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ストレスマネジメントについて考える(2)

前回は、ストレスマネジメントをテーマにしました。

「何がどの程度自分にとってのストレッサーになるかを把握する」のがストレスマネジメントでは重要で、どのような「仕事でのストレッサー要因」「仕事以外でのストレッサー要因」が自分にとってストレス反応を引き起こしやすいか、また現状はそれらストレッサーがどのようなレベル感なのかを把握することについて考えました。

・緩衝となる要因

自分にとってのストレッサーが多い状況にあっても、それらを緩めてくれる要因があれば、ストレス反応が少なくなることにつながります。代表的なものは、上司や同僚からのサポート、家族や友人からのサポートです。

職場内外の何かのストレッサーに悩んでいるとして、そのストレッサーへの対応方法について相談し、対応を改善させることができれば、ストレッサーから受ける影響を減らすことができます。あるいは、具体的なアドバイスなどが得られないとしても、「何かあれば、あの人に相談することができる」という安心感自体が、緩衝要因になり得ます。

趣味や気晴らしなどの活動も緩衝要因になるのかもしれませんが、付き合い方を誤ると余計なストレッサーを増やす結果になるかもしれません。

例えば、酒を適度にたしなむ程度なら緩衝要因かもしれませんが、飲みすぎて2日酔いになったり、仕事に対応する時間が減ることで締め切りをショートしそうな状態をつくったりすると、余計に自分を苦しめてしまいます。

また、あるストレッサーに対して別の緩衝要因でストレス反応を緩和することでは、そのストレッサーそのものは残ったままになります。王道は、ストレッサーそのものへの対応方法を改善し、そこから受けるストレス反応を減らすことでしょう。

仕事でのストレッサー要因+仕事以外でのストレッサー要因-緩衝要因の合計値が、自身にとってのストレス反応(落ち込み、不安、イライラ、疲労感、体の不調など)の大きさとなり、どんな要素がどれだけ自分にとってプラスになりマイナスになるかは個人の特徴によって変わる、という図式です。

前回取り上げた次の1.2.3.のうち、以上が1.に関することでした。

1.何がどの程度自分にとってのストレッサーになるかを把握する。
2.そのストレッサーに関する「自分の課題」と「自分以外の課題」とを分ける。
3.「自分の課題」についてやるべきことを決めて取り組む。

自分にとってのストレッサーが何かを把握したら、そのストレッサーに対しては、2.3.の視点で臨むことがポイントになります。

よく言われるのが、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えることができる」です。

例えば、特定の人物Aさんとの関係性が思うようにいかず、Aさんとの関係が自分にとってのストレッサーになっていたとして、Aさんを直接自分が変えることはできません。「Aさんに嫌われていたらどうしよう」「Aさんは私のことをどう思っているのだろうか」と不安に感じたとしても、Aさんが自分のことをどう思うかはAさんが決めることであって、自分ではありません。よって、Aさんが自分をどう思うのかは他人(Aさん)の課題であって、自分の課題ではないわけです。

このことは、「土曜日の天気が雨だったらどうしよう」と、自分が介在できず天が決めることを自分の課題としようとし、無用な悩みを増やすことと似ています。自分にできることは、雨が予期されるなら長い傘、折りたたみ傘、雨合羽などを持っていけるように準備する、どのような雨量ならイベントを屋外に切り替える、あるいは中止にするなどのルールを決めておくことです。こうした自分にできることは、自分の課題です。

先日、ある経営者様とお会いする機会に、「自分は会社の周辺を清掃するのを毎日の日課にしているが、雨の日は「たまたま雨が降っている」と感じるようにしている」というお話を聞きました。

同経営者様は雨の日も例外なく毎日会社周辺の一般道などの清掃活動をしているそうなのですが、「雨が降ったら清掃しようかしまいか」「雨が降ったら清掃しにくいな」などと考えるのではなく、たんたんと雨を受け止めているわけです。

こうした姿勢が、自分にできる自分の課題に集中し、ストレス反応を増やさなくて済むことにつながります。もちろん、雨が降ったら清掃活動をしないことにすると決めるのも、自分の課題に対する自己決定としてありです。

選択理論心理学を参考にすると、感情や生理反応を変えることはできないが、思考や行為は変えることができます。Aさんが自分をどう思うかが自分には直接変えられないことに加えて、自分がAさんのことを「苦手だ」と感じてしまうことも変えようがありません。嫌いな食べ物を好きになれないのと同じです。しかしながら、思考や行為は変えることができます。

Aさんとの関係も、例えば「Aさんがどんな特徴の人なのか理解を深める。そして、同じ内容の報連相を行うにも、事実を曲げない形で、Aさんの特徴からAさんが受け取りやすそうな言い方や方法(口頭、メールなど)を変える」という思考や行為は、自分で変えたり決めたりすることができます。このようにすれば、Aさんとの関係というストレッサーに対して自分の課題が見いだせます。

他人や、自分の中のことではありながら自分で直接コントロールできない感情・生理反応など自分以外の課題にフォーカスするのではなく、自分の課題にフォーカスし、その課題に対して何に取り組むのかを自己決定することで、ストレス反応を軽減し自分にとって目指したい状態をつくりやすくなります。

<まとめ>
自分の課題にフォーカスし、その課題に対して何に取り組むのかを決める。

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