自己分析結果で短所を考える

先日、ある管理職Aさんを含めた幹部数人のコーチングをしていました。そのコーチングでは皆さんの希望もあって、いくつかの自己分析ツールで出てきた結果も踏まえながら進めています。

自己分析ツールで割り出す自分の特徴には、明暗があります。その特徴が望ましい発揮の仕方となった時は長所となりますし、望ましくない発揮の仕方になった時は短所になります。

Aさんも、自己分析ツールの結果を手掛かりに、管理職としての自分の行動でさらに伸ばしたい長所、改善したい短所をまとめているわけです。短所については、「○○すぎかもしれない」「○○のように見られているかもしれない」「だから直したいのだが、なかなか直せない」といった具合です。

そうしたお話を聞いて、私は2つ問いかけてみた次第です。
ひとつは、それが事実かどうか(相手にとって実際にそうなのか)ということです。

自分では、「自分の行動が○○すぎかもしれない」と思っていても、周りの人が特にそうは感じていないこともあります。むしろ、周りの人が「Aさんはちょっと○○のところがあるけれど、それが良さだよね」と思っているなら、○○はAさんの長所になり得ます。

私はこれまでAさんと関わっていて、そうは感じられなかったので、実務の場面を知る周りの人が実際に「○○すぎ」だと言っているのかどうか、聞いてみました。すると、特には聞いたことがなく、質問もしたことないのでわからない、という回答でした。また、その様子を横で聞いていた役員が、「私はその○○がAさんの良さだと思うけどね」と言いました。自分の行動がどう映っているか、実際にどういう影響をもたらしているかは、自分ではわかりきらない面があります。自分の行動を知る人に聞くことで、より客観的な把握につながるでしょう。

ただ、特に管理職対部下のような上下関係がある場合に、部下に聞いても本当のことを言いづらいかもしれません。本当に相手と信頼関係があり、安心して話せる場でないと、思っていることはそのまま言えないものです。普段から対話を重ねておくことが重要になります。

もうひとつは、それが問題かどうかということです。
Aさんが実際に「○○すぎ」で、周りの人もそれによって何らかの影響(マイナスも含めた)を受けているとします。しかし、それが直さなければならない問題とは限りません。

例えば、マイナスの影響を補って余りあるプラスの影響を与えている、Aさんが「○○すぎ」なことは周知の事実になっていて皆あまり気にしていない、その弱点は部署内の誰かに補ってもらっている、などであれば、直すべき問題にはならないわけです。その特徴を無理して封じ込めるよりも、長所としてうまく開放し続けたほうがよいと考えることもできます。

私たちは、自分が短所だと思っていること=直すべきこと、と捉えがちですが、そうとも限りません。それが事実かどうか、事実だとして問題かどうか、の視点で考えてみるとよいと思います。

<まとめ>
自分が短所だと思っていることが、直すべき問題とは限らない。


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