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新入社員研修を通して感じた傾向(3)

前回までの投稿では、新入社員研修を通して感じた傾向について取り上げました。1.真面目である、2.長時間の座学に対する耐性が弱い、3.国語力が弱いの3つについて考えました。
今日もその続きです。
https://note.com/fujimotomasao/n/n03d961f61519
https://note.com/fujimotomasao/n/n2e5c0646b104

4.思考力・実行力で、二極化が顕著になっている
上記の「2.長時間の座学に対する耐性が弱い、3.国語力が弱い」などの特徴がありながらも、優秀な人材の超優秀化が進んでいる印象です。例えば、ある企業の新入社員Aさんは以下のような要素をすべて持ち合わせているイメージです。

・在学中の科目別成績ですべて上位〇%に入り、学業で評価されている。
・社会的に注目される○○コンテストでファイナリストとなり表彰された。
・在学中に事業を発案して取り組み一定の実績を残した(=起業経験有)。
・インターンシップで具体的に成果貢献し、入社する前から既に評価されている。
・新入社員研修プログラムの各テーマについて、関連書籍や情報収集を終えている。研修で出てくる言葉の定義を既にある程度知ったうえで、研修に参加している。

いつの時代も優秀層はいたわけですが、優秀層のスペックの中身が劇的に高まっている感じです。入社1年目だった時の私自身などと比べると、意識・思考力・実行力で雲泥の差です。近年、新卒でも年収1000万円超の提示、専門性に特化し極めてもらういわゆるジョブ型雇用の提示など、各社がいろいろなオファーに取り組んでいます。今後、優秀層の獲得競争はさらに激化するだろうと、新入社員研修を実施していて肌で感じました。

しかしながら、そうした層は全体の中の一部です。意識・思考力・実行力が学生時代に高まりきらなかった層も、以前同様存在しています。その意味では、入社後の人材育成への企業に対する期待が、従来以上に高まっていると言えるかもしれません。

5.同期間・会社と個人とのつながりに弱さが見られる
これまではあまり見られなかった景色を見る機会がありました。それは、同じ会社の新入社員(同期入社)同士でも、オンライン上で敬語で丁寧に会話しているという景色です。これまでであれば、内定式、入社式といったイベント、その間のコミュニケーション機会などを通して、入社2日目、3日目などであれば、もう十分普通形(いわゆるタメ語)で会話するようになっているのが自然でした。

ところが、今月お会いした新入社員の皆さんは、入社後一週間以上経ってもお互いに敬語で会話をしている感じです。これも、無理はありません。会社によっては、新入社員同士が画面上で会ったことがあるのみで、まだ対面で会ったことがない、という状況です。オンラインを介してコミュニケーションの量は稼げているかもしれませんが、質がやはり限定的なわけです。その結果、タメ語会話する関係性にはまだ至っていないということです。

ある企業様ではこのことを注視していて、新入社員研修中も「同期同士でフィードバックする文化を自社では大切にしている。研修中にそうしたエッセンスのワークを重点置いて実施してほしい。また、レクチャーでもそのことを強調してほしい。」というご要望をいただきました。

このことは、同期同士のみならず、先輩社員、上司、会社組織に対しても当てはまります。特にコロナ禍という環境の制約もあり、新入社員個人とそれらとのつながりが、どうしても以前より弱い状態でスタートしているのを肌で感じます。そして、環境の制約がしばらく続くことから、今後もこの傾向はさらに強まっていくことになります。放置しておくと、組織力の減退に直結する要因となるでしょう。

新入社員同士のつながり、先輩社員、上司、会社組織とのつながりを高めていくために何をするべきか、自社としてできること、有効なことを考えて取り組んでいくことが、例年以上に求められそうです。

<まとめ>
新入社員個人と社員や会社とのつながりを高める取り組みが、例年以上に重要。


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