを市場に早く投入することができます。早い分買い手に喜んでもらえますし、競合他社に対して優位に立てます。

まったく同じ成果物のアウトプットであっても、より安く実行できるようインプットや業務プロセスを見直せば、費用を削減できることになります。お客様に対する直接の付加価値は変わりませんが、会社に対して付加価値をもたらすことができます。費用が減った分、別の取り組みに予算をまわせるからです。

どんな種類の役割であっても、2年前、1年前とまったく同じ成果物・同じ業務プロセスを維持するだけでは、仕事としては不十分でしょう。社内外を取り巻く環境は常に変わり、前進しています。業務の現状維持では、社内外を取り巻く環境変化に対して退化していることになるからです。どんな仕事もなんらかの進歩が必要です。その進歩を促すことにつながる目標設定の視点が大切です。

<まとめ>
設定する業務目標は、そのことが付加価値を生むことになるかを考える。


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