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生活すること

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生きるって何だろう?それは生活することなのではないだろうか────30才で伊東市にある海の街へ移住して感じたことを書いています。
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#今日やったこと

何のためでもないこと

何のためでもないこと

ぽっかりと空いたスケジュール。約一週間ほど予定がない。ここ最近は予定が詰まりまくっていたからきっと、一旦休めという暗示なのだろう。もらったばかりのお花も次に帰ってきた時は枯れてしまっているだろうなあと思っていたから、最後まで見届けることができて嬉しい。水を替えて、霧吹きをした。

少し涼しくなってからは水出しアイスティーを作らなくなり、代わりにホットカフェラテの頻度が増えた。エスプレッソメーカーが

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染まりゆく地平線に向かって

染まりゆく地平線に向かって

コーヒーを淹れてリビングに座っていると、ベランダへいつものにゃんこがやってきた。毎朝同じ場所で、なんとも言えない体勢でくつろいでいる。観葉植物たちは朝日に煌々と当てられ、葉水をした葉っぱが艶やかに光る。植物が増えてきたため、満遍なく陽が当たるように最近配置換えをした。こんなにも小さい鉢植えの中で、少量の土と水があればすくすくと育っていくさまを見ていると元気をもらうと同時に、人間は不便すぎると感じる

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急ぎ足でやってきた秋と翼

急ぎ足でやってきた秋と翼

暑さは急用ができたかのように一気に立ち去り、秋の空気が街を纏う。夏掛けのタオルケットを洗濯し、扇風機を掃除して、部屋着にカーディガンを1枚追加する。涼しくなったと思ったらまた暑くなったりして、今年の夏は随分と踊らされた。タオルケットも扇風機も、今度こそさようならを告げる。

夏の間は行けなかった昼間の海へと向かう。海と言えば夏だけど、泳がない者としては楽しむ余裕は一切なかった。さらには太陽の角度的

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彩られる日常はなんてことない日常

彩られる日常はなんてことない日常

朝、いつものようにコーヒーを淹れて、作業部屋へと向かう。机に向かって正面にある窓の外は、青々としていた。山は様々な緑色に彩られ、トンビが空高く飛んでいる。山の下が海なのだけど、残念ながら見えない。この家が6階建てぐらいだったら見えたかも。でも毎日トンビの鳴き声と共に、この美しい山を眺めながら作業ができるのは最高の贅沢だと感じている。窓を開けると、冷んやりとした空気が入ってきた。ここ数日で急に涼しく

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海の街で出会っていく人たち

海の街で出会っていく人たち

朝起きて、窓を開ける。暑くもないけど寒くもない。ちょうどいいくらいの朝の空気が部屋へと入ってくる。その窓の外ではいつもの猫たちが一時停止して、こちらをチラリと見たのち通り過ぎていく。たまに知らない猫も通り過ぎる。最近はお水の減りが早いため、器をもう1つ増やしてみた。2つあれば自分がいない間でも少し長くもつ。

着替えて化粧をし、出かける前に配信ライブをした。話したいことがある時、コミュニケーション

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優しい空気を纏う人たち

優しい空気を纏う人たち

この街には防災訓練があるらしい。朝の9時前に坂を登り、高台へと向かう。新井の皆さんが集まっていた。ここからの景色が好きでMVに使ったり、花火を見たりした。ここが一時避難所になるようだ。それから魚市場へ移動して、AEDの使い方を教わったり、水を入れれば食べられる保存食の米をもらったりした。100年前の関東大震災で伊東市も津波被害に遭い、今でもこうして対策を行っている。海の近くに住めば、そういった災害

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漂う色彩に落ち着く日常

漂う色彩に落ち着く日常

目まぐるしく過ぎていく日々が少し落ち着く。久しぶりに何も予定がない日。洗濯物を干して、掃除機をかけて、ずっと気になっていた冷蔵庫の中を掃除した。この家に住み始めてから家事をするのが好きになった。自分がこだわりまくった好きなものしか置いていないからかもしれない。好きなものの状態はやっぱり綺麗に保っておきたい。

いただいていたデザインの納品を済ませて、新しい風景画の制作に取りかかる。今まではずっとA

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心地いいを見つけていくこと

心地いいを見つけていくこと

東京から帰ってきて、まず最初に気にするのが観葉植物たちだ。毎日水をあげなくてもいいものだけれど、最近は暑くなってきたから干からびていないか心配だった。でも全く元気そうな様子で一安心し、風通しをよくするために窓を開けた。風で葉っぱが揺れて、なんだか気持ちよさそう。見ているだけで心が安らぐ。

骨董市で買った秤を包み紙から出した。1500円だったのをさらにおまけしてもらって1000円に。ずっと秤がほし

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出会いの線引きをしない

出会いの線引きをしない

朝、観葉植物のお世話をする。土の渇きを見て水をあげたり、葉水をしたりするのが毎朝の日課だ。私にとってはペットのような、子供のようなものかもしれない。最近植物の数が増えたから、気を使う量も増えた。それぞれの土が乾くペースも、必要な日照時間も違う。初めて迎えたパキラが枯れてしまった時は本当に悲しかった。植物たちと会話をしながら、今日の体調を教えてもらう。

それから海へとクロスバイクを走らせた。夏が近

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与えたり貰ったり

与えたり貰ったり

朝、いつもの鳥の鳴き声が聞こえてきた。名古屋と比べるとやはり圧倒的に鳴き声の数が多い。そもそも伊東に住むまでは鳥の鳴き声なんて気にもしていなかったから、名古屋でも鳴いているのを初めて認識した。感じていなかったものが感じられるようになっている。ライブをした鶴舞公園に生える木々の緑も、風で揺れる姿も、より美しく見えた。コーヒーを淹れて文章を書いたけど、全然まとまらない。しばらくこの場所を離れていたから

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繋がりにくくなった現代で

繋がりにくくなった現代で

自宅へ帰ってきた。鳥たちの鳴き声が無限に聞こえてくる。この朝に耳が慣れてしまっているから、他所で迎える朝は静かに思える。鳥の鳴き声はなかなかのボリュームだけど、自然と身体の中へ入ってきて全く嫌な感じはしない。最近窓を開けると会えるようになった猫たちにもご挨拶。

洗濯物を干していると、お隣さんちの屋根の上に猫がたくさんいるのが見えた。よく見ると子猫も3匹いて、みゃーみゃー鳴いている。ご近所さんが言

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空気の流れに身を任せて

空気の流れに身を任せて

東京へ来ている。街ごとに変わる空気の違いが面白い。都会は人がたくさん動いているから色んな空気が混ざり合い、忙しなく不規則に流れてくるのが人間の生活を感じさせる。伊東は人が動かない代わりに自然が動かしていて、いつもふんわりとした空気に包まれているようで力が抜けてしまう。

都会へ来たら雑貨屋さん巡りをするのが最近の楽しみだ。伊東には干物屋さんや温泉はたくさんあるけれど、オシャレなお店はあまりない。家

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暇を楽しむ

暇を楽しむ

あらゆる納品が終わって、また作品を作る日々が戻ってきた。以前まではやらなくちゃいけないことがあると安心していたのだけど、今はやらなくちゃいけないことがなくても安心を感じている。私の中でやらなくちゃいけないことと言うのは、期限が決まっていたり、途中ではやめられなかったり、誰かに求められていたりするものだ。私の作品は、今はそうしていない。やらなくちゃいけないことにすると窮屈になって、余白がなくなる。だ

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買えない幸せ

買えない幸せ

朝の5時半頃にふと目が覚める。日が昇り、障子に光が当たって部屋が明るくなり始めていた。以前よりも日の出が早くなってきている。寝ていても、瞼越しに朝日を感じられる人間の体はよくできている。いつもならここで二度寝するのだけれど、前日は絶不調で一日中寝ていたから起きることにした。街はまだ寝静まり、鳥たちと私だけが起きている。いや、近くの漁港は仕事の真っ最中か。この世界が始まる前みたいな時間が好き。本当は

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