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今年の人事で主要テーマになりそうなこと

先日、知人の主催で行われた「人事交流会」に参加する機会がありました。人事や人材育成に関する領域で仕事をしている、あるいは関心がある人が集まり、ざっくばらんに意見交換をする会でした。

同交流会で、今年の人事で主要テーマになりそうなことは何か、について話題になりました。その結果、主に以下の4つがあがった次第です。(上記の通りインフォ―マスな意見交換での結果ですので、何かの根拠に基づくものではありません。そのうえで、各社で垣間見ている実情を踏まえた結果でもあるため、ある程度的を射たものであるとは思います)

1.人材のプロフェッショナル化・個別化
キャリアをひとつのロールモデルに当てはめるのではなく、各人材各様のキャリアを個別に描く時代に本格突入していく。キーワードは「あなたは、何で貢献できるの?」。お客さまに会社に対して、どんな専門性や職務で価値を提供できるのかを明確にしていくことがますます必要になるという視点です。人事や部門のマネージャーとしては、そうした状態をつくりだしていくための仕組みづくりと取り組みが求められていくだろうという話になりました。

その中で、いわゆる「ジョブ型」といえども、専門領域での多能工が重宝されるだろうという意見がありました。イメージとしては、「ビルしか建てられない」「寺社仏閣の補修だけの専門」の建築家ではなく、「ビルも建てられて宮大工もできる」建築家です。

また、前回「マネジメント・経営を担うスーパージェネラリストが重宝されるのではないか」という内容を書きましたが、そうした人材はスーパージェネラリストというより「経営職というプロフェッショナル」と呼ぶほうが相応しいという意見がありました。そのうえで、経営職というプロフェッショナルを育成する仕組みが必要になるという視点です。確かにそうかもしれません。

2.自社で仕事をする意味の明確化
キャリアの主体者がますます会社(組織)から個人に移っていくことで、職能・スキルの会社依存度は下がっていきます。職能・スキルはますますポータブル(持ち運び可能)なものとなり、「どこでも仕事が可能だ」という人が増えていきます。そうした環境下では、「ここで働くのは○○だからだ」「ここで働くと○○が得られる」「ここでの仕事は○○の社会的意義がはっきりしている」といった、「他でも仕事ができるかもしれないが、ここでやりたい」と思わせる、自社で働く意味が重要になってきます。

最近「パーパス」という言葉がよく聞かれます。なぜ自社が存在するのか、存在意義のことです。意見交換会では、その会社独自のパーパスが明確にできていないと苦しい、これからますます選ばれにくくなるという意見があがりました。そして、人事は経営と一体となってこのパーパスの明確化に取り組む必要があるというわけです。

先日の投稿では、日立製作所が全社員ジョブ型雇用にするという話題について取り上げました。https://note.com/fujimotomasao/n/n2a8b5914247a(私は内情を直接は存じ上げず、恐縮ですが)聞くところによると、同社はジョブ型雇用に舵を切る一方で、あるいは舵を切るからこそ、パーパスの浸透に並々ならぬ取り組みをしているのだそうです。「何をしたい会社だからジョブ型雇用を取り入れたのか」を、力を入れて発信しているということです。ジョブ型雇用が進めば進むほど、パーパスの浸透を通した、メンバーシップを高めることにつながる組織的な取り組みは重要になりそうです。

3.メンタルヘルス問題への対応
メンタルヘルスのテーマに会社としてどのように向き合い、有効な対策を提示できるかが、今後さらに重要になるという意見があがりました。以前から出ているテーマではありますが、各社でますます重視されているようです。やはり、コロナ禍とそれに伴う業務の進め方の変化はストレスマネジメントの面でも社員に大きな影響を与えているという認識で、参加者が一致しました。今までは「なんとなくの対応」だったが、今後は「本気での対応」が求められる、という声もありました。

何がどのように自分のメンタルヘルスに影響を与えるかは、個人によって大きな違いがあり、さらに私生活の要素も絡みます。そのうえで、リモートワークが常態化する環境下では、個人の努力だけに期待するのは限界もあります。人事としても社員のサポートとなる横断的な対応が求められるということでしょう。

とりわけ、大手に比べて資金力が限られている中小企業では大きな課題となりそうです。例えば「事業場外資源によるケア」の一環で外部の専門機関と契約し、利害関係のない専門家組織に、社員のメンタルヘルスに関する的確な対応を依頼する方法もあります。あるいは、いろいろな企業で取り入れられているメンター制度にメンタルヘルス対応の要素を加え、的確な対応ができるよう全メンターに手厚い教育をするなども考えられるかもしれません。しかし、こうした施策が打てる資金力まではない中小企業も多いでしょう。

何をどこまで組織として対応できるかは、従来以上に、人事を中心としたマネジメントの課題になりそうです。

4.オンライン化への対応
コロナ禍を受けて、何をどこまでオンライン化するかは、すでに各社取り組まれていることです。その中で、オンラインとオフラインの切り分け・融合の自社なりのあり方は模索中で、このことに自社なりの解・結論を見出だしていくのが今年の大きなテーマになるのではないか、いう意見で参加者が一致しました。

これまで言われてきたことでもありますが、やはり「意識の共有」を実現するには対面の要素が残るでしょう。引き続きこのテーマに取り組む1年になりそうです。

以上、特に結論はありませんが、人事や人材マネジメントに関する主要テーマになりそうなことをまとめてみました。自社だけではなく他社も同じように悩んでいるのだという認識で、参考になりそうな事例の情報を求めていくこともよいのではないかと思います。

<まとめ>
自社で仕事をする意味の明確化がますます求められる。


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