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新入社員研修を通して感じた傾向

4月1日以降先週まで、いろいろな会社で新入社員研修の講師役を務める機会が多くありました。多くの企業で新卒の新入社員が入社されるこの時期、新入社員研修に関するご依頼が集中するのは、毎年季節の風物詩のようになっています。

いつの時代も、新たに社会人となる新入社員については、様々な形容がなされます。「団塊の世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」「さとり世代」などです。「新人類」などと言われた時期もありましたが、当時で「新人類」であれば、その後人類はどんどん新しくなっていると言えそうです。

最近ではもっと細分化が進み、年度ごとにネーミングされてもいるようです。産労総合研究所によると2020年度は「厚底シューズタイプ」、2019年度は「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」だそうです。2018年度以前も各年度でネーミングが考案されています。

これらが的を射ているのかについてはいろいろな意見があるでしょうし、あくまで人材は一人ひとり違う特徴を持っているわけですから、ネーミングありきで人物像を一括りにするのは適切でないと思います。その上で、各時代が置かれた環境、その中での全体的な傾向というのもあるはずですので、そうした形容に一定の意味があるのも確かなのでしょう。

さて、私が今月関わった新入社員研修の機会から、全体的な傾向として、以下の5つを感じました。(あくまでも、私の関与した機会からの雑感です。一般化には無理があるかもしれませんが、その前提で。)

1.真面目である
皆さん、総じて会社・仕事に対して真面目な姿勢である印象を受けています。まだ入社直後のため会社組織や実務のことについてピンとくる部分も限られている中で、自己成長し会社を通して社会に貢献したいという姿勢を感じました。新入社員は基本的に素直でまじめな人が多いのですが、例年以上にそう感じられた印象です。

その真面目さも、自分本位の視点ではなく、社会本位の視点に立ったものであることが感じられました。本人たちから、「相手への配慮」「社会への貢献」などの言葉が出てくる場面がよくありました。東北大震災などのきっかけもあり、社会貢献意識の高い若者が増えてきたことが各所で指摘されてきましたが、今年はより一層そのことを実感しています。

推察ですが、コロナ禍の混乱期の中で自分たちを採ってくれたということへの感謝から、仕事に臨む姿勢にも力が入りやすくなっているのではないかと考えます。

2.長時間の座学に対する耐性が弱い
真面目な姿勢が感じられる一方で、座学に対する耐性の弱さが感じられました。これは今年に限ったことではなく、年々の傾向として感じられる点です。

紙の書籍を集中して読み学ぶ、TVを没頭してみる、などの行動は減り、代わりに動画含めたいろいろなツールを組み合わせて学ぶ、ユーチューブを見て飽きたら途中でチャンネルを頻繁に変える、別のSNSに目をやる、といった行動が増えてきた影響だろうと思います。こうした行動から得られる強みとしては、情報やネットワークへの感度が高くなり、他者の情報を借りながら物事に対応することに慣れている点でしょう。弱みとしては、ひとつのことに長時間集中して取り組むことが苦手になりやすい点でしょう。

上記1.の通り、皆さん総じて真面目な姿勢で長時間の研修を最後まで頑張って参加しようとしているのが感じられたのですが、最後はかなりバテ気味だった人も散見されました。座学に対する耐性の低下は、最近数年間でも年々強まっていると感じていることです。中長期のトレンドとして指摘できることではないかと思っています。

もちろん、面白くてためになる研修の場にするのが講師の役割のひとつでもありますので、疲れていても眠くならないような進め方にできていないのは講師側の責任でもあります。その上で、新入社員研修で取り上げる要素は、どのような仕事・会社に行っても求められる、社会人として基礎的な事柄に特化しています。それほど変更が効く要素ではなく、斬新さもあまり求められない(求めるとかえって不適切)ものとも言えます。その観点では、研修での工夫に限界もあると言えるでしょう。また、こうした座学に耐えられなければ、職場での座学・OJTにも耐えられないとも言えるでしょう。

続きは、次回以降の投稿で取り上げてみます。

<まとめ>
長時間の座学に対する耐性の低下を長期トレンドとして捉えて、対応方法を考えるべき。



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