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新卒者が入社する企業に求めること(2)

前回のコラムでは、「マイナビ2022年卒大学生就職意識調査」の結果を参考に、新卒者が何を重視して就業先を選んでいるのかについて考えました。年々「安定している会社」「給料のよい会社」が重視されるようになってきたこと、「安定している」とはどういう状態を言うのか、人によってとらえ方が異なる可能性があることについて考えました。

同調査結果では、回答者の新卒予定者をどのような志向性の持ち主か「企業志向」で区分し、区分別にデータが整理されています。「企業志向」は、「大手企業」「中堅・中小企業」「その他(公務員・Uターン)」「起業」に分かれていて、志向性による求めることの違いもある程度確認できるようになっています。それを見ると、例えば以下の傾向が見て取れます。

・「安定している会社」は、その他(公務員・Uターン)志向者で他より突出して高い。次に、大手企業、中小企業の順となっていて、起業志向者では低くなっている。

・「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」は、その他(公務員・Uターン)志向者で他より突出して低い。

・「給料のよい会社」は、大手企業志向者で他より高い。

・「働きがいのある会社」は、中堅・中小企業で他より高い。

・「これから伸びそうな会社」は、起業志向者で突出して高い。

・「社風が良い会社」は、中堅・中小企業で他より高い。

・「勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社」は、その他(公務員・Uターン)志向者で他より高く、起業志向者で低い。

・「転勤のない会社」は、その他(公務員・Uターン)志向者で他より高く、大企業・起業志向者で低い。

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「新卒者が会社選びで重視する要素」といっても、当然ながら人によって何を重視するのかは違います。上記を参考にすると、例えば以下のように、自社で取り組むべきことのひとつの想定もできると思います。

・中堅・中小企業の自社が「働きがいのある会社」だと堂々と言えないようでは、賃金でどうしても大手企業に力負けする以上は、選ばれにくいだろう。

・Uターン志向者をターゲットとする自社は、働きがいもさることながら、まずは働きやすさの実現とそれを前面にアピールするほうが、求職者には有効に響くのではないか。

「だれに」「何を」「どのように」売るのかを明確にするのがマーケティングだと言われます。「だれに」が違えば、売るものも売り方も変えるべきだというわけです。上記のように考えると、このことが採用にもそのまま当てはまるのを改めて認識します。採用も人事も、求職者や在職者に対するマーケティングの視点で活動することが重要です。上記「企業志向」以外にも、「だれ」を分けて捉える切り口はいろいろあるでしょう。

また、逆に「行きたくない会社」に関するアンケート結果も出ていました。1位は「ノルマのきつそうな会社」で35.8%、年々その割合を上げています。2位~5位は、「暗い雰囲気の会社」「転勤の多い会社」「休日・休暇がとれない(少ない)会社」「仕事の内容が面白くない会社」と続いています。

同調査結果全体も参考にすると、「ノルマのきつそうな会社」が1位だといっても、新卒予定者が単に楽したいと考えているというわけではないと考えます。ESGやSDGsなどの意識が高まる中で、「お客さまのニーズに関係なく、売上目標などの自社都合でひたすら売らされる環境」を避けようとする傾向だと捉えるべきではないでしょうか。

<まとめ>
「新卒予定者」をひとくくりにするのではなく、自社にとっての「だれ」を明確にする。

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